「さしあたって」の意味・ビジネスでの使い方(例文つき)

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「さしあたって」の意味・ビジネスでの使い方(例文つき)

「さしあたって」という言葉を見聞きしたことはありますか?

「さしあたって」はビジネスシーンにおいて頻繁に使われる表現です。曖昧な現状を伝えるのに重宝する言葉ですが、適切な使い方をしなければ相手にネガティブな印象を与えてしまうため注意が必要です。

今回はそんな「さしあたって」についてまとめました。意味や使い方だけでなく、例文や類語もご紹介していますので参考にしてくださいね。

「さしあたって」の意味

「さしあたって」の意味は「先のことはともかく、今のところ」「今しばらくの間」「当面」です。前置きとして「今後変更になるかもしれないが現状では…」というニュアンスで用います。

そもそも「さしあたって」は「さしあたりて」が音変化した「差し当たり」の連用形で、多くの場合副詞的に動詞・形容詞・形容動詞を修飾するために使います。「さしあたって」は漢字で「差し当たって」と表記しますが、ビジネスシーンではひらがなで表記することがほとんどです。

「さしあたって」の使い方

「さしあたって」は敬語ではないため、ビジネスシーンで用いる場合には敬語に直す必要があります。

「さしあたって」の敬語は「さしあたりまして」です。

文章にすると「さしあたりまして○○しました」と文中に複数回「ました(まして)」が出てくるため、くどい印象を持つ人もいるかもしれません。これで文法的には問題ありませんが、もし気になるようなら「さしあたりまして」を別の類語に置き換えましょう。

「さしあたって」はビジネスシーンで頻繁に使われる表現ではありますが、不確定な事柄について「当面は」と伝えるための表現です。したがって、既に結論や方向性が確定している事柄に用いることはできません。さらに、「さしあたって」を多用していると結論を先延ばしにしていると誤解を与えかねません。優柔不断、明確な回答を遠回しに避けている、といったネガティブな印象を避けるためにも、「さしあたって」は多用しないようにしましょう。

以下に、「さしあって」を使った例文をご紹介します。

【例文】

  • さしあたって例年通りの発注数で様子をみよう。
  • さしあたって一週間程度食べていけるだけの食料を買いに行こう。
  • 来月末に新入社員歓迎会の開催を予定しています。店を決めるにあたっておおよその人数を把握したいと思いので、さしあたりましては専用フォームより現状での参加可否をお知らせください。

「さしあたって」の類語・言い換え表現

「さしあたって」の類語には以下のようなものがあります。

「さしあたって」の意味の中でも「この先のことを考慮に入れずに現時点での状態を示す」に注目した場合の類語は以下の通りです。

【類語】

  • 現在
  • 今のところ
  • 現時点では
  • 現在のところ
  • 目下(もっか)のところ
  • 差し詰め
  • さし向き
  • 今しばらくの間
  • 当面
  • 当分

「さしあたって」の意味の中でも「その場限りの」「なにはさておきすぐに」に注目した場合の類語は以下の通りです。

【類語】

  • ひとまず
  • とりあえず
  • 取り急ぎ
  • まずは
  • いったん

「さしあたって」と「とりあえず」の違い

「とりあえず」の意味は「ほかのことはさしおいて、まず第一に。なにはさておき」「何する間もなく。すぐに」です。「さしあたって」「とりあえず」のどちらも、今できることを最優先にこなすことを指します。しかし、「とりあえず」には「さしあたって」とは違い、「できることだけをこなす」という消極的なニュアンスも含まれます。「とりあえず」は場当たり的で真剣に取り組んでないとみなされることもある表現なので、ビジネスシーンでは使用を避けた方が賢明です。

「とりあえず」を使った例文は以下の通りです。

【例文】

  • 本来の修理方法ではありませんが、とりあえず手持ちの部品で対処しました。
  • 火事の知らせにとりあえず駆け付ける。

「さしあたって」と「そこで」の違い

「そこで」の意味は「前述の事柄を受けて、次の事柄を導く。それで。そんなわけで」「話題をかえたり、話題をもとにもどしたりすることを示す。さて」です。「さしあたって」「そこで」のどちらも、前の文章の流れを受けて次の文章へとつなげる接続詞として使うことができます。しかし、「さしあたって」は「そこで」とは違って話題転換には使えないため注意が必要です。

例文で「そこで」と「さしあたって」を置き換えて見比べてみます。

【例文】

  • 捨てられていた猫を見つけた。そこで(そんなわけで)、家に連れて帰ることにした。
    →捨てられていた猫を見つけた。さしあたって家に連れて帰ることにした。
  • 急に雨が降ってきた。そこで(そんなわけで)、コンビニで傘を買った。
    →急に雨が降ってきた。さしあたってコンビニで傘を買った。
  • 全員揃いましたか。そこで(さて)ひとつお知らせがあります。
    →「さしあたって」に置き換えられない。

「さしあたって」と「当面」の違い

「当面」の意味は「さし迫っていること。さしあたり」です。「さしあたって」の意味として「当面」が挙げられていることからも基本的には同じ意味を表します。しかし、実際には「当面」は「さしあたって」よりも長い期間を連想する傾向にあります。自分と相手の認識にズレが生じやすい言葉なので、使う際は注意しましょう。

「当面」を使った例文は以下の通りです。

【例文】

  • チームの中心メンバーが長い休暇に入ったが、当面問題はない。
  • 当面このペースで通院して経過観察しましょう。

さいごに

「さしあたって」の正しい意味や、適切な使い方についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

「さしあたって」は、「今のところ」という意味でこの先のことが決まっていない時に使う言葉でした。ビジネスシーンでは、相手の立場に合わせて敬語の「さしあたりまして」と使い分けましょう。「さしあたって」は不確定な状況を伝えることができる便利な言葉ですが、多用してしまうと決断できない優柔不断な印象を与えてしまう恐れがあります。

このまとめを読んで、適切に「さしあたって」を使えるようになっていただければ幸いです。

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