「押さえる・抑える」の違い・意味・使い方「押さえるべきポイント」は正しい?

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「押さえる・抑える」の違い・意味・使い方「押さえるべきポイント」は正しい?

「押さえる」と「抑える」の違いをご存知ですか?

「押さえる」「抑える」は、どちらも「おさえる」と読む漢字ですが、どのような状況でどちらの漢字を使うのが適切なのか、悩む人も少なくありません。

どちらも馴染み深い漢字ですが、簡単なようで意外と使い分けが難しいですよね。

ここでは「押さえる」と「抑える」の違い・使い分け方についてご説明します。それぞれの意味や、「押さえるべきポイント」といった言葉の使い方もお伝えするので参考にしてくださいね。

「押さえる」の意味・使い方(例文つき)

先に大事なポイントを述べると「押さえる」は、「手で押さえる」「証拠を押さえる」など、実際に力を加えたり手を加えたりして、動かないようにするときに使われる言葉です。

それを踏まえた上で、辞書に書いてある「押さえる」の意味を見ていきましょう。

「押さえる」は5つの意味で使われます。

1:物が動かないように、押し付けて力を加える。

  • 手で着物の裾を押さえる。
  • 文鎮で紙を押さえる。
  • 両手で帽子を押さえる。
  • 敵の首根っこを押さえる。
  • 紙が飛ばないように、筆箱を置いて押さえる。
  • 指先でゆっくりと弦を押さえる。

2:出入り口に手などを押し当てておおう。

  • 傷口を押さえる。
  • 涙がこぼれそうで目頭を押さえる。
  • 止血のためにガーゼで患部を押さえる。
  • マイクのハウリングに耳を押さえる。

3:対象の動きを封じる。

  • 逃げていた飼い犬を押さえる。
  • 敵の侵略を押さえる。
  • 反対派を押さえる。
  • 窃盗の現行犯を押さえる。

4:自己に属するものとして確保する。また、差し押さえる。

  • 彼が犯人である証拠を押さえる。
  • 浮気現場を押さえる。
  • 有名店の予約を押さえる。
  • 制空権を押さえる。
  • 財産を押さえられる。
  • 次のテニス大会の会場を押さえる。
  • 人気歌手のコンサートチケットのS席を押さえる。

5:大切なところをしっかり理解する。把握する。

  • 相手の弱点を押さえる。
  • テストの要点を押さえる。
  • 猛反対の意見を実力行使で押さえ込む。
  • 押さえるべきポイントは3つだけです。

上記の意味のとおり、「押さえる」を使うときは、「物理的な力を加える、確保する、自分の知識として把握する」ときです。

ちなみに上から圧力を加えて動かないようにするという意味では「押さえる」のほか、「圧さえる」と書くこともあります。

「抑える」の意味・使い方(例文つき)

理解しやすいように「抑える」を使うときのイメージからお伝えすると、「抑える」は、「上や外に向かうチカラを覆って、それ以上広まらないようにする」ときに使います。

たとえば、「反撃を抑える」など、何かの勢いを止めたり、食い止めたりするときです。また「眠気を抑える」「怒りを抑える」など我慢したり、感情を抑制したりするときにも使います。

辞書に書いてある「抑える」の3つの意味と、例文をお伝えしますね。

1:ある水準以上には高まらないようにする。

  • 月々の食費は5万円以内に抑えるようにしなければ。
  • インフレ率を目標水準に抑えることに成功した。
  • 今回のミスによる被害を最小限に抑えるように。

2:スポーツで、相手の勢いをとどめる。

  • ノーヒットノーランで抑える。
  • 強豪を相手に前半を無得点に抑える。
  • 相手打線を3点までに抑えるのが目標だ。

3:感情・欲望などが高ぶるのをとどめる。抑制する。

  • 人前ではいつも感情を抑えるようにしている。
  • この激しい怒りを抑えるのはもう無理かもしれない。
  • 涙を抑える。
  • 反対派の不満を抑える。

「抑える」の「抑」の漢字には「上からおさえつけてとめる。おさえる」という意味があります。「抑圧」「抑止」「抑制」といった熟語でも使われますね。

「勢いのあるものや感情が上昇するのを抑える」ときに使うと覚えておいてくださいね。

「押さえるべきポイント」「抑えるべきポイント」はどっちの使い方が正しい?

「押さえるべきポイント」と「抑えるべきポイント」という言い回しを見かけますが、どちらの使い方が正しいのでしょうか。

結論からお伝えすると「押さえるべきポイント」が正解です。

ここでの「おさえる」は、「要点を押さえる」という意味で使われていますね。

そのため、「押さえるの意味・使い方」の中で、5つ目の意味でご紹介している「大切なところをしっかり理解する。把握する」の意味合いで使われます。

「抑えるべきポイント」だと文章的におかしくなります。要点を強調したいときは「押さえるべきポイント」を使うと覚えておきましょう。

さいごに

ここでは「押さえる」と「抑える」の違い、意味や使い分け方についてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか?

あらためて両者の使い方を整理しておくと

  • 「押さえる」は「物理的な力を加える、確保する、自分の知識として把握するとき」
  • 「抑える」は「勢いのあるものや感情が上昇するのを抑えるとき」

となります。

「抑える」は「抑」の漢字からもイメージできます。せっかくなので、この機会に使い分け方を覚えておいてくださいね。

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