「お見それしました」の意味・使い方(例文つき)|目上の人へは失礼?

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「お見それしました」の意味・使い方(例文つき)|目上の人へは失礼?

突然ですが、「お見それしました」という表現を聞いたことがありますか?

日常では中々使うことはありませんが、テレビや映画のワンシーンで「〇〇部長、お見逸れしました!」などと部下が上司をおだてるときに使っているのを見たことがあるかもしれませんね。

しかし、日常ではあまり使わない言葉のため、意味が曖昧になっている方も多いと思います。

「お見逸れ」には「お」がついた語なので、丁寧な印象も受けますが、そもそも「見逸れ」とはどのような意味なのでしょうか?

上司や取引先といった目上の人に使ってもよい言葉なのでしょうか。

ここでは「お見それしました(御見逸れしました)」の意味や使い方について詳しく解説します。目上の人に使っても失礼にあたらないか、また類語についてもお伝えするので参考にしてくださいね。

「お見それしました(御見逸れしました)」の意味・使い方

「お見それ」は漢字で「御見逸れ」と書きます。読み方はもちろん「おみそれ」ですね。

もともと「お見それしました」は、動詞「見逸れる」からきている言葉です。

「見逸れる」とは「うっかりして見おとす。見ていながらそれと気がつかない」と「評価などをあやまって相手を低く見る」という2つの意味があります。

現在では「見逸れる」はあまり使わなくなり、「お見それしました」という定型句でのみ使われる表現です。

そこから来て、「お見それしました」の意味は下記の2つです。

  • 1:見忘れること、見落とすことの意の謙譲語。相手に気が付かなかったときや、誰かわからなかった時に用いる挨拶の言葉。
  • 2:誤って相手の力量を軽く見ること。また、軽く見たことを詫びて伝える言葉。

1は「見逸れる」のそのままの意味から挨拶言葉となった語ですが、2は「見逸れる」の意味から派生して、相手の能力を実際よりも低く見てしまっていたことを詫びるときに使う言葉です。

詫びるといっても直接的に「能力を過小評価して申し訳ございません」と謝罪するわけではなく、「お見それしました」と謝ることにより、実際は相手の能力が高いことを間接的に伝える役割を果たす言葉です。

【例文】

  • ピアノもお上手とは、お見それしました。
  • あまりにご立派になられたので、ついお見それしました。
  • 先日は急いでいたので、ついお見それしてしまいました。
  • 私もゴルフには多少自信があったのですが…いや、お見それしました。
  • 御社の営業マンの能力の高さにはお見それしました。

「お見それしました」は目上の人に失礼?

テレビなどでは「お見それしました」を目上の人に使っているシーンが多いですが、失礼にあたる言葉なのでしょうか?

結論からお伝えすると、「お見それしました」は謙譲語なので目上の方に使っても大丈夫です。

また、相手の能力を過小評価したり、見くびっていたりすることを表す言葉と思われがちですが、「お見それしました」は「御見逸れ」したことを謙遜して詫びる言葉です。

例えば、仕事一筋でバリバリ働いている上司が、実は絵も上手なことを知った時に「部長の書いた絵を拝見して、お見それしました」と使った場合はどうでしょうか?

上司としては意外性を褒められているので悪い気はしないでしょう。

つまり「お見それしました」を上司に使うと、「あなたの能力がこれほどのものとは感服しました」という意味になるのです。

そもそも目上の人への褒め言葉は失礼にあたります。「上手ですね」「さすがですね」などの言葉は、目上の人に使うのは不適切です。

そこで、相手の能力を知らなかった自分を恥じ、詫びることで相手を持ち上げる「お見それしました」が使われるのです。

どうしても「お見それしました」の表現が使いづらい人は「敬服いたしました」「勉強になります」「恐れ入りました」などと言い換えてもいいですね。

上司や目上の人に対する「お見それしました」の例文集

さいごに、「お見それしました」をビジネスシーンで使うときの例文を紹介します。

【上司・部下】

  • いつもは寡黙な課長ですが、プレゼンの場での堂々とした説得力のあるお姿におみそれいたしました。
  • お仕事だけでなく、ゴルフの腕前もこれほどのものとは、お見それいたしました。
  • 〇〇君の今月の営業成績はすごいね。お見それしたよ。

【顧客・取引先】

  • この度は当社のニーズを的確に捉えたご提案をいただき、誠にありがとうございます。御社のご提案内容にはお見それしました。
  • 先日大手町で〇〇様とすれ違っていたとは、ついおみそれいたしました。
  • 御社の技術力の高さにはお見それいたしました。

相手を過小評価していたときに「お見それしました」を使うときは、言葉の前に「AだけでなくBも〇〇ですね」という公式に当てはめると使いやすいです。

上記例文でも「A:仕事だけでなくB:ゴルフの腕前もこれほどのものとは」と伝えた後に「お見それしました(お見それいたしました)」と記載しています。慣れない内はこの形で目上の人に伝えるとよいでしょう。

さいごに

ここでは「お見それしました」の意味や使い方、目上の人へ使うのは失礼にあたるのかについて解説してきましたが、いかがでしょうか。

「お見それしました」はこの頃ではめっきり使う人も少なくなりました。

相手の能力を見くびっていた自分を恥じて謝るという、なんとも奥ゆかしい日本語らしい表現ですね。

古き良き言葉だからこそ、若い方が使うと語彙が豊富だなという印象を与えることができます。もし機会があればさりげなく使ってみてはいかがでしょうか。

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