「飲む」と「呑む」の違い・意味・慣用句|「喫む」「服む」の使い分け方もご紹介

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「飲む」と「呑む」の違い・意味・慣用句|「喫む」「服む」の使い分け方もご紹介

「飲む」と「呑む」のそれぞれの意味や使い分け方、ご存知ですか?

「飲む」の漢字は日常生活の中で使ったり目にしたりと、身近な言葉になっている方も多いと思います。でも「呑む」は使ったことがないという人も少なくありません。

読み方が同じ、「飲む」と「呑む」のそれぞれの意味や使い分け方・違いについて、ここでは詳しくお伝えするので参考にしてくださいね。

「飲む」の意味・使い方

「飲む」の意味は「飲食物を体内に送り込む」です。

口に入れたものを噛まずに体内やのどへ送りこむとき全般に使われる言葉です。

なお、「飲む」を使った慣用句には、以下のようなものがあります。意味もあわせて確認しておきましょう。

  • 恨みを飲む:恨みの気持ちを心の中にこめている。くやしい気持ちをこらえる。
  • 爪の垢を煎じて飲む:格段にすぐれた人の爪の垢を薬として飲んでその人にあやかるように心がける
  • 渇しても盗泉の水を飲まず:孔子の故事から「どんなに困っていても、不正には手を出さないことのたとえ」の意
  • 熱鉄(ねってつ)を飲む:非常につらい、または、くやしい思いをするたとえ

慣用句をつかった例文は下記のとおりです。

【例文】

  • すぐにでも言い返してやりたいが、後の影響を考えて恨みを飲む。
  • もっと要領が良くなるように、彼の詰めの垢を煎じて飲ませてもらったらいい。
  • 渇しても盗泉の水を飲まずとは思っていても、誘惑に耐えきれる自信がない。
  • 熱鉄を飲む思いで、理不尽な要求に耐える。

「呑む」の意味・使い方

「呑む」は、辞書において「飲む」と同じ項目にまとめられています。したがって、主な意味は「飲食物を口から体内に送りこむ」です。

ただし、「呑む」は塊を丸のみする場合や、がぶ飲みする場合、比喩的表現の場合に使われる傾向があります。また、「ぐい呑み」のようにお酒に関連する場合に「呑む」が多く使われます。

「呑む」の意味には、他にも以下のようなものがあります。

条件を呑む

「受け入れる。妥協する」という意味です。この意味の「呑む」には「清濁(せいだく)併せ(あわせ)吞む」という慣用句もあり、「心が広く、善でも悪でも分け隔てなく受け入れる。度量の大きいことのたとえ」を表します。

息を呑む・涙を呑む

「外に出さないで抑える。こらえる。」という意味です。「息を呑む」の意味は「おそれや驚きなどで一瞬息を止める」、「涙を呑む」は「くやしさ、無念さをじっとこらえる」という意味です。

相手を呑んでかかる・雰囲気にのまれる

「見くびる。また、圧倒する。」という意味です。

他にも、「呑む」には組み合わせる単語によって、特別な意味を持つ慣用句があります。

固唾(かたず)を呑む

「固唾」とは「緊張して息を凝らしているときなどに口中にたまるつば。」のことです。「固唾を呑む」で「事の成り行きが気がかりで、緊張している。」という意味になります。

例文:事の成り行きをその場にいる全員が固唾を呑んで見守っている。

声を呑む

「極度の感動・驚き・緊張などのために声が出なくなる。また、言いかけて途中でやめる。」という意味です。

例文:あまりに不謹慎な発言だと気づき、慌てて声を呑む。

言葉を呑む

「感動や驚きのために、また、相手の気持ちを察して、言おうとしたことが言えなくなる。」という意味です。

例文:完成品があまりに傑作だったので、言葉を呑む。

「飲む」と「呑む」の違い

「飲む」と「呑む」の決定的な違いは、常用漢字表に記載があるか否かです。

常用漢字表とは、法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すもので、現行の常用漢字表は2010年に内閣によって告示されたものです。

それによると、「呑」の字は記載がなく表外漢字ということになります。したがって、ビジネスシーンでは「呑む」という表記は避けた方が賢明です。

「喫む」との違い

「のむ」に「喫む」という字を充てる場合があります。最近ではあまり使われなくなりましたが、主にお茶やタバコなどをのむ場合に用いられます。この使い方は、「喫煙」「喫茶」という言葉を考えると理解しやすいでしょう。「喫」には「喫する(きっする)」と読んで「食う。飲む。吸う。」という意味の言葉もあります。お茶やタバコは「のむ」もしくは「飲む」という字を充てることもできます。

「飲む」と「喫む」との決定的な違いは、常用漢字表に記載があるか否かです。「喫」の字は常用漢字ではあるものの、登録されている読みは「キツ」のみで、「喫む(のむ)」は表外音訓となります。したがって、ビジネスシーンでは「喫む」という表記は避けた方が賢明です。ちなみに、「喫する」は常用漢字表の「喫」の項目に例語としても挙げられている言葉なので使用は問題ありません。

「服む」との違い

「のむ」には「服む」という字を充てる場合もあります。おもに、薬やお茶をのむ場合に用いられる表記で、「服用」「服する」に由来しています。「服する(ふくする, ぶくする)」とは「茶・薬などを飲む。服用する」という意味です。

「飲む」と「服む」の違いは、常用漢字表に記載されているか否かです。「服」の字は常用漢字ではあるものの、登録されている読みは「フク」のみで、「服む(のむ)」は表外音訓となります。したがって、ビジネスシーンでは「服む」という表記は避けた方が賢明です。

さいごに

ここでは「飲む」と「呑む」の意味や違いについてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

「のむ」の読み方をする同音異義語に「喫む」や「服む」もありますので、ご紹介しましたが、基本的には「飲む」を使うようにしましょう。

この機会に使い分け方を覚えておいてくださいね。

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