- ご確認の程、お願いいたします。
- ご査収の程、お願い申し上げます。
- ご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
メールやビジネス文書でよく目にする敬語のひとつに「の程」という言葉があります。
日常会話の中では使う機会が少ない表現なので、社会人になってから意味や使い方が曖昧なまま、何となく使っている方も多いのではないでしょうか。
丁寧な印象を受ける言葉ですが、ビジネスシーンや目上の人に使うときは、「の程」を正しく使いこなすことが大切です。
ここでは「の程」の意味と使い方についてご説明します。「の程」を使った「ご確認の程」「ご指導ご鞭撻の程」といった言葉の使い方についても例文をあげてお伝えするので参考にしてくださいね。
目次
「の程」の意味
「程」の意味を辞書で調べると、下記の5つの意味がでてきます。
- 1:物事・動作・状態の程度や段階。
- 2:許される範囲内の程度。ちょうどよい程度。
- 3:ある広がりをもった時間。
- 4:(「…のほど」の形で)断定を避け、表現をやわらげるのに用いる。
- 5:ある広がりを持った空間。
「ご確認の程」「ご検討の程」という形で使うときの意味は、上記4の「断定を避け、表現をやわらげるのに用いる」です。
つまり、「の程」にはそれ自体で何かを表す意味はなく、言い回しを穏やかにする婉曲表現として用いる言葉なのです。
「の程」の使い方
「の程」は、直接の表現を避けて丁寧な言い回しにする表現です。
そのため、相手に何かをお願いするときの印象を和らげたいときに使います。
たとえば「ご確認ください」「ご検討ください」といった用法だと、相手の取り方次第で命令形に感じることがありますよね。
そこで、命令ではなく依頼というニュアンスを強めるために「ご確認の程」「ご指導の程」といった使い方をし、「よろしくお願いします」などのお願い文とつなげることによって、相手に配慮を示した丁寧な言い方にすることができます。
なお、敬意を表すときに用いる表現のため、目上の人にも使えます。
基本的にはメールやビジネス文書などの書き言葉で使います。
フォーマルな場でのスピーチなどで、話し言葉として用いることもありますが、普段のビジネスシーンで使うと相手に違和感を与える場合もあるので、使う場面には注意しましょう。
「の程」と「のほど」の違い・使い分け方は?
「の程」と漢字で書かれているときと、ひらがな表記の「のほど」を目にすることがあります。
これらに使い分けるときの明確なルールはなく、どちらを使っても問題ありません。
そもそも、「の程」は表現をやわらげるために用いる言葉なので、見た目としても柔らかい印象を与えるひらがな表記「のほど」を使うのが適切だという意見や、文章全体の漢字とひらがなのバランスを見て決めるのが良いという意見もあります。
ただ、「の程」と漢字表記にすると、かな書きと比べて堅い印象を与えます。
そのため、目上の人にかしこまった内容のメールや正式な文書を送るとき、初めてやりとりをする相手には「の程」と漢字で書き、社内メールや親しい間柄の取引先担当者にはひらがな表記で書くことが多いといえるでしょう。
「の程」を使ったビジネスメール例文
「の程」は、相手に何かをお願いするときのフレーズとして使うことができます。
「の程」を使った代表的なお願い文を、ビジネスメールの例文で紹介するので参考にしてくださいね。
「ご確認の程」を使ったビジネスメール
「ご確認の程」の「確認」の意味は「はっきり認めること。また、そうであることをはっきりたしかめること」です。
意味合いとしては「どうかご確認くださいますよう」と、相手に何かを確かめてほしいときに使う、柔らかいお願いの表現です。
件名:提案資料ご確認のお願い 〇〇課長 お疲れ様です。△△です。 株式会社〇〇様に、来週の商談で提出する予定の 資料の構成や契約条件につきましては、 特に、下記3点を重点的にご確認頂けましたら幸いです。 ・サービスのメリット・デメリット(4~5ページ目) その他、修正や変更すべき項目がございましたら お忙しいところお手数をお掛け致しますが、 ==================== |
丁寧に締めくくりたいときは、上記例文のように結びの挨拶で「ご確認の程」をつかいます。クッション言葉を入れるとより丁寧な表現になりますね。
「ご確認の程」を使ったその他の例文は下記のとおりです。
- ご確認の程、よろしくお願いいたします。
- お手数をおかけしますが、ご確認の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 大変恐縮ではございますが、ご確認の程よろしくお願いいたします。
「ご理解の程」を使ったビジネスメール
「ご理解の程」の「理解」の意味は「意味・内容をのみこむこと」「他人の気持ちや立場を察すること」です。
「どうかご理解くださいますよう」というように、相手にこちらの気持ちや立場、事情を汲み取ってもらいたい時に使う、柔らかいお願いの表現です。
件名:在庫切れのお詫び 株式会社〇〇〇〇 平素よりお世話になっております。 この度は、弊社商品をご注文いただき、 本日〇月〇日にご注文を承りました下記の商品ですが、 商品番号abc-d-01 また、再入荷の見通しは〇月〇日のため、 この度は、せっかくご注文いただいたにもかかわらず なお、この度のご注文に関しましては、 ご注文内容の変更を希望される場合は ご迷惑をお掛けして恐縮ですが、 ==================== |
「ご理解の程」を使ったその他の例文は下記のとおりです。
- 恐れ入りますが、どうぞご理解の程よろしくお願いします。
- ご面倒をおかけいたしますが、何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。
- 直前の中止となり大変申し訳ありませんが、ご理解の程よろしくお願いいたします。
「ご指導ご鞭撻の程」を使ったビジネスメール
「ご指導ご鞭撻の程」の「指導」の意味は「ある目的・方向に向かって教え導くこと」、「鞭撻」は「努力するように励ますこと」です。
「どうかご指導ご鞭撻賜りますよう」というように、目上の人に対し、教えや激励を受けたい時に使う、柔らかいお願いの表現です。
件名:プロジェクト参加のご挨拶 〇〇部長 お疲れ様です。 この度、人事異動により〇月〇日付で 私は今まで〇年間、のべ50社の顧客企業に対して 〇〇プロジェクトではこれまで培った経験を活かして 〇〇部長のお役に立てるよう精励致しますので 近日中にご挨拶に伺いたく存じますが、 ==================== |
「ご指導ご鞭撻の程」を使ったその他の例文は下記のとおりです。
- 今後ともご指導の程よろしくお願いします。
- 至らないことも多々あるとは存じますが、ご指導の程よろしくお願いいたします。
- まだ研修を終えたばかりの未熟者ではありますが、ご指導の程よろしくお願いします。
- 引き続き、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
- これからも努力してまいりますので、何卒ご指導ご鞭撻の程お願い申し上げます。
- 今後とも倍旧のご愛顧とご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
なお、その他の文例を確認したい方は『「ご指導ご鞭撻のほど」の意味・使い方|ビジネスメールの例文つき【結婚式や年賀状に使うとき】』をご覧ください。
「ご了承の程」を使ったビジネスメール
「ご了承の程」の「了承」の意味は「事情をくんで納得すること。承知すること。承諾」です。
「どうかご承知おきくださいますよう」というように、事情をくんで納得してほしい時に使う、柔らかいお願いの表現です。
件名:有給休暇申請のご依頼 〇〇課長 お疲れ様です。△△です。 〇月〇日~〇日までの〇日間、 ご迷惑をおかけしますが、 営業部 △△
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「ご了承の程」を使ったその他の例文は下記のとおりです。
- 急な連絡で恐縮ですが、ご了承の程よろしくお願いいたします。
- 貴社のご要望にはお答えしかねますこと、何卒ご了承の程お願いいたします。
- お忙しいとは存じますが、何卒ご了承の程お願い申し上げます。
「ご査収の程」を使ったビジネスメール
「ご査収の程」の「査収」の意味は「金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ること」です。
「よくお調べいただき、受け取ってくださいますよう」というように、事情をくんで納得してほしい時に使う、柔らかいお願いの表現です。
件名:資料送付のお知らせ 株式会社〇〇〇〇 お世話になっております。 さて、先日ご依頼いただきました、 ■添付ファイル ご査収の程、何卒よろしくお願い申し上げます。 商品その他につきましてご質問などございましたら、 ==================== |
「ご査収の程」を使ったその他の例文は下記のとおりです。
- たびたび恐れ入りますが、ご査収の程よろしくお願いします。
- 下記の資料をお送りします。ご査収の程、よろしくお願い申し上げます。
- 議事録をお送りしますので、ご査収の程お願いいたします。
「の程」の類義語・言い換え表現
「の程」は丁寧な言い回しのときに使う言葉ですが、場面によって表現を使い分けることが大切です。また、同じ文章のなかで「の程」を多用すると、くどい印象を与えるので言い回しをかえることも意識しましょう。
「の程」の言い換え表現は下記のとおりです。※「ご確認」のフレーズで紹介します。
- ご確認ください。
- ご確認願えませんでしょうか。
- ご確認いただけますでしょうか。
- ご確認いただけませんでしょうか。
- ご確認いただけると幸いです。
- ご確認いただきたく存じます。
- ご確認いただきますようお願い申し上げます。
- ご確認いただきたく、ご依頼申し上げます。
お願いするときはこれらの表現を上手く使い分けましょう。
さいごに
ここでは「の程」の意味や使い方、ビジネスメールの例文を紹介しましたが、いかがでしょうか。
「の程」は断定を避け、表現をやわらげるのに用いる言葉です。
相手に何かをお願いをする際に使うことで、柔らかく要求を伝えることができるため、ビジネスシーンで目上の人とやりとりするときに使える便利な表現ですね。
この機会に使い方をしっかり覚えておいてくださいね。