「申し開き」の意味や使い方はご存知ですか?
読み方は「もうしひらき」です。
ビジネス相手とは円滑な人間関係を築いていきたいものよね。しかし、思いもよらず相手から誤解や非難を受けた時に使える言葉が、「申し開き」です。日常生活では馴染みが薄い「申し開き」について、今回は意味や使い方をまとめました。
重要な場面で使う言葉なので使い方を間違えないように、これを読んでいざという時に備えてください。類語との細かい違いや例文もご紹介しています。
「申し開き」の意味
「申し開き」の意味は、「非難を受けたり疑惑をまねいたりした事柄について、そうせざるをえなかった理由や身の潔白を述べること。弁明。釈明。言い開き」です。
文章では「申し開きをする」「申し開きが立たない」のように使います。
そもそも「申し開き」の成り立ちは、「言い開く」の謙譲語「申し開く」が名詞へと変化したものです。「言い開く」の意味は、「申し開き」と同じく「事情を説明して理由をはっきりさせる。弁明する」です。
「申し開き」と「言い訳」の違い
「申し開き」と似た言葉に「言い訳」があります。「言い訳」の意味は、「そうせざるをえなかった事情を説明して、了解を求めること。弁解。弁明」です。「申し開き」が相手からの誤解や疑惑を解くために自分に非がないことを主張する弁明なのに対して、「言い訳」は明らかな事実に対して、やむを得ない事情があったと主張するための弁明です。
さらに、「言い訳」の意味には「過失・罪などをわびること」もあり、相手に了解を求めたり謝罪をする際にも使います。
- 申し開き:相手の誤解や疑惑を解くための弁明
- 言い訳:避けられなかった事実に対する説明
「申し開き」と「言い訳」の違いを具体的なシーンを想定して確認してみましょう。
【例文】
- 申し開き:遅刻したのは寝坊したからではなく、バスが遅れたからです。
- 言い訳:遅刻したのはバスが遅れたからです。
- 申し開き:全身ずぶ濡れなのは遊んでいたせいではなく、車道の水がはねたからです。
- 言い訳:全身ずぶ濡れなのは車道の水がはねたからです。
「申し開き」と「申し訳」の違い
「申し開き」と似た意味の言葉に「申し訳」があります。「申し訳」の意味は「自分のとった行動について相手に理由を説明すること。言いわけ。弁解」です。「申し訳」は「申し開き」と違って相手の誤解を解く意図はなく、単に自分の行動理由を説明することを指します。
「申し訳」は文章中で「申し訳がたつ」「申し訳をする」という形で使うこともありますが、一般的には「申し訳ない」と謝罪のフレーズで用いられることが多いです。
- 申し開き:相手の誤解や疑惑を解くための弁明
- 申し訳:自分の行動理由を相手に説明すること
「申し開き」と「申し訳」の違いを、具体的なシーンを想定して確認してみましょう。
【例文】
- 申し開き:ボールを当てたのは、わざとではなく、コントロールに失敗したからだ。
- 申し訳:ボールを当てたのは、コントロールに失敗したからだ。
- 申し開き:全部食べたが決して独り占めするつもりはなく、もうみんな食事を済ませた後だと思っていたからだ。
- 申し訳:全部食べてしまったのは、もうみんな食事を済ませた後だと思っていたからだ。
「申し開き」の使い方
「申し開き」は、相手の自分に対する誤解や疑惑、非難に対して「自分には非がない」と身の潔白や避けられなかった事情や経緯などを説明する際に使います。
ビジネスシーンでは、謝罪の際に「申し開きができない」「申し開きのしようもございません」という形で用います。謝罪の中でも特に相手が納得いくような説明ができない場面で使われ、弁解や釈明もできないほど困っている、追い詰められた苦しい状況を表しています。
「申し開きのしようもない」を使った例文は以下の通りです。
【例文】
- 私が過去に窃盗をしたことは申し開きのしようもない事実です。
- これほど準備期間を設けていただきながら締め切りに間に合わなかったことについて、申し開きのしようもございません。
また、「申し開き」は「申し開きの余地がない」「申し開きの余地もない」という形で使うこともできます。「余地」の意味は「物事をさらに行いうるゆとり。余裕。」です。つまり、「申し開きの余地がない」は、いくら申し開きをしても相手がこちらの弁明に納得してくれない、もしくは申し開きが困難なほど自身が追い込まれている状況を表しています。
「申し開きの余地が(も)ない」を使った例文は以下の通りです。
【例文】
- 彼の態度が変わらないことには申し開きの余地がない。
- 数値の改ざんがあっただけでなく、それを隠蔽したとあっては申し開きの余地もない。
「申し開きが立つ/立たない」という使い方をする場合もあります。「申し開きが立つ」の意味は「弁明が受け入れられる」「身の潔白を理解してもらう」であり、「申し開きが立たない」はその逆に「弁明が受け入れられない」ことを指します。
「申し開きが立つ」を使った例文は以下の通りです。
【例文】
- 彼の態度が改善しないことには申し開きが立たない。
- 今回の大規模障害の責はわが社にはないという申し開きが立って一安心だ。
「申し開き」の類語・言い換え表現
「申し開き」の類語には以下のようなものがあります。それぞれ微妙にニュアンスが異なるため、注意が必要です。
【類語】
- 弁明:相手の誤解を解くために、自分から積極的に説明していくニュアンスがある。
- 釈明:相手から糾弾された時に、事情を説明していくというニュアンスがある。また、客観的に根拠となる事実を説明することによって相手に理解を促すという意味合いを含む。
- 弁解:自分の過ちを正当化するために説明をするというニュアンスがある。
さいごに
「申し開き」の正しい意味や適切な使い方についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
「申し開き」は、相手から誤解や非難を受けた際に、事情や理由を説明して自分の正当性を主張するときに使う言葉でした。ビジネスシーンでは、相手が納得するような説明ができずただ謝罪のみをする場合に「申し開きのしようもない」といった使い方をします。
社会人にとって謝罪は難しいものですが、そうした重要な場面で正しく言葉を使うためにもこの記事を参考にしてください。