「諸々」の意味や正しい使い方はご存知ですか?
読み方は「もろもろ」です。「しょしょ」ではありません。
「諸々ありがとうございます」「諸々の事情により」などと使われるフレーズであり、ビジネスシーンでもよく使用される言葉です。
ここでは「諸々」の意味や使い方についてご説明します。ビジネスメールの例文も紹介するので参考にしてくださいね。
目次
「諸々」の意味
「諸々」とは「多くのもの。さまざまのもの。いろいろなもの」という意味です。
「諸々」は、例えば「諸々の事情」などと後ろに事柄をつけることによって、物事がある状態に至るまでに多くの理由や状態があることを示します。
ちなみに「諸々」で使われる「諸(しょ)」の漢字は、単独でも「いろいろの。いくつかの。多くの」という意味を持ち、「諸事情」「諸国」「諸君」といった複合名詞としても使われます。
「諸々の事情」と「諸事情」の意味は基本的に同じですが、前後の文脈や状況によって使い分けられます。
なお「諸々」は、かしこまった場面で用いられることが多く、公的な文書やビジネスメール、格式ばった場面で使用されるのが一般的です。
ただし、「諸々」は「さまざまの」という曖昧な意味合いを含む言葉のため、具体的な説明が求められる場面での使用には適しません。
「諸々」の使い方
つづいては「諸々」の使い方をご説明します。ビジネスシーンでは依頼・承諾・受領・お礼といった様々な場面で使えます。その状況別の使い方は下記のとおりです。
依頼
- 諸々の事情をご勘案いただき、ご判断いただければと思います。
- 現場の指示や資材調達諸々を含めまして、お願いできればと思います。
承認
- ご指摘いただいた諸々の件、承知いたしました。
- 諸々の件、かしこまりました。
相談・お礼
- 諸々ありがとうございます。
- 日程の再調整や資材のお手配など、諸々のご配慮をいただきありがとうございます。
- 諸々のご相談に乗っていただき、誠にありがとうございました。
連絡
- 明日のミーティングの議題は次の通りです。進捗確認、市場調査の結果、その他諸々。
- 来月のフェアに関する正式な日程・予算・その他諸々についてご連絡いたします。
【要注意】「諸々」は様々な事柄をまとめられる便利な言葉ではありますが、使用を控えるべき場面もあります。
謝罪の場面で「諸々すみません」というまとめ方は失礼に当たります。謝罪するときに「諸々」と省略した伝え方をしてしまうと、投げやりで不誠実な印象を与えてしまいます。
お詫びの気持ちを表すときは「諸々」とは書かず、経緯や理由を明確に示すことが大切です。
また、謝意を伝える場合にも、何に対するお礼なのか「諸々」でまとめずに具体的に列挙することで、丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。
「諸々」を使ったビジネスメールの例文集
「諸々の事情」を使ったメール例文
件名:〇〇のご提案の件 株式会社〇〇〇〇 平素よりお世話になっております。 この度は〇〇に関するご提案をいただき、 社内で検討致しました結果、 ご期待に添えず、大変申し訳ございません。 今回は弊社の業務プロセスを効率化するために 今後、またの機会がございましたら 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 ==================== |
「諸々のご対応」を使ったメール例文
件名:FAX送信のお願い 株式会社〇〇〇〇 お世話になっております。 この度はお忙しい中、ご来社いただき 早速ですが、〇〇様よりご提案いただいたサービスにつきまして つきましては契約書の内容およびお見積もりの明細を ■送信先 お手数をおかけしますが、 ==================== |
「諸々」の類語・言い換え表現
次は「諸々」の類語や言い換え表現をご紹介します。「諸々」との違いについてもお伝えするのであわせて確認しておいてくださいね。
「色々」と「諸々」の違い
「色々」の意味は「異なる事物や状態が数多いこと。さまざま。種々」です。日常的なことをあれこれまとめた表現であり、「諸々」とほぼ同じ意味で使えます。
ですが「色々」は一般的に話し言葉として使われる表現であり、カジュアルな印象を与える言葉なので、ビジネス文書やメールで使用するのはあまり好ましくありません。ビジネスシーンでは「諸々」を使いましょう。
また「色々」と「諸々」には使い方にも違いがあります。「色々」は「色々」「色々な」「色々と」という用法がありますが、「諸々」は「諸々」「諸々の」としか使いません。
【例文】
- 色々とご配慮ありがとうございました。
- 色々な意見が集まった。
「諸般」と「諸々」の違い
「諸般(しょはん)」の意味は「いろいろの事柄。さまざま。種々」です。「諸般の事情」という使い方がメジャーですね。
ちなみに「般」の漢字には「いろいろな事情が複雑に入り混じり混乱する」という意味があります。そのため「諸般」は、複数の物事や事情・背景を特定されたくない場合、曖昧なままにしておきたい場合に使われます。
「諸々」よりも曖昧さの度合いが強く、主にネガティブな結果を伝える際に使われる表現となります。
【例文】
- 諸般の事情を考慮した結果、今日のイベントは中止といたします。
- 諸般の事情により、完成が当初の予定より大幅に遅れる見通しです。
さいごに
ここでは「諸々」の意味や使い方について、ビジネスメールの文例つきでお伝えしましたが、いかがでしょうか。
また、類語や言い換え表現について、それぞれの意味や「諸々」との違いをご説明しましたが、理解できましたか?
使いこなせるようになると便利な言葉なので、この機会に覚えておいてくださいね。