「見受けられる」の意味・使い方(例文)|「見られる・見て取れる」との違い・敬語・類語つき

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「努める・勉める・勤める・務める」の違い|意味や使い方・類語まとめ

「○○と見受けられる」というフレーズはいかにもビジネスパーソンらしい言い回しですよね。

「見受けられる」は、論文や報告書において客観的な視点を表現するのに適したニュアンスを持つ言葉です。しかし、「見受けられる」には意味が複数ある上に、「見られる」「見て取れる」といった似たフレーズの言葉もあります。果たして皆さんは、正しく使いこなせているでしょうか。

ここでは「見受けられる」の意味や使い方を、例文と一緒にご紹介します。類語についてもまとめましたので、是非この機会に正しい使い方をマスターしてくださいね。

「見受けられる」の意味

まず、「見受けられる」の元となる動詞「見受ける」の意味をみていきましょう。

「見受ける(みうける)」には2つの意味があります。一つ目の意味は「見てとる。見て判断する」、二つ目の意味は「見かける。目にとまる」です。

「見受ける」の一つ目の意味「見て判断する」は、実際のところはわからないけれども、視覚からの情報で事情や状況を判断するといった場合に使います。そうして得た情報は事実ではなくあくまで憶測なので、曖昧な「~だと感じる」というニュアンスになります。

「見受ける」の二つ目の意味「見かける。目にとまる」は、離れたところから人や物を目にする、もしくは見て関心をひかれる時に使います。

この動詞「見受ける」に助動詞「られる」が付いてできた言葉が、「見受けられる」です。

助動詞「られる」は受け身、可能、自発、尊敬の4つの意味を持ちますが、そのうち「見受けられる」の「られる」は主に受け身で使われます。つまり、「見受けられる」は能動的に見受けるのではなく、他からの動作を受けて「見たところ~だと感じる」「なんとなく目にとまる」というニュアンスになります。

「見受けられる」の敬語(丁寧語・謙譲語・尊敬語)

ビジネスシーンでは、動作の主体や受け取る相手の立場によって敬語を使い分ける必要があります。ここでは「見受けられる」の丁寧語、謙譲語、尊敬語をご紹介します。

「見受けられる」の丁寧語

「見受けられる」の丁寧語は「見受けられます」です。

「見受けられます」は、「見受けられる」の「られる」を取り、丁寧の助動詞「ます」を付けたものです。丁寧語はどのような立場の人が受け取っても失礼にならないため、広く大勢の人に宛てた文章で用います。

「見受けられる」の謙譲語

「見受けられる」の謙譲語は「お見受けする」「お見受けいたす」です。

「お見受けする」「お見受けいたす」は、「見受けられる」の「られる」を取り、謙譲語の一般形「お~する」「お~いたす」に当てはめたものです。謙譲語はへりくだった表現なので、自分が動作の主体となって「見受けた」ことを目上の人に伝える時に使います。

「見受けられる」の尊敬語

「見受けられる」の尊敬語は「お見受けになる」「お見受けなさる」です。

助動詞「られる」には尊敬の意味もありますが、尊敬以外にも「受け身、可能、自発」と全部で4つの意味を持っています。したがって、より明確に尊敬語だとわかるように「見受けられる」の「られる」を取った上で尊敬語の一般形「お~になる」「お~なさる」に当てはめて、尊敬語「お見受けになる」「お見受けなさる」とします。

尊敬語は目上の人を立てた表現で、動作の主体が目上の人の場合に使います。

「見受けられる」の使い方(例文つき)

「見受けられる」はビジネスシーン全般や、論文・報告書で頻繁に使われる表現です。各場面における使い方を例文と一緒にご紹介します。

ビジネスシーンにおいて、「見受けられる」は相手への気遣いを示す時に用いることができる表現です。主に「お見受けしたところ…」の形で、相手の意図や状況を見て察し「見かけたところ…のように感じる」といった意味合いで使います。

「見受けられる」は、客観的な視点が必要となる論文や報告書においても重宝するフレーズです。

「られる」には受け身の意味があるため、「見受けられる」を使うことで「状況から導き出された必然的な結果を受け取る」という第三者的な立場を示すことができます。ただし、「見受けられる」は断定ではない曖昧な表現です。断定的な表現をするべき文脈では「見受けられる」の使用は避けた方が賢明でしょう。

ビジネスシーンで「見受けられる」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • お見受けしたところ、非常にお疲れのようです。少し休憩を挟んではいかがですか。
  • お見受けしたところ、業務量の増加で手が回らないようでしたので、スタッフを増やすよう手配しました。

また、論文や報告書などで「見受けられる」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • データAとデータBに有意差はないように見受けられる。
  • 実際の購買層は、当初のプランに概ね合致しているように見受けられる。

「見て取れる」「見られる」との違い

「見受けられる」と似た表現に「見て取れる」「見られる」があります。

「見て取れる」は、「見て取る」に助動詞「れる」が付いた言葉です。「見て取る」の意味は「見てそれと知る。認める。また、見ただけで事情を感じ取る。見抜く」であり、「見受ける」とは同義です。しかしながら、「見て取れる」は「見受けられる」に比べてやや砕けた表現のため、フォーマルな場では「見受けられる」を使うのがふさわしいでしょう。

「見られる」も、「見る」に助動詞「られる」を付けてできた言葉です。「見る」の意味には、「見受ける」と同じく「観察し、判断する」「視覚に入れる。眺める」がありますが、それ以外にも「見る」は「世話をする」「こころみる」「経験する」と大変幅広い意味を持っています。さらに、「見受けられる」が「見たところ~だと感じる」と曖昧なニュアンスで用いるのに対し、「見られる」は物事を断定するニュアンスで用います。

以上のことから、「見受けられる」「見て取れる」「見られる」は表現の固さや文脈のニュアンスによって使い分けましょう。

「見受けられる」の類語・言い換え表現

「見受けられる」の類語には、以下のようなものがあります。

【類語】

  • 考えられる
  • 判断される
  • 認識される
  • 拝察する

「拝察する」は「推察する」の謙譲語なので、自分が動作の主体となった場合に使います。したがって、相手の動作に対して「拝察しましたか」とするのは誤用です。「拝察する」は主に会話や手紙のあいさつ文などで、自分が相手の状況や心情を思いやる時に使います。その際は「拝察いたします」「拝察申し上げます」の形で用いるのが一般的です。

さいごに

ここまで「見受けられる」の使い方についてご説明してきましたが、いかがでしたか?

「見受けられる(みうけられる)」の「見受ける」の意味は、「見て判断する」と「見かける」の2つです。これらに受け身の「られる」を付けることで、「状況から必然的にそう判断できる」といった客観的な立場を示すことができます。また、「お見受けしたところ」の形にすると、口には出さない相手の意図や状況を汲んで伝えることができる表現になります。

このように「見受けられる」は相手への気遣いも示せるフレーズなので、積極的に活用してみてくださいね。

ビジネスパーソンとして、「見受けられる」を上手に使いこなせるようになることを心より願っています。

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