「薫陶」の意味・使い方・類義語|「薫陶を受ける」の例文つき

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「薫陶」の意味・使い方・類義語|「薫陶を受ける」の例文つき

「薫陶」という言葉をご存知ですか?

講演会などで、講演者を紹介する際に「〇〇先生の薫陶を受け…」という使い方をしたり、結婚式で新郎新婦が恩師の紹介をするときに「〇〇先生の薫陶よろしきを得て」という表現が使われたりします。

日常会話のなかであまり使われる表現ではありませんが、ビジネスシーンやかしこまった場で見聞きする言葉です。

ここでは「薫陶」の意味や使い方を詳しく解説します。「薫陶を受ける」の使い方や、例文についても紹介するので参考にしてくださいね。

「薫陶」の意味

「薫陶」の読み方は「くんとう」であり、意味は「優れた人格で人を感化し、教育すること」です。

簡単に言うと、人徳や品位のある人が教育するということです。ただ、ここでの「教育」とは、勉強や技術を教えるという意味ではなく、人格面を含めた道徳的な教育という意味となります。

また、現在では人格面ばかりでなく、一般的に教えを受けることにまで意味が広がっていますが、今でも変わっていないのは、教えを授けた人(薫陶を与える側)に「徳がある」「立派な人格者である」と敬意を示して表現している点です。

「薫陶」の漢字の成り立ちからも意味を理解することができます。「薫」という漢字には「香を焚きしめること」、「陶」は「陶器を作る」という意味があります。

平安時代の貴族は、お香を焚いて、髪や衣服・部屋に匂いを染み込ませる習慣がありました。お香によって良い香りがするように、「徳の力で善に導いたり、感化したりすること」を「薫化(くんか)」というようになりました。

また「薫陶」の「陶」には「陶器を作るように事を行う、変化させる」という意味から「教え導く」という意味が生まれました。

つまり「薫陶」とは、「お香をたいて香りをしみこませ、粘土を焼いて陶器を作り上げるように、徳で人を感化し、優れた人間を教育すること」という意味があるのです。

「薫陶」の使い方

「薫陶」は、主に2つの使い方があります。

一つ目は、こちらが受け身の立場として使います。

教授から指導いただいたときなど、優れた人格を持った人物から教えを受けたときに「薫陶を賜る」「薫陶を受ける」などと使います。ビジネスシーンや畏まった場面での挨拶文や書面で使われる表現ですね。

二つ目は、第三者のことを誰かに話すときです。「先生は弟子たちに薫陶を与える」「教授が生徒に薫陶を授ける」などと伝えるときに使います。

ですが、自分に対して「私は部下に薫陶を与えた」「(私が)弟子たちに薫陶を授ける」という使い方はしません。自身を人格者であると己惚れているように受け取られるため、気をつけましょう。

【例文】

  • 教授の薫陶を受けた生徒たちの多くは世界中で活躍している。
  • 〇〇君は大学で教授の薫陶よろしきを得て、すばらしい才能を発揮するようになった。
  • これもひとえに先生の薫陶の賜物です。
  • 大過なく任期を全うできたのも、皆様のご薫陶とお力添えのおかげでございます。
  • 先生は多くの弟子たちに薫陶を与えた。

「薫陶を受ける」とは

「薫陶を受ける」とは「人徳や品格のある人から影響されて自身の人格が磨き上げられること。感化されること」という意味です。

たとえば、「先生の薫陶を受ける」の表現で、徳のある人物として先生に敬意を示していること、その教育の素晴らしさを表しています。

【例文】

  • 現社長は会長から薫陶を受けたことで、さまざまな分野で活躍することができた。
  • アメリカに留学し、医療の分野で著名な先生から薫陶を受ける。
  • 書道の先生から薫陶を受けて、勉学のみならず人としても成長することができた。

「薫陶」の類義語・言い換え表現

「薫陶」と似た意味を持つ類義語は下記のとおりです。

  • 教化:教えて人を良い方に導くこと
  • 感化:影響を受けて良い方向へ進むこと
  • 徳化:徳によって人に良い影響を与えること
  • 教育:能力を育て、伸ばすために教えること。広義の教育。
  • 指導:ある方向に教え、導くこと。
  • 垂範:指導すべき立場の人が、実際に模範を示すこと。
  • 啓発:あまり行われていない考え方や気づかない点を教え示すこと。
  • 啓蒙:無知の人々を啓発し導くこと。

まとめ

「薫陶」といわれても、最初は読み方さえわからない、と思った人も多かったかもしれません。そのくらい、現代の私たちには、縁の薄い言葉です。

でも、ここで意味を理解して、例文によって使い方や類義語を把握すれば、次に耳にしたり、目にしたりしたときも、パッと意味を理解できるでしょう。

意味を把握てきたら、次は、公式の場で挨拶する際や自己紹介のとき、自分の尊敬する先生、お世話になった立派な先生を思い出して、その名を挙げ、「先生の薫陶を受け」と言ってみてくださいね。

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