日本語には読み方が同じ言葉がたくさんありますよね。
「答える」と「応える」はどちらも「こたえる」と読みますが、ニュアンスが微妙に異なります。
ここではそんな同音異義語「答える」「応える」を取り上げて、違いをご紹介します。この機会にそれぞれのニュアンスを理解し、正しく使い分けられるようになってくださいね。
「答える」と「応える」の違い
「答える」と「応える」は、どちらも相手へ反応を返すという点では共通しています。しかし、相手からの投げかけにどのようにこたえるかが異なります。そこに注目して、それぞれの語について詳しくみていきましょう。
「答える」の意味・使い方(例文つき)
「答える(こたえる)」の意味は、「相手からかけられた言葉に対して返事をする」「質問や問題に対して解答を出す」です。
「答える」の意味は、「答」の字を使った熟語を考えると理解しやすくなります。「答弁」「正答」「問答」など、相手からの問いかけに具体的な返事や解答をするという使い方をします。
「答える」を使った例文は、以下の通りです。
【例文】
- わが社への疑いを晴らすには、原因追求のための厳しい質疑にも真摯に答えるべきだ。
- 二つ目のご質問については、別の部署の担当者よりお答えします。
- 守秘義務により、その質問にはお答えすることができません。
- 当社製品のお問い合わせについては、メールにて5営業日内にお答えします。
- この度のPRがいかに効果的だったか、その答えはSNSの投稿数からも明らかです。
「応える」の意味・使い方(例文つき)
「応える(こたえる)」の意味は、「働きかけに対して、それに添うような反応を示す。応じる。報いる」です。
「応える」の意味は、「応」の字を使った熟語を考えると理解しやすくなります。「応酬」「応答」「呼応」など、相手からの働きかけに何かしらの受け応えをすることを指します。
「答える」の場合、相手から投げかけられるのは質問や問題です。よって、相手に返すのは返事や解答といった具体的な返答となります。一方の「応える」の場合には、相手から受け取るのは、期待や要望などの漠然としたものです。そうした働きかけに対しては、相手の意図に添うような言動で応じる必要があります。
なお、「応える」の意味には他にも「外からの刺激を身に強く感じる」「反響する。こだまを返す」「心にしみわたる。しみじみと感じる」があります。
【例文】
- より多くのお客様のご要望に応えられるよう、サービス内容を見直しましょう。
- リーダーに推薦してくださった皆様のご期待に応えられるよう、誠心誠意努めていく所存です。
- 彼に関しては、大胆な起用に応える働きを見せていると評判だ。
- たくさんの声にお応えして、キャンペーン期間の延長を検討いたします。
- 久しぶりに会った同僚から挨拶をされたが、とても多忙だったので手を振って応えるだけに留めた。
「答える」「応える」の類語・言い換え表現
「答える」「応える」の類語には、それぞれ以下のようなものがあります。
【答えるの類語】
- 返答する:問いに対して答えること。また、その答え。返事。
- 返事する:呼びかけに対して答えること。
- 回答する:質問・要求などに答えること。また、その答え。
- 応答する:問いかけや呼びかけに答えること。受け答え。
【応えるの類語】
- 対応する:周囲の状況などに合わせて事をすること。
- レスポンス:応答。反応。対応。返事。
さいごに
ここまで「答える」「応える」の違いについてご説明しましたが、いかがでしたか。
「答える」「応える」の違いは、相手へどういったリアクションをするかです。「答える」は相手からの問いかけに対する具体的な返事・解答を、「応える」は相手からの働きかけに応じる言動を指します。
ビジネスシーンでは、相手からの質問に答える、要望に応えるといった場面が多くあります。文書にする際、適切に「答える」「応える」を書き分けられるようにこの機会に是非マスターしてくださいね。
このページが、「答える」「応える」の違いを理解する助けになれば幸いです。