「警鐘」の意味や使い方はご存知でしょうか?
読み方は「けいしょう」です。ビジネスシーンでは「警鐘を鳴らす」「警鐘する」といった言葉を聞くことがありますよね。
「警鐘」は「注意をうながしているんだな」という、おおよその意味はわかっても、正確に理解している人は意外に少ないものです。
ここでは「警鐘」の意味と正しい使い方について詳しく解説します。「警鐘を鳴らす」「警鐘する」の正しい使い方についてもお伝えするので参考にしてくださいね。
「警鐘」の意味・使い方
「警鐘」は「けいしょう」と読みます。「けいりん」ではありません。
「警鐘」は「(1)火災・洪水などの危険が迫っていることを知らせるために鳴らす鐘」「(2)よくない事態に向かっていることを告げ知らせること。警告」という二つの意味があります。
「警鐘」には「鐘」そのものの意味と、鐘を鳴らして周囲に知らしめるイメージの「警告」という意味があるのですね。
元々は、火災や洪水、戦いなどの危険が迫ると、消防団が警戒を促すために鐘を打ち鳴らして周囲に知らせていたことから、(1)の意味で使われていましたが、現代では(2)の意味でビジネスシーンや新聞、ニュースで使われています。
また、「警鐘」は本来、命の危険が迫っているときに警告する意味で使う語でしたが、現在では社会の状況を憂慮して警告を促すときに使われることが多いです。
【例文】
- プラスチックの海洋汚染について環境団体が警鐘を鳴らしている。
- 過剰なダイエットの流行に、医師が警鐘を鳴らす。
- 絶滅危惧のウナギを消費することに研究科が警鐘を鳴らす。
「警鐘を鳴らす」「警鐘する」の使い方は正しい?
「警鐘」は、「警鐘を鳴らす」という表現で使われることが非常に多い言葉です。
「警鐘を鳴らす」とは「事態が悪い方向へ向かおうとしていることを指摘して、警戒を促す」という意味です。
前章の例文でも「警鐘を鳴らす」という言い回しを紹介しましたが、状況がよくない方向へ進んでいるときに使う表現です。
「警鐘する」の使い方は間違い
また、「警鐘する」という表現を見かけることがありますが、この使い方は正しくありません。「名詞+する」の使い方は文法的に間違いです。
「警鐘」には「警告」という意味はあるものの、あくまでも名詞の「鐘」の意味です。「鐘する」がおかしいように、動詞として「警鐘する」という使い方はできないのです。
なお、「未来からの警鐘」「地球温暖化に警鐘」のような新聞記事の見出しや本の題名を目にすることがありますが、これは「警鐘」を名詞として使っているため、誤りではありません。
「警笛を鳴らす」は?
ちなみに、「警鐘」とよく似た言葉に「警笛(けいてき)」があります。
「警笛」とは「交通機関で自らが近づくことを他の交通対象に知らせるための警告音」という意味があります。
「警戒や注意を促す」という意味合いが含まれることから「警鐘を鳴らす」の代用として「警笛を鳴らす」を使う方がいますが、これも間違いです。そもそもの意味が異なるため、気をつけましょう。
「警鐘を鳴らす」の類語・言い換え表現
「警鐘を鳴らす」には次のような類語があります。
- 警告する
- 警戒を促す
- 警戒を働きかける
- 注意喚起する
- 注意を呼びかける
- 危険性を訴える
- 忠告する
- 用心を促す
- 釘を刺す
- Warning(警告、注意、戒め、兆候、前兆)
さいごに
「警鐘を鳴らす」の意味と使い方と、「警鐘する」は誤りであること、理解していただけましたか?
「警鐘を鳴らす」を使うのは、その対象が「社会全体や環境、または多数の人々に影響するような事態」であるときに使います。
「とりわけこの問題には、みんなに危機感を持って欲しい!」と思ったことを述べるときに使うと効果的です。