「重ねて」の意味・使い方(例文)|「重ね重ね」「合わせて・併せて」との違い、類語・言い換え表現まとめ

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「重ねて」はビジネスシーンで頻繁に使われるフレーズのひとつです。

字面から意味は明白ですが、似た表現の「重ね重ね」「合わせて」「併せて」との使い分け方はご存知でしょうか。

ここでは「重ねて」の意味や使い方をご紹介します。

ビジネスシーンで頻繁に登場するフレーズもご紹介しますので、是非この機会にマスターしてくださいね。

「重ねて」の意味

「重ねて」の意味は、「同じことを繰り返すさま」です。

「重ねて」は動詞「重ねる」に助詞「て」をつけて副詞にしたもので、連用修飾語として後に続く動詞に「繰り返し」という意味を付け加えます。

例えば「重ねて要求する」「重ねて指摘する」といったように、行為や事態について「もう一度。再び」というニュアンスで使います。狂言の演目「千鳥(ちどり)」「鱸庖丁(すずきぼうちょう)」では「重ねて」を「この次。今後」という意味で用いますが、一般的にはこの意味で使うことはほぼありません。

「重ねて」の使い方(例文つき)

「重ねて」は主に書き言葉として、手紙やメールで使います。

ここではビジネスシーンでよく使われる「重ねて」を使ったフレーズをご紹介します。

重ねて御礼

「重ねて御礼申し上げます」は、繰り返しお礼を伝える際に使う表現です。

「御礼申し上げます」は感謝やお礼の気持ちを伝える謙譲表現です。頭に「重ねて」を付けることで、文章中にお礼を伝える事柄が複数ある場合や、同じ事柄について繰り返しお礼を伝える際に使います。基本的には文章の最後で用い、締めの言葉とします。

「重ねて御礼」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 平素よりご利用ありがとうございます。また、今回は他のプランもお申込みいただけるとのこと、重ねて御礼申し上げます。
  • 先日は、お忙しい中修理に来ていただきありがとうございました。おかげさまで、大きなトラブルに発展することなく事態を収束することができました。重ねて御礼申し上げます。
  • この度は、遠方よりお越しいただきましてありがとうございました。また、A社の件では様々なお気遣いをいただきまして、重ねて御礼申し上げます。

重ねてお詫び

「重ねてお詫び申し上げます」は、深く謝罪をする際に使う表現です。

一つの事柄について繰り返し深くお詫びをする場合と、複数お詫びする事柄がある場合に「重ねて」を使って謝罪します。「重ねて」を使って深くお詫びすることで、相手に対して真摯な謝罪をすることができます。既に謝罪したものの相手の理解がなかなか得られない時などに「重ねてお詫び申し上げます」を用いると、スマートに繰り返し謝罪することができます。

なお、謝罪の言葉を付けて「重ねて申し訳ありません」としないよう注意しましょう。

「重ねてお詫び」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 注文品と異なるものをお届けしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。また、交通網の乱れにより配送に遅れが生じましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
  • この度は、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。今後はこのようなことがないよう社員教育を徹底してまいります。重ねてお詫び申し上げます。
  • 度重なるミスで多大なるご迷惑をおかけしまたしたこと、重ねてお詫び申し上げます。

重ねてお願い

「重ねてお願い申し上げます」は、相手に繰り返しお願いする際に使う表現です。

口頭でお願いしたことを再度メールでお願いしたり、一度お願いした事柄に対して繰り返し念を押す時に用います。

「重ねてお願い」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 是非本企画にご参加いただければ幸いです。また企画の周知に関しましても重ねてお願い申し上げます。
  • 当日は同封した参加証を忘れずにご持参ください。また、集合時間の厳守についても重ねてお願い申し上げます。
  • 先日お会いした際にお伝えしましたが、本体価格の引き下げのご検討を重ねてお願い申し上げます。

重ねてお祝い

「重ねてお祝い申し上げます」は、繰り返しお祝いをする際に使う表現です。

お祝いの言葉を繰り返し伝えることで、心の底から相手を祝う気持ちが表現できます。結婚式のスピーチなどで用いられることが多い表現で、初めにお祝いの言葉を述べて、結びの言葉として再度お祝いの言葉で締める際に用います。

この時に「重ねておめでとうございます」とは使わないので、注意しましょう。

「重ねてお祝い」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 株式公開、誠におめでとうございます。また、実店舗数も100店を超えたとのこと、重ねてお祝い申し上げます。
  • この度は、受賞おめでとうございます。益々のご活躍をお祈りいたします。重ねてお祝い申し上げます。
  • ご結婚おめでとうございます。新しい命も授かっているとのこと、重ねてお祝い申し上げます。

重ねての~

「重ねての」は「もう一度。再び」という意味で、名詞の前に付けるフレーズです。

相手に繰り返し何かを働きかける場合に使うという点では「重ねて」と同じですが、文法的な使い方が「重ねて」とは異なります。

本来「重ねて」は副詞として「御礼申し上げます」といった動詞を修飾しますが、格助詞「の」を付けることで「重ねての」は連体修飾語となり、名詞に付けられるようになります。具体的には、「重ねてのご連絡となりますが」「重ねてのご連絡失礼いたします」といったように使います。

「重ねての」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 重ねてのご照会でお手数をおかけしますが、お手すきの際によろしくお願いいたします。
  • 重ねての注意喚起となりますが、くれぐれもお忘れ物のないようお願いいたします。
  • 重ねてのお願いで恐縮ですが、来期も引き続き弊社商品をご利用いただきますようご検討くださいますと幸いです。

「重ねて」と「重ね重ね」との違い

「重ねて」と「重ね重ね(かさねがさね)」では、繰り返す回数が異なります。

「重ね重ね」の意味は、「同じようなことが繰り返されるさま」です。ニュアンスに注目すると、「重ねて」が「もう一度」と2度目であるニュアンスを持つのに対し、「重ね重ね」は「たびたび」というニュアンスで何度もしばしば繰り返す場合に用いるのが適切です。

「重ね重ね」は他にも、あとに続く文章を強調したい場面で用います。「くれぐれも」「じゅうじゅう」という意味合いで、「重ね重ねお願いします」と念入りに相手に頼み込んだり、「重ね重ねお詫び申し上げます」と自分の心情の深さを相手に伝えようとする際に用います。

「重ねて」と「合わせて」「併せて」との違い

「重ねて」と「合わせて」「併せて」は、意味が異なります。

「重ねて」が複数のものを積み重ねること指すのに対し、「合わせて」「併せて」は「複数のものをひとつにまとめること」を表します。

さらに、「合わせて」と「併せて」は、何をひとつにするかで使い分けます。

「合わせて」は同じ性質のものをひとつにまとめること、「併せて」は異なるものをひとつにまとめることです。具体的な使い方を挙げると、「合わせる」は「支出を合わせて払う」「力を合わせる」、「併せる」は「いくつかの部署を併せる」「成功と健康を併せて祈る」と使います。

つまり、異なる複数の事柄に対して使う「重ねて」は、以下のように「併せて」に言い換えることが可能です。

  • 新商品に関するパンフレットを同封しましたのでご確認ください。また、導入のご検討も重ね重ねよろしくお願い申し上げます。
  • 新商品に関するパンフレットを同封しましたのでご確認ください。併せて、導入のご検討もよろしくお願い申し上げます。

「重ねて」の類語・言い換え表現

「重ねて」の類語には、以下のようなものがあります。

【類語】

  • 度々(たびたび):何度も繰り返し行われるさま。いくども。しばしば。
  • 再三(さいさん):ある動作が二度も三度も行われること。副詞的にも用いる。たびたび。しばしば。
  • 幾重にも(いくえにも):何度も繰り返すさま。

さいごに

ここまで「重ねて」についてご説明してきましたが、いかがでしたか。

「重ねて」は、「もう一度。再び」と繰り返すさまを表す語です。一般的には書き言葉で用い、文中で「お礼」「お詫び」「お願い」「お祝い」を繰り返し述べる際に使います。

「重ねて」は正しく使うことで、深く真摯な気持ちを相手に伝えることができる表現です。とても重宝するフレーズなので、積極的に使えるようになるといいですね。

この記事を「重ねて」の正しい理解にお役立ていただければ幸いです。

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