ビジネスで様々な人と接していると、心を動かされて「素晴らしい!」と感じるシーンもあるでしょう。そんな時、相手の方に自分の気持ちをどのように伝えていますか?
ストレートに「素晴らしいですね!」と感情を表現する方法もありますが、「感服」「脱帽」「敬服」という言葉に言い換えることによって、より正確にあなたの心情を伝えることができたり、かしこまった場面や相手など、その場の雰囲気に適した伝え方ができたりするでしょう。
ただ、日常生活のなかではそれほど馴染み深い言葉ではないため、使い方を正しく理解できていない方も多いはず。ここでは、「感服」「脱帽」「敬服」のそれぞれの意味を詳しく解説し、細かなニュアンスの違いについてもお伝えします。ビジネスメールの例文も挙げて、注意点も紹介するので参考にしてくださいね。
目次
「感服」の意味・使い方
「感服(かんぷく)」には、「深く感心して、尊敬・尊重の気持ちを抱くこと」という意味があります。
相手の行動や技術に感心し、敬意を表す場合に用いられます。具体的な使い方は、下記の例文を参考にしてください。
【例文】
- 危険を察知し、迅速に対応したあなたの行動力に感服した。
- 売上目標を必ず達成するという約束を果たした山田主任には感服したよ。
- 重苦しい雰囲気を和ませる彼女の話術には、感服するばかりだ。
- 大事な場面で結果を出すプロスポーツ選手の精神力の強さに観客一同、感服した。
例文からも分かるように、「感服」は行為・技術に対する尊敬の念を表しています。
「脱帽」の意味・使い方
「脱帽(だつぼう)」は、敬意を表すために帽子を脱ぐ事から、相手に対して「参りました」という気持ちを比喩した言葉です。「降参する」「自分より上だと認める」といった意味を含みます。
「帽子を脱ぐ」という意味で「脱帽」が使われることもありますが、ここでは比喩的な表現としての「脱帽」について解説していきます。
【例文】
- どんなに失敗しても決して諦めない彼の熱意には、脱帽させられる。
- 通りすがりの学生による勇気ある行動には脱帽したよ。
- 彼の人並み外れた運動能力には脱帽したよ。
- 〇〇君の努力には脱帽だ。
どの例文も、「参りました」という気持ちで自分より上だと認めているニュアンスが伝わってきますね。
「敬服」の意味・使い方
「敬服(けいふく)」には、「尊敬の念を抱いて従うこと・感心すること」という意味があります。
ある人の人間性や振る舞いに日頃から感心している様子を表し、相手を敬うというニュアンスが強い言葉です。心から尊敬できる方に敬意を伝えたい時には、「敬服」を使うといいですね。
【例文】
- 部長の細やかなお心配りにはいつも敬服しております。
- 素晴らしい成績を収めながらも、少しも驕らない彼の人柄には敬服いたします。
- 先日のミーティングで、〇〇課長の行動は敬服に値する、と話題になった。
- 社長の手腕は敬服の至りに存じます。
「感服・脱帽・敬服」の違い
どれも敬意を表す言葉ではありますが、微妙に意味やニュアンスに違いがあります。それぞれの言葉を比較して、違いを明確にさせましょう。
- 感服:技術や行為に対して深く感心すること
- 脱帽:ある人が自分より上だと認め感心すること
- 敬服:人間性や振る舞いに尊敬の念を抱き従うこと
「感服・脱帽・敬服」に共通する点は、相手に対して感心する気持ちを表している点です。
違いは、「感服・敬服」は、感動する気持ちを伝える表現であるのに対し、「脱帽」には「自分と比べて相手が上だと認める」という意味合いが含まれている点です。
また「感服」が他人の技術や行為への感心であるのに対し、「敬服」はその人自身に対して尊敬の念を抱くことを表しています。
目上には「敬服」を使うのが無難
「感服・脱帽・敬服」は、「感心」や「尊敬」の意味を表す言葉ですが、目上の人に使うときは「敬服」を使うのが基本です。
ではなぜ、「脱帽」「感服」が相応しくないのか、それぞれ理由を説明します。
まず「脱帽」は「自分と比べて相手が上だと認める」という意味合いがあることから、自分と同等か目下の人に使うのが適切です。「脱帽」は「参りました。自分より優れていると認めます」と言っているのと同じこと。目上の人に使うのは失礼であり、違和感がある言葉です。言葉遣いに厳しい目上の人だと、不快に思う場合もあるので、くれぐれも避けましょう。
「感服」には「深く感心する」という意味がありますが、そもそも「感心する」という言葉は自分と同等か、目下の人に使う言葉。相手によっては「目下と思われている?」と感じる場合もあるので、目上の方に使うのは避けた方が無難です。
その点、「敬服」は「尊敬の念を抱き従うこと」の意を表す言葉のため、目上の方に使っても問題ありません。
「敬服」「感服」を使ったビジネスメールの例文集
「敬服しました」を使ったメールの例文
件名:受賞のお祝い 〇〇課長 お疲れ様です。営業部の△△です。 この度は、年に一度の社内表彰式にて お客様の悩みと誠実に向き合う、 今後とも、ご健康に留意され、 メールにて恐縮ですが、 ==================== |
「感服いたしました」を使ったメールの例文
件名:ゴルフコンペご招待のお礼 株式会社〇〇〇〇 平素より大変お世話になっております。 先日は貴社主催のゴルフコンペにお招きいただき、 おかげ様で、楽しいひと時を過ごすことができました。 また、貴社の社員の方々は皆様、ゴルフがお上手でしたが、 今後も仕事のほうにて何かとお世話をかけると存じますが、 本来ならば直接お伺いのうえ、 本当にありがとうございました。 ==================== |
まとめ
日常会話ではあまり使う機会のない「感服」「脱帽」「敬服」ですが、ビジネスシーンで「素晴らしい!」と心を動かされた時には、ぜひこの3つの言葉を使い分けて気持ちを表現してみてください。
どの言葉も尊敬を意味する言葉ですが、それぞれの意味には微妙な違いがあり、使い方を間違えると敬意を表したつもりが逆に失礼に当たる可能性もあるということが分かりました。
この機会に「感服」「脱帽」「敬服」の使い分け方をマスターし、相手や状況に合わせて相応しい言葉がすぐに出てくるようにしておきましょう。