日本語には音や漢字、意味が似ている言葉がたくさんあるので、使い分けが難しいですね。
似た言葉に「順次」「逐次」「随時」があります。
ビジネスシーンでは「順次受付を行います」「逐次発表をお願いします」などの使い方をしますが、あなたは正確な意味や正しく使い分け方を理解できていますか?
「順次」「逐次」「随時」は、どれも物事を行う順や時間を表す言葉ですが、読み方が似ていることから意味の違いや使い分け方がはっきりと分かっていない方も多い言葉です。
ここでは「順次」「逐次」「随時」の意味や違い、使い分け方について例文をあげて解説するので参考にしてくださいね。
「順次・逐次・随時」の意味
まずは「順次・逐次・随時」のそれぞれの意味や使い方についてお伝えします。
- 順次:次から次へ順を追ってすること。
- 逐次:順序を追って次々に。
- 随時:好きなときにいつでも。
以上から、3つの言葉の中でも「随時」だけは異質であることが分りますね。これから、さらに詳しい意味を解説していきます。
「順次」の意味・使い方
「順次(じゅんじ)」には「次から次へ順を追ってすること。順繰り。順々」という意味があります。
「順次」には「順番」「順序」といった熟語でも使われる「順」という漢字が含まれていますね。「順」には「ある基準に従った物事の配列」という意味があります。「ある基準」ということは、必ずしも1、2、3…と順番どおりでなくてもいいということです。
【例文】
- 準備が整い次第、順次発送いたします。
- 順次対応いたしますので、窓口までお越しください。
1つ目の例文は、「準備が整ったものから順に」、2つ目は「窓口に来た方から順に」という意味合いになります。
「逐次」の意味・使い方
「逐次(ちくじ)」には「順序を追って次々に。順次」という意味があります。
「逐」という漢字には「追う。順を追って進む」という意味があります。「逐次」の意味を正しく理解するには、「逐」に含まれる「順を追って」という意味が大きなポイントになるでしょう。
「順を追う」ということは、1、2、3…と決められた順に従って進んでいくということです。例文で確認してみましょう。
【例文】
- それでは、逐次発表をお願いします。
- 最初のページから、逐次説明を行います。
1つ目の例文は、「決められた順番どおりに」という意味になり、2つ目は「1ページ目から順に」という意味になります。
「随時」の意味・使い方
「随時(ずいじ)」は「好きなときにいつでも。気の向いたおりに。ときどき」といった意味です。
「順次」や「逐次」とは明らかに異なる意味を持ちますね。「随時」には「順に」というように基準に従う意味合いが含まれず、「好きなとき」「気が向いたとき」というニュアンスになります。
【例文】
- 見学は随時受け付けております。
- ホームページの内容は、随時更新しております。
1つ目の例文は、希望する時にいつでも見学ができることを伝えています。また、2つ目の例文は、特に日時を決めず気の向いた時に更新していることを表します。
「順次・逐次・随時」の違い・使い分け方
つづいては「順次」「逐次」「随時」の違いについてお伝えします。
上記したそれぞれの意味から、まず「随時」だけ他の二つと違うことがわかると思います。「随時」には「好きなとき」「気が向いたとき」という意味があり、順番に行うのではありません。
それに対し、「順次」と「逐次」には「順番に行う」という意味が含まれるものの、細かな違いがあるため使い分けには十分に気をつけなくてはなりません。
「順次」には「あらかじめ決められた順番はないけれど次々に物事をこなしていく」というニュアンスが含まれます。簡単に言えば、そこまで順番にこだわらないということです。
一方で「逐次」には「前もって決まっている順番に従って進めていく」というニュアンスがあります。
ちなみに、新聞や雑誌など、終期を決めずに号数を重ねながら刊行される出版物の総称を「逐次刊行物」ということも豆知識として覚えておくといいですね。
それでは、例文を参考に使い分け方を見ていきましょう。
【例文】
- 順次質問を受け付けますので、挙手をお願いします。(思いついた方から順番に質問を受け付ける)
- 逐次質問を受け付けますので、1番の方から順にお願いします。(1番から順番に質問を聞いていく)
- 質問は随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。(いつでも気の向いた時に質問してよい)
例文を比較することで、3つの言葉の違いが分りやすくなりましたね。
まとめ
ここでは「順次」「逐次」「随時」のそれぞれの意味や違いについて解説しましたが、いかがでしょうか。
特に使い分けが難しい「順次」と「逐次」も、「順」や「逐」といった漢字に含まれる意味まで理解しておくことで、間違ったシチュエーションで使ってしまうこともありません。
ビジネスやかしこまった場面では、勝手に順番を変えてしまうことが相手に悪い印象を与えてしまうこともあります。
「逐次発表してください」と言われているのに、思いつきで「では次は私が…」と手を挙げてしまうような失敗もしないはず。「順次」「逐次」「随時」を正しく理解して、誰に対しても失礼のないように気をつけましょう!