「異常」と「異状」の違い・使い分け方|意味・使い方も徹底解説

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「異常」と「異状」の違い・使い分け方|意味・使い方も徹底解説

突然ですが、「異常」と「異状」の違いや使い分け方をご存知ですか?

「異常」と「異状」は読み方が同じでも、異なる漢字を使用していることから、意味や使い方には細かな違いがあります。

たとえば、「いじょうはありません」と伝えるとき、そのときの状況によって「異常」と「異状」のどちらの漢字を使うのかが変わってくるのです。

ここでは、「異常」と「異状」の意味や使い方はもちろん、違いや使い分け方についても詳しくお伝えします。類語も紹介するので参考にしてくださいね。

「異常」の意味・使い方

「異常」とは「普通と違っていること。正常でないこと。また、そのさま」という意味です。

「異」の意味は「他と違っていること」、「常」には「ふだん。平素」という意味があることから、これらの言葉を並べた「異常」は「通常と異なっている」という意味になることがわかりますね。

「異常」の使い方は、「異常あり(異常なし)」というように名詞で使うほか、「異常な暑さ」や「異常な現象」などと形容詞(形容動詞)で用います。

また、「異常気象」や「異常震域」などと熟語としても使われます。

【例文】

  • 今年の夏は異常に暑い。
  • 北海道の冬の寒さは異常だ。
  • 昨日の彼の行動は異常だった。
  • 世界各地で異常気象が原因と思われる現象が多発している。
  • 検査の結果、異常は認められませんでした。

「異状」の意味・使い方

「異状」とは「普通とは違う状態」という意味です。

上述した通り、「異」の意味は「他と違っていること」ですね。「状」は「状態」「症状」「現状」でも使われる漢字ですが、意味は「実際のありさま。すがた・かたちや、なりゆき」です。

これらの意味から、「異状」は「異なった様子」を表す語となります。

「異状」は、名詞としてのみ使われます。「異状がある・ない」といった使い方ですね。

そのため、「〇〇は異状だった」という形容動詞としての使い方はできません。

【例文】

  • 数日前から、耳に異状が感じられる。
  • 建物内の見回りを行いましたが、特に異状は見つかりませんでした。
  • エンジンをかけた際に、いつもとは違う音が聞こえると異状を訴えた。
  • 食事のたび、喉に異状を感じるので精密検査を受けたが、特に異常は見つからなかった。

「異常」と「異状」の違い・使い分け方

これまでは「異常」と「異状」の意味や使い方についてお伝えしました。つづいては「異常」と「異状」の違いや使い分け方についてご説明します。

上述したとおり、「異常」は名詞のほか、形容詞や形容動詞として使えますが、「異状」は名詞のみでしか使えません。したがって、名詞でなければすべて「異常」と表記しましょう。

では、名詞として使うときはどのように使い分けるべきなのでしょうか。

使い分け方を理解するためには「異常」と「異状」のそれぞれの意味をおさらいしておきましょう。

「異常」の意味は「普通と違っていること。正常でないこと」、「異状」は「普段とは違う状態・様子」でしたね。

数値から判断するときや、データを見て正常ではないことが明らかなときは「異常」を使います。

たとえば、機械の点検の結果、不具合が見つかったときは「異常」を使います。数値としてはっきりと違いが出ていることや、正常ではないことが明らかだからです。

一方で、普段とは様子が違うと感じられたり、普通とは違う状態が目に見えるなど、感覚的に違う場合は「異状」を使います。

たとえば、警備員が警備巡回中、「様子や状態を目で見て、変わったと感じたことはない」という感覚的な状況・様子を報告するときは「異状」を使います。「異状はありません」といいますよね。

ここで注意しないといけないのが、健康に関する「いじょう」の使い分け方です。

病院での精密検査や血液検査の結果をお医者さんが患者に伝えるとき、お医者さんはデータを基に、患者に診断結果を伝えます。そのため、この場合は「異常」を使います。

ですが、お医者さんの問診や簡易な診察によって症状を判断する場合は「異状」を使います。精密な検査とは違い、誰が見ても明らかな結果をもとにお医者さが判断したわけではないからです。

ちなみに、「異常」の反対語は「正常」、「異状」の反対語は「平常」です。

「異常」と「故障」の違いは?

「異状」と「故障」にはどのような違いがあるのでしょうか。

「故障」の意味は「機械や身体などの機能が正常に働かなくなること。物事の正常な働きが損なわれていること」です。

「異常」は、「普通とは異なる」という広い意味を持ち、「異常気象」「今年の暑さは異常だ」「機械に異常が生じた」などと様々なシチュエーションで使われるのに対し、「故障」は「正常な働きが損なわれている」という限定された意味を持っています。

「故障」を使った例文をご覧ください。

  • こちらの手洗い場は故障中のため、使用できません。
  • 肘の故障さえなければ、優秀な野球選手になっていただろう。
  • 長時間労働による心身の故障のため、職場を離れることになった。

どの例文も、機械や物が正常な働きをしなくなった状態を表しているため、「故障」を使っていますが、「肘に異状」「心身に異状」などと書き換えることも可能です。

さいごに

ここでは「異常」と「異状」の意味や使い方、それぞれの言葉の違いについてご説明しましたが、いかがでしょうか。使い分け方についても理解できましたか?

「異常」と「異状」といった、意味や使い方も似た同音異義語の使い分けに悩む方は少なくありません。なかには間違った使い方をしているにもかかわらず、相手もその間違いに気が付かないといったこともあります。

「異常」と「異状」の言葉は、日常生活のなかや、ニュース・新聞などでもよく見聞きする言葉です。この機会に使い分け方を覚えておいてくださいね。

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