「表題の件」の意味・使い方(例文)|類語・言い換え表現まとめ

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「曲解」の意味・使い方・類語|「誤解」「歪曲」との違い

ビジネスシーンでは、しばしば「表題の件」というフレーズを目にします。

主にメールで使われることこのフレーズですが、正しい使い方はご存知でしょうか。

ここでは、「表題の件」の意味と使い方をご紹介します。

例文も参考に、「表題の件」の正しい使い方をマスターしてくださいね。

「表題の件」の意味

「表題(ひょうだい)」の意味は「書物の表紙などに記してある題名」、「件(けん)」の意味は「事柄。特に、問題になる、ある特定の事柄」です。

本来「表題」は本や雑誌、音楽や演劇といった芸術作品の題名を指しますが、ビジネスシーンではメールの件名を指します。つまり、ビジネス上で使われる「表題の件」は、「件名に関して」という意味なのです。

なお、楽曲や本などのタイトルは「表題」以外にも、「題名」「主題」「曲名」「題号」等と表現します。

「表題の件」の使い方(例文つき)

ビジネスメールの件名には、メールの主旨を簡潔に記載するのが基本です。

これは、メールを開ける前にあらかじめ受信者に内容を推測させることで、本文を読む負担を軽減することが目的です。「表題の件」というフレーズはメールの本文中で使い、「件名に記載した内容についてですが」といった意味合いを表します。

ですが、目上の人に宛てたメールに「表題の件」というフレーズを使うのはふさわしくありません。

「表題の件」は、本来「○○についてですが」と件名に記載した内容を再度書くべきところを省略した表現です。目上の人への文章を省略することは、労力を惜しんでいるようで失礼だと感じる人もいます。また、件名をさほど気にせず本文を読み始める方にとっては、「表題の件」というフレーズによって再度件名を見返す手間も生じてしまいます。目上の人宛のメールでは「表題の件」と省略はせず、本文中でも改めて要件について丁寧に記載しましょう。

さて、これらを踏まえた上で、次に実践的な「表題の件」の使い方についてご紹介します。

「表題の件」は通常、「表題について〇〇を添付しております」「表題についてご相談させていただきたく」といったように使用します。この場合、件名に記載するのは資料の概要や相談内容がわかるようなフレーズです。そうした件名にすることで、本文が簡潔になる上に、読み手にとっても本題をスムーズに把握することが可能になります。また、多くの受信メールの中から目的のメールを素早く探し出す際も、件名に要旨が記載されていれば容易です。

他にも、メールの返信に「表題の件」というフレーズを使うことがあります。受け取ったメールの件名をそのまま返信の件名として使い、本文に「表題の件、かしこまりました」「表題の件、承知いたしました」とします。ただし、これは本文が簡潔になる反面、内容によっては誤解を生みやすい表現でもるため注意が必要です。「かしこまりました」「承知いたしました」はどちらも、「内容を把握した」「指示を受け取った」という意味があり、どちらの意味で取るか両者で認識が食い違う恐れがあります。内容を承諾しない場合のメールでは、こうした表現は避けるか、意図が明確になる言葉を補うのが賢明です。

ちなみに、表題とは別の話題について言及する際は、「また、別件ではございますが」という書き出しで話題を切り替えることができます。

【例文】

  • 件名「新商品の評判に関するご報告」
    本文「表題の件についてアンケートの集計結果を添付しております。ご査収ください。」
  • 件名「次回の会議日程について」
    本文「表題の件についてご相談させていただきたくご連絡いたしました。ご希望のお日にち等ありましたら、今週中にご連絡ください。」
  • 件名「デザイン案について」
    本文「表題の件、かしこまりました。来週中を目途に何パターンか作成いたします。」
  • 件名「仕様変更について」
    本文「表題の件、承知いたしました。至急、関係各所に周知いたします。」
  • 件名「先週納品しました商品の件」
    本文「表題の件について、従来品との互換性等でご不便はないでしょうか。またお困りのことがございましたら、何なりとご相談ください。」

「表題の件」の類語・言い換え表現

「表題の件」の「表題」の類語には、以下のようなものがあります。

【類語】

  • 標題(ひょうだい):「表題」の意味に同じ。
  • 掲題(けいだい):題としてかかげること。また、かかげられた題。
  • 頭書(とうしょ):文章の初めの書き出しの部分。
  • 首記(しゅき):文書や掲示の冒頭に記してあること。

「標題」と「表題」は辞書では同じ見出しにまとめられおり、基本的にはどちらを使用しても間違いではありません。しかし、実際には「標題」は「講演・演劇・芸術作品などの題」という意味で用いられており、「表題」とは使い分けがなされています。ほかにも、「表題」と「標題」を、文章全体のタイトルと小見出し、主題と副題に使い分けることがあります。

「掲題の件」も、意味は「表題」と同じです。しかし、あまり一般的な言葉ではなく、ビジネスメールで使われることはほとんどありません。

「首記の件」「頭書の件」は「冒頭に記してあること」という意味で、主にFAXで複数枚送信する際に使われています。

さいごに

ここまで「表題の件」についてご説明してきましたが、いかがでしたか。

「表題の件」の意味は、「件名のこと」です。「表題の件について」「表題の件、かしこまりました」といった形で、件名に記載した話題について言及する際に用います。つまり、「表題の件」は件名に記載した要件を本文中で省略するためのフレーズなのです。目上の人に宛てた文章を省略することは失礼に当たるため、使わないようにしましょう。

ビジネスメールでは、相手の負担を考慮して簡潔に伝えることが求められます。「表題の件」を適切に使って、すっきりとわかりやすいメールになるよう意識しましょう。

この記事が、「表題の件」というフレーズを使いこなすためのお役に立てれば幸いです。

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