「不退転の決意・不退転の覚悟」の意味・使い方・語源・類語まとめ

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「不退転の決意・不退転の覚悟」の意味・使い方・語源・類語まとめ

「不退転」の言葉の意味や使い方はご存知でしょうか。

「不退転の決意で臨む」や「不退転の覚悟で取り組む」といった使い方をする言葉で、ビジネスシーンに限らず、政治や選挙、ニュースの報道でも見聞きしますよね。

日常で使う機会は滅多にないものの、責任ある立場の人の発言などでしばしば使われる「不退転」。

ここでは「不退転」の意味や使い方・語源について詳しく解説します。「不退転の決意」「不退転の覚悟」の意味はもちろん例文も含めてお伝えするので参考にしてくださいね。

「不退転」の意味

「不退転」の読み方は「ふたいてん」です。

「不退転」は「信念を持ち、何事にも屈しないこと。どんな困難にも負けずにやり抜くこと」という意味です。

「退」の漢字には「退く。後ろに下がる」、「転」の漢字には「変える・変わる」という意味があり、これを「不」で打ち消しているので「後退したり、変更したりしない」という意味になります。

簡単に言えば「ブレない」という事ですね。

「不退転」は固い決意や意思、志を表すときに使われる語であり、「どんな困難にも決して屈することなく頑張ります!」というような意味で使う言葉です。

【例文】

  • 二度と不祥事を起こさないよう、不退転の決意で変革に取り組む。
  • 彼の真剣な表情から、その決意が不退転のものだと悟った。
  • 不退転の精神を持つ者だけが、高い目標を達成できる。
  • 不退転の覚悟でストライキに臨んだ。
  • 新規事業に不退転の決意で挑みたい。
  • 彼女の決意が不退転なものかどうかは疑わしい。

「不退転」の語源

「不退転」は、もともとは仏教用語であり、仏道から脱落することを「退転」、脱落しないことを「不退転」といいました。

「不退」「不退転」は菩薩(悟りを求めて修行する者)へ向けた言葉のひとつであり、これが「不退転」の言葉の由来です。

仏教における「不退転」の意味は「仏道修行で到達した境地から後戻りしたり、徳を失ったりすることなく、修行し続けること」です。

現代では「達したところから後戻りしない」が転じて、「信じたことを変えない」という意味で広く一般的に使われるようになりました。

「不退転」の使い方

「不退転」は「不退転の決意」「不退転の覚悟」という使い方をすることが多いです。それぞれの使い方について、例文をあげて紹介していきます。

「不退転の決意」の使い方(例文つき)

「不退転」の使い方の代表格が「不退転の決意」です。

「決意」とは「重大なことについて、とるべき行動や態度をはっきりきめること。また、そのきめた気持ち」のこと。

つまり「不退転の決意」とは「決して志を曲げたり屈したりしないと誓う心意気」を意味した語です。

企業の不正が発覚したとき、謝罪会見の場で改革を誓う言葉として、社長の口から出ることがしばしばあります。「不退転の決意」を使った例文には次のようなものがあります。

【例文】

  • 再発防止策を着実に実行し、不退転の決意で改革に取り組む。
  • 彼が大学に合格できたのは「医師になる」という不退転の決意があったからだ。
  • 不退転の決意を以て、政策を推進していく。
  • 穏やかな目の奥に不退転の決意を滲ませていた。
  • プロジェクトを成功に導くため、不退転の決意で臨んだ。
  • 彼を解雇したのは、経営再建にむけた社長の不退転の決意の表れだろう。

「不退転の覚悟」の使い方(例文つき)

「不退転」には「不退転の覚悟」という使い方もあります。

「覚悟」とは「危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすること」という意味。

つまり、「不退転の覚悟」は「どんな事が起こっても退かず、屈することなく突き進むという信念」という意味になります。

「不退転の決意」と同様に、決意表明の言葉としてよく使われます。なお、「不退転の覚悟」を用いた例文には次のようなものがあります。

【例文】

  • 不退転の覚悟がないなら、取り組みは失敗に終わるだろう。
  • 不退転の覚悟で被災地の復興に従事する。
  • 内閣総理大臣として重大な務めを毅然とした態度で、冷静沈着に果たし、不退転の覚悟で臨む決意であります。
  • 競技に専念し、不退転の覚悟で臨む。
  • 彼女の言葉から、その不退転の覚悟のほどが伝わってきた。

「不退転」の類語

「不退転」と似た意味を持つ類語には、次のようなものがあります。

  • 諦めない
  • 屈しない
  • へこたれない
  • 投げ出さない
  • 屈服しない
  • 不撓不屈の
  • ゆるぎない
  • 強い意志をもって
  • 身命を賭して
  • 不撓不屈(ふとうふくつ)
  • 断固とした決意
  • 決死の覚悟
  • 腹をくくって

「不退転」は、かしこまった場面や目上の人に固い決意を伝える表現としては適切ですが、カジュアルな場面などでは堅苦しい印象を与えることがあります。

自身で使うときはその場に応じた言葉選びをすることが大切です。

さいごに

ここでは「不退転」の意味・語源と「不退転の決意」「不退転の覚悟」の使い方について、例文をあげてお伝えしましたが、理解できましたか?

「あきらめない」「屈しない」という決意表明を伝える「不退転」の言葉は、政治家や新横綱の発言でも耳にすることがあります。

生半可な覚悟では使えないこの言葉は、その決意を周囲に示すというだけでなく、目的を遂行するまでの自分自身を律する強い力を持っています。

ビジネスシーンで使うときは、ここぞという時に効果的に使ってくださいね。

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