「拝察」の意味・使い方(例文)|尊敬語・類語まとめ

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「ご教授ください」「ご教示ください」の意味・使い方|メール例文・類語つき

「拝察」という言葉を見聞きしたことはあるでしょうか。

あまり馴染みがない言葉ですが、字面からなんだかかしこまった印象がしますよね。

ここでは「拝察」の意味や使い方を、例文と一緒にご紹介します。尊敬語や類語についてもご紹介しますので、ぜひこの機会にマスターしてくださいね。

「拝察」の読み方・意味

「拝察(はいさつ)」の意味は、「推察することをへりくだっていう語」です。

「拝察」の「拝」の字には「拝む」「おじぎをする」だけでなく、自分の動作に添える謙譲語という意味があります。よって、「拝察」は「推察」の謙譲語と言えます。

ちなみに、「拝」を使った熟語には他にも「拝見」「拝借」などの謙譲語があります。

「拝察」の使い方(ビジネスメール例文つき)

「拝察」は、自分の推察を目上の人に伝える時に使います。

謙譲語のため、「拝察」を相手の推察に対して「拝察される」「拝察しましたか?」と使うのは誤用です。また、「拝察」はかしこまった場面で使うのに適しており、例えばスピーチや公式の文書、お礼状やお悔やみ状などが挙げられます。

そうしたかしこまった場面で、「拝察する」を丁寧に表現するにはどのような敬語にすればよいのでしょうか。

「拝察する」の正しい敬語表現のひとつは、丁寧語「ます」を付けた「拝察します」です。さらに丁寧にするなら、丁寧語「おる」と丁寧の助動詞「ます」を付けて「拝察しております」とします。なお、「拝察する」は謙譲語なので、敬語の接頭辞「ご・お」を付けるのは二重敬語となり誤りです。

「拝察する」の敬語として、よく見かけるフレーズに「拝察いたします」という形があります。これは一見、「拝察」「いたす」という二つの謙譲語が重なった二重敬語に見えます。しかし、厳密にみると「拝察」と「いたす」とでは謙譲語の種類が異なるため、二重敬語には当たりません。「拝察」の敬語の種類は謙譲語Ⅰで、推察した行為者である自分がへりくだるための敬語です。

一方の「いたす」は謙譲語Ⅱの一般形で、推察したことを伝える先を敬うための敬語です。このように謙譲語の種類が異なるため、「拝察いたします」はビジネス上使用しても差し支えないフレーズと言えます。しかし、受け取る相手の中にはくどい言い回しだと感じる方や二重敬語ではないかと気になる方もいることを念頭に置いておきましょう。

「拝察する」の敬語表現として、「拝察申し上げます」というフレーズを見かけることもあります。まず、これは敬語の一般形「ご(お)~申し上げる」の形に添っていません。また、「ご(お)~申し上げる」に当てはめたとしても、接頭辞「ご(お)」と「拝察」の組み合わせは慣習上なじまないことから誤用といえます。

「拝察」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 春暖の候、貴社ますますご隆盛のことと拝察いたします。
  • 大変ご多忙のことと拝察しますが、お早めにご対応いただけますと幸いです。
  • 書類を拝見いたしました。ご尽力いただいたことと拝察します。
  • 仕様の変更につきましては、A社も先月の段階でご存知だったと拝察しております。
  • この度のトラブルの原因に関して既に皆様お察しのことと拝察いたしますが、改めてご説明申し上げます。

「拝察」の尊敬語:「ご賢察」(例文つき)

「ご賢察(ごけんさつ)」の「賢察」の意味は、「相手を敬って、その人が推察することをいう語」です。

「拝察」が自分の推察を指す謙譲語なのに対して、「賢察」は相手の推察を指す尊敬語となります。より丁寧に伝えたいときは、敬語の接頭辞を付けて「ご賢察」の形にすることで敬語の度合いを高めましょう。

「ご賢察」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • ご賢察いただければ幸いです。
  • ご賢察のほど、よろしくお願いいたします。
  • ご賢察いただきまして、ありがとうございます。
  • 山田様のご賢察の通りです。
  • ご要望に沿ったプランを複数お持ちしましたが、その中のどれをお客様にご提示するかは担当の方のご賢察に委ねたいと思います。

「拝察」の類語・言い換え表現

「拝察」の言い換え表現には以下のようなものがあります。

【言い換え表現】

  • 恐察(きょうさつ):他人の事情を推察することをへりくだっていう語。
  • お察しします:物事の事情などをおしはかってそれと知る。

「恐察」「お察しします」はどちらも相手の状況や意図を推察する謙譲語です。

しかし、「お察しします」の意味には「相手の気持ちをおしはかって同情する。思いやる」という意味もあるため、お悔やみなど、相手にとって悲しく辛いことがあった場合にのみ用いましょう。

また、「恐察」は拝察と同じ意味ではあるものの、あまり一般的な語ではありません。通じにくい言葉なので、ビジネスシーンでは使わない方が賢明です。

ほかにも、「拝察」の類語には以下のようなものがあります。

【類語】

  • 推察:他人の事情や心中を思いやること。
  • 推量:物事の状態・程度や他人の心中などをおしはかること。
  • 推測:ある事柄をもとにして推量すること。
  • 思う:眼前にない物事について、心を働かせる。
  • 考える:関係する事柄や事情について、あれこれと思いをめぐらす。
  • 推し量る:類似の事実を当てはめてみて、見当をつける。

「推察」「推量」「推測」は似た言葉です。使い分け方としては、「推察」は事情や相手の心情を思いやること、「推量」は根拠の有無は問わずそうなるだろうと想像すること、「推測」は根拠をもとには事情や相手の心情を思いやること、といったように使い分けます。

さいごに

ここまで「拝察」についてご説明してきましたが、いかがでしたか。

「拝察」の意味は、「推察することをへりくだっていう語」です。謙譲語なので、自分の推察を述べる場合に使いましょう。ビジネスシーンでは、より丁寧に「拝察します」「拝察しております」「拝察いたします」といった形で用いましょう。

ビジネスシーンでは、言外にある相手の事情や心情を察することが重要です。そんな場面で「拝察」を適切に使うことで、相手の事情を汲んでいるということを敬意と共に相手へ伝えることができます。

読者の皆様が、ビジネスシーンで正しく「拝察」を使えるよう応援しています。

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