突然ですが、「ご相伴にあずかる」の意味や使い方をご存知ですか?
サラリーマンが出てくるドラマで、係長などの中間管理職の役柄の方が、上司に向かって「部長のご相伴にあずかります」ともみ手をしながら愛想笑いをする、という場面がありますよね。
宴会や接待で使われるこの「ご相伴」という言葉、どのようなときに使うのでしょうか。また、目上の人にも使える言葉なのでしょうか。
ここでは「ご相伴」の意味や使い方、類語について詳しく解説します。「ご相伴にあずかる」の使い方を例文つきで紹介するので参考にしてくださいね。
「ご相伴」の意味
「ご相伴」の読み方は「ごしょうばん」です。
もともと「相伴(しょうばん)」という言葉の意味のひとつから派生した言葉で、「お相伴」「ご相伴」のどちらも使われています。
「相伴」には下記の3つの意味があります。
- 連れ立っていくこと。
- 正客のそばにいてともにもてなしを受けること。
- 主となる人に従って、同じ経験や行動をすること。
「相伴」を簡単にいうと、他の人と一緒に何かをすることを謙遜や感謝の気持ちを込めていう言葉です。
相伴という言葉を訓読みすると、「あいともな(う)」となりますね。その通り、本来この言葉は「互いに連れ立つこと」という意味があります。室町時代には将軍が宴を催したときに陪席する資格を持つ家臣を「相伴衆」と呼んだように、連れの人を「相伴」と呼ぶこともあります。
そこから「正客の相手として同席し、一緒にもてなしを受ける」という意味が生まれます。
また、人の相手を務めて飲食を共にするという意味も出てきます。茶道で上座に座っている人に「お相伴いたします」と挨拶するのも、自分が相伴客として「正客と一緒にお茶をいただきます」というのも、この意味からです。
これに「ご」または「お」を付けることによって「ご相伴」という言葉は、自分を「相伴客」、相手を「正客」とへりくだる謙譲語であり、上司や年長者に対して使うことができます。
「ご相伴」の使い方
「ご相伴」は謙遜したり、相手に尊敬の念を抱く気持ちを表したりする言葉のため、上司や目上の方にも使える丁寧な表現です。
自分が主たる客としてもてなしを受けるのではなく、メインの客の連れとして一緒にもてなしてもらう場合に使う言葉です。
「ご相伴する」「ご相伴にあずかる」という形で使われるのが一般的です。
【例文】
- ありがたく部長のご相伴にあずかる。
- 今度お茶席にぜひいらっしゃってください。私もご相伴させていただきます。
- 本日は〇〇先生のご相伴にあずかり、この場にお招きいただきました。
- ご相伴にあずかろうと、有象無象が集まってきた。
もてなす側からすれば、「他人に便乗してその利益を受ける」というニュアンスで伝わる場合もあるため気をつけましょう。
「ご相伴にあずかる」とは
「ご相伴」という言葉は、今日では「ご相伴にあずかる」という形で使われることがほとんどです。
「ご相伴にあずかる」の「あずかる」を漢字で書くと「与る」と書き、「関係する。目上の人の好意を受ける。分け前をもらう」という意味になります。
「与る」は「お褒めにあずかる」や「お招きにあずかる」というように、目上の人から何かをしてもらったときに使います。
つまり「ご相伴にあずかる」とは、「お供する」「正客と同席させていただく」「正客と同席させていただいて、一緒にご馳走になる」という意味になります。
【例文】
- 社長のご相伴にあずかり、料亭でもてなしてもらった。
- 昨日はご相伴にあずかり、誠にありがとうございます。
- 今夜月見のご相伴にあずかり、下座にてお嬢様の踊りを拝見いたしました。
「ご相伴」の言い換え・類語
「ご相伴」の類義語は下記のとおりです。
「一緒に行く」という意味で使われた場合
- ご一緒
- お供
- ご同行
- ご同道
- 随伴
- 随行
- 陪従
【例文】
- 部長に随伴して海外視察へ向かう。
- 知事に随行して被災地へ赴く。
- 陛下に陪従いたします。
「正客と同席させていただく」という意味で使われた場合
- 同席させていただく
- 陪席させていただく(意味:目上の人と同じ席にいること)
- 末席を汚す(同席することの謙譲語)
【例文】
- わたくしもこの座の末席を汚す一員として、皆さまにひと言ご挨拶させていただきたく存じます。
「正客と一緒にもてなしを受ける」という意味で使われた場合
- おもてなしいただく
- ご歓待いただく(意味:親切に手厚くもてなすこと)
- ご供応(饗応)いただく(意味:ごちそうしてもらう)
さいごに
ここでは「ご相伴」「ご相伴にあずかる」という言葉の意味と使い方、類語について、例文を参考にしながら見ていきました。
会社や組織の一員になるということは、上司ができるということでもあります。上司に誘われるだけでなく、どこかへ招かれた上司の「ご相伴」をしなければならない機会も、かならず来ることでしょう。
そのようなときに「ご相伴にあずかる」の定型表現を知っていると、ずいぶんコミュニケーションもスムーズにいきます。最初は慣れなくても、使っていくたびに板についてくるものなので、そのようなときはぜひ、先方へ「本日はご相伴にあずかり、誠にありがとうございます」と挨拶してみてくださいね。