「合う・会う・逢う・遭う・遇う」の違い|意味・使い方まとめ

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「合う・会う・逢う・遭う・遇う」の違い|意味・使い方まとめ

「あう」という言葉に漢字を充てる時、どのような漢字を思い浮かべますか?

「あう」には、意味や使い方の異なる複数の漢字が存在します。その中から文脈に適切な漢字を選べるように、今回は「あう」と読む漢字の中から「合う・会う・逢う・遭う・遇う」について意味や使い方をまとめました。

文脈にふさわしくない漢字を使ってしまうと、意味が通じにくいだけでなく評価や信頼を落としかねません。是非この記事を読んで、それぞれの言葉の違いをマスターしてください。

「合う・会う・逢う・遭う・遇う」の違い

「会う」「逢う」「遭う」「遇う」は、辞書では同じ項目にまとめられています。「合う」と違って明確な違いはないため、ニュアンスに注目して慎重に違いを確認しましょう。

「合う」の意味・使い方

「合う」の意味は「二つ以上のものが近寄って、一つになる。くっつく」「よく調和する」「二つのものが一致する。くい違いがない」「ある基準と一致する」「それだけのことをするかいがある。引き合う」です。

非常に幅広い意味を持ちますが、「合」を使った熟語に「適合」「合致」があることを考えると、「合う」の使い方は理解しやすくなります。

また、「合う」は動詞の連用形に付けて、複合語を作ることもできます。例えば「助け合う」「殴り合う」といったように、動詞に付くことで「互いに…する」「一緒になる」という意味を付け加えることができます。

「合う」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • やはり、肉料理には赤ワインが合う。
  • 指示書通りに材料を揃えたはずだが、いざ組み立ててみると寸法が合わない。
  • 同じ学校出身者ということもあり、とても話が合う。

「会う」の意味・使い方

「会う」の意味は、「互いに顔を向かい合わせる。場所を決めて対面する」「たまたま人と出あう」です。

「会う」は、事前に計画を立てているか否かを問わず、誰かと出会うこと全般を指します。辞書で同じ項目にまとめられている「会う」「逢う」「遭う」「遇う」の中では、最も使用範囲が広い言葉と言えます。

「会う」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 一年後にまたこの決勝戦の場で会おうと固い約束を交わした。
  • 休日にも関わらず、出先で職場の人と会ってしまった。
  • 集合場所と時間は合っているはずなのに、なかなか会えない。

「逢う」の意味・使い方

「逢う」の意味は、「会う」と同じく「互いに顔を向かい合わせる。場所を決めて対面する」「たまたま人と出あう」です。

しかし実際には、「逢う」と「会う」はニュアンスによって使い分けられています。「逢う」は「会う」の中でも、特に親しい人と1対1で会う場面で使われます。これは「逢」を使った熟語に「逢瀬(おうせ)」があることを考えると、理解しやすくなります。事前に約束をしていても、偶然であっても、親しい間柄の人と会う場合には「逢う」が適切です。

もう一点、「会う」と「逢う」との大きな違いとして常用漢字か否かが挙げられます。「逢」は表外漢字のため、ビジネスにおける書類などでは使用を避けた方が無難です。常用漢字として「あう」の読みが登録されている「会う」に置き換えましょう。

「逢う」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 明日は遠距離恋愛中の彼女と3ヶ月ぶりに逢える日だ。
  • お墓参りをした日の夜は、夢で亡き祖母と逢える。
  • また逢う日まで、お互い元気で過ごそう。

「遭う」の意味・使い方

「遭う」の意味は、「好ましくないことに出あう」です。

「遭う」は、人だけでなく出来事に対しても使うことができます。これは「遭」を使った熟語に「遭遇」「遭難」があることを考えると、理解しやすくなります。「遭う」は好ましくない人や出来事に、予期せず偶然出会った時に用いましょう。「遭う」対象の具体例として、事故や災難、反対などが挙げられます。

「遭う」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • あれだけ気を付けていたはずなのに、オレオレ詐欺の被害に遭ってしまった。
  • 家族が事故に遭ったという知らせを受けて、急いで駆け付ける。
  • お小遣いの増額をお願いしたが、収入減を理由に大反対に遭う。

「遇う」の意味・使い方

「遇う」の意味は、「遭う」と同じく「好ましくないことに出あう」です。

「遇う」も、人だけでなく出来事も対象とすることができます。辞書では主な遇う対象として「好ましくないこと」が挙げられているものの、実際には「思いがけず出あう」こと全般を指して「幸運に遇う」という使い方をする場合もあります。予期しなかった人や出来事に偶然出会った時に用いましょう。

また、「遭う」と「遇う」との大きな違いとして、常用漢字か否かが挙げられます。「遇」は表外漢字のため、ビジネスにおける書類などでは使用を避けた方が無難です。この場合は常用漢字として「あう」の読みが登録されている「会う」に置き換えましょう。「会う」は人にあうこと全般に使えるため、「逢う」「遇う」の使い分けで悩んだ場合は「会う」を使うと間違いありません。

ちなみに、「遇う」の読みには、「あう」の他に「あしらう」があります。

「遇う」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 宝くじが当選するという幸運に遇う。
  • 道端で思いがけず、今まで避け続けていた知人に遇う。
  • まったくひどい目に遇った。

さいごに

今回は、「あう」の漢字「合う・会う・逢う・遭う・遇う」についてご紹介しました。いかがだったでしょうか。

「あう」の漢字には複数あります。「合う」の意味は「二つ以上のものが一つになる」です。そして、「会う」「逢う」「遭う」「遇う」の大まかな意味は、どれも「人や出来事に出あう」です。

しかし、これらは厳密には使い分けられています。「逢う」は偶然必然を問わず、親しい人と1対1で会う時に使います。「遭う」は事故や災難など、喜ばしくないものに直面した時に使います。「遇う」は、主に好ましくない人・出来事に思いがけず出会った時に使うとされています。

しかし、実際には予期しなかった出会い全般に使われています。「会う」はこれらの中でも最も広い意味で使える言葉です。

人と対面する時全般に使えるだけでなく常用漢字のため、「逢う」「遭う」「遇う」の使い分けで悩んだら「会う」を使いましょう。適切な漢字を使うことで、文意をスムーズに伝えることができます。本記事を文章作成にお役に立ていただければ幸いです。

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