「当てる・充てる・中てる」の違い|「当たる」との違いも徹底解説!

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「当てる・充てる・中てる」の違い|「当たる」との違いも徹底解説!

「あてる」はとても幅広い意味を持つ便利な言葉です。しかし、「あてる」の漢字表記には「当てる」「充てる」「中てる」など複数あるため、いざ文章で使う際に正しく使い分けるのは難しいものです。

ここでは「当てる」「充てる」「中てる」の違いについてまとめました。それぞれの意味や使い方、例文を見比べることで、自信を持って正しい使い分けができるようになりましょう。

「当てる」「充てる」「中てる」の違い

辞書において「当てる」「充てる」「中てる」は全て同じ見出しにまとめられています。これらに明確な違いはないため、ニュアンスに注目して慎重に違いを見ていきましょう。

「当てる」の意味・使い方

「当てる(あてる)」の意味は、大きく3つあり「あるものを他のものに触れるようにする。直面させる」「期待やねらいどおりの状態にする」「他のものに合わせる。うまく振り分ける」です。

「当てる」は「当てる」「充てる」「中てる」の中で最も幅広い意味を持ち、あらゆる意味において使うことができますが、「当」を使った熟語を考えると「当てる」の使い方は一層理解しやすくなります。「期待やねらいどおりの状態にする」という意味では「当選」「当確」、「他のものに合わせる。「うまく振り分ける」では「適当」「該当」「配当」「担当」「当直」「当番」などの熟語が当てはまります。

「当てる」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 試着室がいっぱいなので、肩幅に当ててサイズ感を見る。
  • 梅雨の貴重な晴れ間なので、なかなか乾かない洗濯物をよく日に当てる。
  • 株で一山当てるべく、リサーチに励む。

「充てる」の意味・使い方

「充てる(あてる)」は辞書で「当てる」と同じ見出しにまとめられています。そのため「充てる」の意味は「当てる」と同じく、「あるものを他のものに触れるようにする。直面させる」、「期待やねらいどおりの状態にする」「他のものに合わせる。うまく振り分ける」となります。

しかし、「充」の持つ意味には「みちる。みたす。みつ」「あてる。あてがう。あてはめる」があります。また、「充」を使った熟語「充当」「補充」からもわかるように、「充てる」は「当てる」の意味「他のものに合わせる。うまく振り分ける」の中でも特に「全体の一部をそのために使う」「相手に向ける」の意味で用います。

ただし、「充てる」の意味は「当てる」に含まれるため、「充てる」の使い分けで悩んだ際は「当てる」を使うと間違いありません。

「充てる」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • せっかく当たった万馬券だが、堅実に借金の返済に充てようと思う。
  • 転勤の辞令が出た先輩の後任の座を狙っていたが、私ではなく同期が充てられた。
  • リフレッシュ目的で取った有休だが、近々迫っている資格試験の勉強に充てる。

「中てる」の意味・使い方

「中てる(あてる)」は辞書で「当てる」と同じ見出しにまとめられています。そのため「中てる」の意味は「当てる」同じく「あるものを他のものに触れるようにする。直面させる」、「期待やねらいどおりの状態にする」「他のものに合わせる。うまく振り分ける」となります。

しかし、「中」を使った熟語「命中」「的中」「中毒」からもわかるように、「中てる」「当てる」の中でも特に「めざした地点に物を届かせる」「くじ引きなどで、賞を得る」の意味で用います。

ただし、「中てる」は表外漢字のため、ビジネスにおける書類などでは使用を避けた方が無難です。書類を書く際は、常用漢字として「あてる」の読みが登録されていて、なおかつ幅広い意味で使うことができる「当てる」に置き換えましょう。

「中てる」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 例年になく早い時期に訪れた暑さに中てられてしまった。
  • 大声でまくしたてる様子を見て、すっかり毒気に中てられた。
  • 練習を積んだ結果、かなりの確率で的の真ん中に中てられるようになった。

「当たる」と「当てる」の違い

「当」の訓読みには「あてる」「あたる」があります。「当たる」「当てる」の違いは、自動詞か他動詞かです。

「当てる」は自動詞なので、誰かが当てる時に使います。一方の「当たる」は他動詞なので、何かを当てる場合に使います。

具体例として、「的」を目的語にしてニュアンスを比較してみます。「的に当てる」「的に当たる」はどちらも的に届いている状態を示しています。しかし、「的に当てる」と自動詞を用いた文では、誰かが的に当てようと働きかけているニュアンスを表します。一方の「的に当たる」と他動詞を用いた文では、主語や意図による働きかけはなく、単純に的に当たったという事実のみを表しています。

このように、「当たる」と「当てる」には自動詞と他動詞、「当たった」という状態に対する働きかけの有無という違いがあります。

さいごに

「当てる(あてる)」の意味には、「直面させる」「期待どおりの状態にする」「他のものに合わせる」などがあります。非常に幅広い意味を持ち、「充てる」「中てる」のどちらとも置き換えることができます。

そして、「充てる」は「当てる」の意味の中でも「全体の一部をそのために使う」という意味で、「中てる」は「めざした地点に物を届かせる」という意味で用います。これらの使い分けに悩んだ際は、「当てる」を選ぶと間違いありません。

また、「当てる」と「当たる」の違いは、自動詞か他動詞かです。「当たった」という状態に対して何かしら働きかけがあった場合は、自動詞の「当てる」を使いましょう。

ビジネスシーンで適切な漢字を選ぶためには、常用漢字か否かにも注目する必要があります。誤字や誤用で評価を落とさないよう、この記事を参考にしていただければ幸いです。

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