「あたかも」の意味・使い方(例文)|類語・言い換え表現を解説!

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「打診する」の意味・使い方|打診メールの例文・類語・反対語まとめ

「あたかも」という言葉を使ったことはありますか。

普段から頻繁に使う言葉ではないため、なんとなく意味はわかっていても、いざ自分で使おうとすると難しい言葉ですよね。

ここでは「あたかも」の意味や使い方をご紹介します。

類語も一緒にご紹介するので、是非マスターしてくださいね。

「あたかも」の意味

「あたかも」の意味は2つあります。一つ目は「あるものが他によく似ていることを表す」、二つ目は「ちょうどその時」です。

まず一つ目の意味ですが、「あたかも」は「まるで。まさしく。ちょうど」というニュアンスを持ち、ある物事を形状・様態・性質などがよく似た別の物事にたとえて使います。例えば、「まるで夢のようだ」を「あたかも」に置き換えると、「あたかも夢のようだ」となります。日常的に見聞きする「あたかも」は、こちらの意味です。

次に二つ目の意味ですが、「あたかも」は「まさに」というニュアンスを持ち、ある時刻やタイミングにちょうど当たるという文脈で用います。多くの場合、「時」を頭に付けて「時あたかも大晦日」といった形にします。しかしながら、この「まさに」という意味の「あたかも」はやや古風な使い方で、現代ではあまり馴染みがありません。わかりやすさを重視する場面では、「時あたかも大晦日」ではなく「ちょうど大晦日」「まさに大晦日」と類語に置き換えると良いでしょう。

「あたかも」は漢字で「恰も」「宛も」と書くことができますが、ビジネスシーンを含め、基本的に漢字で表記されることはありません。正しく読める方も少ないことから、「あたかも」はひらがなで表記するのが賢明です。また、「あたかも」は「あだかも」と濁ることもありますが、一般的には「あたかも」の方が広く使われています。

「あたかも」の使い方(例文つき)

「あたかも」は書き言葉を中心に用いられる語です。

「あたかも」は物事を形容するための副詞であり敬語は必要ありません。したがって、ビジネスシーンでも相手の立場を問わず使うことができます。目上の人へ宛てた手紙やメールで「あたかも夏のような暑さですね」と書いて問題ありません。一方、相手が同僚や目下の人の場合には、「あたかも」の使用は避けて「まるで夏のような暑さですね」と言い換えるのが無難です。「あたかも」の使い方があまり浸透しておらず、堅苦しい表現と受け取られがちだからです。

実際に「あたかも」を使う際は、「あたかも」の後に「のようだ」「のごとし」などを伴って、「あたかも見てきたかのように話す」「あたかも水のごとく澄んでいる」とします。「ようだ」「ごとし」も「あたかも」同様に例示に用いる語で、ある事物の性質・状態が他の事物に似ているという類似の意を表します。「のようだ」を使う際は、頭に不確かな意を表す副助詞「か」を付けくわえて「あたかも~かのように」とすることもあります。

似た物事に例えて使う「あたかも」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • 彼女のわずかなミスも許さない仕事ぶりは、あたかも職人のようだ。
  • 納期に遅れた原因があたかも我々の怠慢のようにおっしゃいますが、遅延の原因は先方の度重なる仕様変更です。
  • 彼の堂々としたプレゼン発表は、あたかもベテランのごとき振舞いだった。
  • 取引先に勉強不足だと思われないよう、あたかもそれを知っていたかのように取り繕った。

「あたかも」の類語・言い換え表現

似た物事に例えて使う「あたかも」の類語には、以下のようなものがあります。

【類語】

まるで:違いがわからないほどあるものやある状態に類似しているさま。

【例文】

  • 部署全員の反対にあっても頑なに意見を変えない姿は、まるで子どものようだった。
  • あの有名デザイナーと商品開発ができるなんて、まるで夢のようです。

【類語】

言わば:言ってみれば。たとえて言えば。

【例文】

  • 社長はいわば、業界の風雲児です。
  • 他業種である我々の間を取り持ってくれた彼は、言わば架け橋です。

【類語】

さながら(宛ら):非常によく似ているさま。まるで。そっくり。

【例文】

  • リリース直前の職場はさながら地獄のようだ。
  • どんな仕事も率先して引き受ける姿は、さながらやる気に満ちた新入社員のようだ。

また、ある時期や時刻にあたるという意味での「あたかも」の類語には、以下のようなものがあります。

【類語】

ちょうど:ある物事が、そのときまさに行われているさま。

【例文】

  • 彼の噂をしていた時に、ちょうど当の本人が入室してきた。
  • 今ちょうど仕事にキリがついたところです。

【類語】

まさに(正に):実現・継続の時点を強調するさま。ちょうど。あたかも。

【例文】

  • まさに電話の相手に鈴木の不在を告げようとした瞬間、彼が外回りから帰ってきた。
  • まさに特許申請しようとした時、ライバル企業に先を越されたことが判明した。

【類語】

折しも(おりしも):ちょうどその時。折から

【例文】

  • 長く抱えていた在庫を売り尽くした途端、折しもブームが再燃し問い合わせが相次いだ。
  • 急な来客があったが、折しも部長は昼食に出掛けた後だった。

さいごに

ここまで「あたかも」についてご説明してきましたが、いかがでしたか。

「あたかも」の意味は2つあります。「あるものが他のものとよく似ていること」と「ちょうどその時」です。ビジネスシーンでは主に一つ目の意味で用います。「まるで。まさしく」といったニュアンスを表し、「あたかも」の多くは後ろに「のようだ」「のごとし」を伴います。なお、「ちょうどその時」という意味の「あたかも」には馴染みがない方も多いので、相手や状況によって類語の「ちょうど」「まさに」に置き換えるのが賢明です。

「あたかも」は手紙やメールといった文章を中心に使われる言葉です。あまり日常生活では用いないため、かしこまった印象があり文章を引き締めることができます。

この記事を参考に、皆さんが「あたかも」を適切に使えるようになることを応援しています。

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