「参考にさせていただきます」の意味や正しい使い方はご存知ですか?
目上の人との会話の中で使ったことのある人も多いのではないでしょうか。使い勝手のいい便利なフレーズですが、実は「参考にさせていただきます」の表現は、受け手によっては不快に感じる人もいます。
ここでは「参考にさせていただきます」の意味や使い方をご説明します。目上の人に使うときのメール例文や類語もご紹介するので参考にしてくださいね。
目次
「参考にさせていただきます」の意味
「参考にさせていただきます」の「参考」の意味を辞書で調べると、「何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料」とあります。
つまり、「参考にさせていただきます」は、相手の意見や資料に対して「自分の考えを決める手がかりにさせていただきます」という意味で用いられる言い回しです。
「参考にする」に謙譲語「させていただく」が付いているので、相手への敬意が込められた表現です。
「参考にさせていただきます」の使い方
前章でお伝えしたとおり、「参考にさせていただきます」は相手の助言や意見に返答するときの言い回しで、敬意を含んだ表現です。
しかし、目上の人の中には、この言葉の使用を快く思わない人もいます。その理由は、「あなたのアドバイスを判断材料のひとつとはするものの、それが妥当かどうかは自分で判断します」というニュアンスを含んでいるからです。
相手によっては、自分の厚意を無下にされたと受け取られてしまいます。
また、「させていただく」という言葉は、相手の可否を問わない一方的な表現なので、「頑な言い方だ」ととらえる方もいます。
つまり、「言葉の成り立ち」という観点からみると「参考にさせていただきます」は相手を敬った表現ではありますが、その言葉のニュアンスには、受け取り手の厚意を無にする意味合いも含むため、どんなシーンでも使える訳ではありません。
目上の人に使っても失礼ではないのは、主に下記の3つの場面で使うときです。
感謝の気持ちを伝えるとき
「相手のアドバイスや言動が役に立った」と感謝の気持ちを伝えるときは「参考にさせていただきます」の表現はつかえます。
感謝の気持ちを伝えたい時の例文は以下の通りです。
【例文】
- 先日は最先端の研究事例をご紹介いただきありがとうございました。学ぶべきことが大変多く、すばらしい時間を過ごすことができました。今後の製品づくりの参考にさせていただきます。
- この度はご多忙にもかかわらず、資料をご準備いただきありがとうございます。是非参考にさせていただきます。
依頼の意向を伝えるとき
「相手の意見を参考にしたい」という理由で何かを依頼するときにもよく使われる表現です。
依頼の意向を伝えたい時の例文は以下の通りです。
【例文】
- この度はモニターのご協力、ありがとうございました。今後の参考にさせていただきたいので、お気づきの点がございましたらご意見頂戴できますと幸いです。
- 今年の新年会幹事の参考にさせていただきたいので、昨年の新年会のお店や価格といった概要を教えていただけませんか。
お断りの判断を伝えるとき
相手の提案を断るときや、辞退する意向を婉曲的に伝える場面でもよく使われます。お断りの判断を伝えたい時の例文は以下の通りです。
【例文】
- これまでお送りいただいた資料は、どれも大いに参考にさせていただいておりましたが、この春より部署異動が決まりましたため、送付を停止いただきますようお願い申し上げます。
- メールマガジンはどれも興味深く、育児の参考にさせていだいておりました。おかげさまで子どもも随分と成長しましたので、配信を停止していただきたくご対応よろしくお願いいたします。
「参考にさせていただきます」の類語
続いては「参考にさせていただきます」の類語・言い換え表現をご紹介します。
参照させていただきます
「参照」は「照らし合わせて、参考にすること。参看」という意味です。
「参考」とほぼ同じ意味で、使い方も同様です。
活用させていただきます
「活用」は「物や人の機能・能力を十分に生かして用いること。効果的に利用すること。」という意味です。
「活用」は「参考」と同様に「相手の意見や資料を自分の良いように利用する」というニュアンスを含みます。「活用させていただきます」を使う際は、お礼の言葉を付け加えるなど誤解を与えないようフォローしましょう。
お手本とさせていただきます
「手本」は「見習うべき物事。模範」という意味です。相手の言動を見習うべき規範として捉えたフレーズであり、「お手本」という言葉自体が敬語になっているため、より丁寧な表現です。
勉強させていただきます
「勉強」の意味は「学問や技芸などを学ぶこと」です。
他にも「物事に精を出すこと。努力すること」という意味もあるので、前向きで誠実な印象を与えます。
さいごに
ここでは「参考にさせていただきます」の意味やビジネスシーンでの使い方をお伝えしましたが、いかがでしょうか。
相手の意見や資料に対して「自分の考えを決める手がかりにさせていただきます」という意味なので、受け手によっては厚意を無下にされていると受け取られかねません。
ご紹介した、相手に感謝するとき、依頼するとき、断るときの3つの場面でのみ使うことを覚えておいてくださいね。