さて、「頑張ってください」は、目上の人に使える言葉なのでしょうか。先に結論をお伝えすると、この言葉を取引先や上司といった目上の人に使うと失礼にあたります。
ここでは「頑張ってください」が目上の人に失礼にあたる理由はもちろん、適切な言い変え表現をお伝えします。また、ビジネスメールで上司に「頑張ってください」と書きたいとき、代わりに使える表現についても例文つきでご紹介するので参考にしてくださいね。
目次
目上や上司に「頑張ってください」は失礼になる理由
まず「頑張れ」は「頑張る」の命令形です。
一見すると「頑張ってください」は、「頑張れ」に「ください」を付けた丁寧な言い回しに聞こえますが、たとえ丁寧に伝えても、「頑張れ」と命令や指示をしていることには変わりはありません。
そのため、目上の人や上司に使うのは失礼にあたります。では、敬語表現に直して伝えれば、「頑張れ」は失礼ではないのでしょうか?
答えはノーです。
そもそも「頑張れ」の敬語は存在しません。「頑張る」の意味は「困難にめげないで我慢してやり抜く」であり、それを相手に命令する「頑張れ」は、目上の人に使うべきではないため、敬語も存在しないとされています。
では、目上の人や上司に同じ意味合いを伝えたい場合はどのような表現にしたらよいのでしょうか。次章をご覧ください。
「頑張ってください」の類語・言い換え表現
「頑張ってください」の類語には次のようなものがあります。
- 踏ん張ってください
- 気張ってください
- 負けないでください
これらの言葉は「頑張ってください」と意味はほぼ同じですが、相手にそのまま使うのはやはり命令をしているような無礼な印象を与え、ふさわしい表現とは言えません。
目上の人や上司に使う場合は、適切な言葉に言い換える必要があります。下記を参考にしてください。
- 陰ながら応援しています
- ご健闘をお祈りしています
- 成功をお祈りしています
- ご活躍をお祈り申し上げます
- ご健勝ご活躍をお祈り申し上げます
- ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます
「陰ながら応援しております」は、相手のことを見えない所から応援している、という控えめな表現で、部下から上司に贈る言葉として適しています。
「ご健闘をお祈りしております」は、「困難に屈せず、頑張って闘うこと。不利な状況からよく努力すること」という意味の「健闘」を敬語表現にした上、それを「祈っています」で締めくくった表現です。「頑張ってください」を丁寧にした言い換え表現のため、こちらも上司に使っても問題ありません。
「成功をお祈りしています」もその言葉通り「成功」を「祈る」という控えめな表現から、目下の者から目上の者にかける言葉としてふさわしいものとなります。
「ご活躍をお祈り申し上げます」は、仕事の成果を願う言葉であり、「ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます」もその人の健康と幸せを願う言葉ですから、これらも目上の人に対しての言葉として適切な言い換え表現といえます。
そのときの状況に合わせて、よりふさわしい言葉を選ぶようにしましょう。
ビジネスメールで「頑張ってください」を言い換えるときの表現
次に、ビジネスメールで「頑張ってください」を伝えたいとき、代わりに使える言葉をご紹介します。
メールの結び「益々のご活躍をお祈りしております」
「ご活躍をお祈りしております」は基本、どんな人にも使える言葉ですので、一般的なメールの結び文として適しています。
【例文】
- それでは、〇〇様の益々のご活躍をお祈りしております。
異動する上司への応援メッセージ「陰ながら応援しております」
人事公示により、他部署や他支店への異動が決まった上司に送るメールでは、今までのように会う機会は減りますが、ひそかに応援している、ということを伝えるこのメッセージがふさわしいです。
【例文】
- 今まで本当にお世話になりました。新天地での○○様の今後のご活躍を、陰ながら応援しております。
転職する上司への応援メッセージ「ご健勝とご多幸をお祈りしております」
転職などで離れた場所に行く上司に対して、その後の健康と幸せを願うメッセージとして適しています。
【例文】
- 新しい分野に挑戦される○○様のこれからのご健勝とご多幸を心よりお祈りしております。
企業向けのメッセージ「ご発展を心よりお祈り申し上げます」
企業向けには「ご発展」という言葉を使います。「発展」とは「物事の勢いが伸び広がって盛んになること。物事がより進んだ段階に移っていくこと」という意味で、その会社が繁栄していくことを願うメッセージとして適しています。
【例文】
- 貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
「ご苦労様」や「期待しています」も上司に失礼
「ご苦労様」や「期待しています」という表現も上司に対しては失礼にあたります。
「ご苦労様」は人を労わる言葉ですが、本来労わるというのは目上の人が目上の人に対してすることであり、逆の立場対してすることは失礼とされています。
「期待しています」も、相手に何らかの成果や結果を求めるニュアンスが含まれているため、目下から目上の人に使うのは上から目線と取られてしまい、これも失礼にあたります。
「ご苦労様」は「ご」や「様」などがついており、一見丁寧な言葉に聞こえますし「期待しています」もいい意味でとれる言葉のため、つい使ってしまいがちですが、目上の人や上司に対しては使わないように気を付けましょう。
さいごに
ここでは「頑張ってください」の目上の人への言い換え表現や、メールでの代わりに使えるフレーズを例文つきでお伝えしましたが、いかがでしょうか。
ビジネスの人間関係をよりよいものにしていくよう、普段の言葉遣いには注意する必要がありますね。これらのことを頭に留めておいて、必要な時にぜひ参考にしてみてくださいね。