ビジネス文書やメールで「各々」という言葉を目にすることがあります。
たとえば「各々で〇〇してください」という書き方ですね。
見慣れた言葉ではあるものの、「各々」の読み方や正しい意味、使い方が曖昧になっている方も少なくありません。
ここでは「各々」の読み方や意味・使い方をご説明します。似た言葉の「それぞれ」や「個々」「各自」の意味や「各々」との違いについても解説していきますので参考にしてくださいね。
「各々」の意味・使い方
「各々」の読み方は「おのおの」です。「かくかく」ではないので注意してくださいね。
「各々」の意味は「それぞれ・めいめい・各自」であり、人や物に対して使うことが基本です。
一度に多くの人に対して用件を伝えたり文書を作成したりするときに「あなた達一人一人」を表すときに使用します。
それでは、例文をいくつか紹介します。
【例文】
- 研修中の昼食は、各々で用意してください。
- 次の会議では、各々のアイデアを順次発表してもらいます。
- これらの製品には各々にメリット・デメリットがあるため、精査する必要がある。
上記例文のうち、1・2番目の例文は「一人一人」という意味で「各々」を使っており、3つ目は物に対して「各々」を使っていますね。
「各々」を使ったビジネス敬語の例文集
「各々」は日常会話の中ではあまり使う機会のない言葉ですが、かしこまった場面やビジネスシーンで目上の人に使うことがあります。
ビジネス敬語の例文を紹介するので、使い方に迷った方はぜひ参考にしてくださいね。
【例文】
- 研修先での宿泊場所は、各々で準備していただくようお願いいたします。
- 会議で使う書類をメールに添付しておりますので、各々で印刷のうえご持参ください。
- 参加申込書は、各々でご記入いただく必要がございます。
「各々」の類語・言い換え表現
「各々」は日常会話で使わない上に、漢字の読みも難しい言葉です。
「あなた方一人一人」を表したいけど「各々」は堅苦しい表現だし、他の言い換え表現を参考にしたい…という方は、下記の類語をご覧ください。
- 各自
- それぞれ
- 皆様方
人ではなくモノを示すときは「各々」よりも「それぞれ」を使ったほうが違和感ありません。「皆様方」は「皆様」をより丁寧にした言葉です。「各々」よりも相手への敬意を示した表現です。
【例文】
- 機材を使用される場合は、各自でご持参いただきますようお願いいたします。
- 今回ご紹介いただいた商品は、それぞれに優れた点がありました。
- 皆様方にご協力いただいたおかげで、このような日を迎えることができました。
「各々・それぞれ・個々・各自」の違い・使い分け方
つづいては「各々・それぞれ・個々・各自」の違いをお伝えします。どれも似たニュアンスの言葉ですが、使い分け方が微妙に異なるのでこの機会に覚えておきましょう。
まずは読み方と意味から解説します。
- 各々(おのおの):それぞれ・めいめい・各自(人や物に使う・かしこまった印象)
- それぞれ:一つ一つ・一人一人(人や物、事柄に対して使う・カジュアルな印象)
- 個々(ここ):一つ一つ・一人一人(人や物に使う)
- 各自(かくじ):一人一人・めいめい・各々(人に対して使う)
「各々・それぞれ・個々」は人や物に対して使う一方、「各自」は人にのみ使うといった微妙な違いがあります。また、「それぞれ」は日常でもよく使われる通り、カジュアルな場面で主に使われます。かしこまった文書やメールでは「各々」「各自」の言葉を使うようにしましょう。
さいごに
ここでは「各々」の意味や使い方を解説しましたが、いかがでしょうか。
「かくかく」と読んでいた方も、今後は「おのおの」と正しく読めますね。例文を参考にすると、意味や使い方もイメージしやすいかと思います。複数の人に向けて「あなた方一人一人」を表したい時は、ぜひ「各々」を使ってみてください。
また、物に対しては「それぞれ」、目上の方には「皆様方」と、何を示すのか・どのようなシチュエーションで使うのかによって、いくつかの言葉を使い分けられるようにしておくといいですね。