突然ですが、「目的・目標・手段」の違いをご存知ですか?
日常生活の中やビジネスシーンでは、行動を進めるにあたって実現や達成を目指すことがあります。そのようなとき、「目的・目標・手段」といった言葉を見聞きしますよね。
そもそもこれらの言葉の正しい意味や使い方は理解できていますか。
ここでは「目的」「目標」「手段」の違いはもちろん、それぞれの正しい意味や使い方をご説明します。さらに「意義」や「動機」との使い分け方についてもお伝えするので参考にしてくださいね。
目次
「目的」「目標」「手段」の違い・使い分け方
「目的」「目標」「手段」にはどのような違いがあるのでしょうか。
結論からお伝えすると、
- 目的:最終的に実現しようとして目指すもの
- 目標:目的を達成するための目印
- 手段:目的や目標を達成するための具体的な行動
となります。より詳しく理解したい方は次節をご覧ください。
「目的」の意味・使い方
「目的」の辞書的な意味は「実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい。めあて」です。
分かりやすく言うと、最終的に実現・完遂・到達しようとして目指すもののことをいいます。
たとえば「なぜ、ジムに行くの?」と聞かれたとき、「体重を5キロ落とすためにジムに行っています」と答えたとします。
そのときの「体重を5キロ落とす」というのが、ジムに通う最終的な目当てということになります。
また、出掛けるときに、最終的に辿り着きたい場所のことを「目的地」ということからも、長期的にどうなりたいか、というのが「目的」になることがわかりますね。
【例文】
- サプリメントを飲む目的は、ダイエットをして痩せるためだ。
- 会社を先代より大きくするという目的を達成するためには努力を惜しまない。
- 目的意識を持つことで、辛い修行に耐えることができる。
「目標」の意味・使い方
辞書に書いてある「目標」の意味は下記の3つです。
- 行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準。
- 射撃・攻撃などの対象。まと。
- そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの。
「実現を目指す」という点では「目的」と同じ意味です。
しかし、「目標」は「目的」を達成する過程での「目印」とするものを表した語です。
たとえば、道順を説明するとき、「本屋の角を右に曲がって1つ目の交差点に目当ての場所がある」と伝えた場合、「本屋」は「目的」ではなく「目標(目印)」ですよね。
したがって、「目標」は、「目的」を達成する過程で目指すものといえます。
長期的で内容重視なのに対して、「目標」はより具体的な数値や数量に重点を置いて立てられます。
【例文】
- フルマラソンを完走するために、毎日1時間のランニングを目標とする。
- 今月の契約件数目標は10件だ。
- 富士山登頂を今年の目標とする。
「手段」の意味・使い方
「手段」とは「ある事を実現させるためにとる方法。手立て」という意味です。
つまり、「目的」や「目標」を達成するための具体的な行動のことを指します。
たとえば、旅費を10万円貯金するという「目標」を成し遂げるために、週5日アルバイトをして収入を増やすというのが「手段」になります。
また、「交通手段」は、ある場所から別の場所へ移動するための手立てのことをいいますし、「強硬手段」は、目的達成のために手段を選ばないやり方や、手加減や容赦をしない方法という意味で用いられることからもイメージできますね。
【例文】
- 目的のためなら手段は選ばない。
- 渋滞を避けるために、移動手段として電車を選ぶ。
- 新規プロジェクトを採択してもらうために、あらゆる手段を講じる。
ビジネスでの「目的」「目標」「手段」の違い
日常生活の中に限らず、ビジネスシーンでも「目的」「目標」「手段」の言葉は頻繁に使われますよね。
基本的な意味は上で述べた通りですが、ビジネスでは下記のような使い方をします。
- 目的:達成するべき使命・目指すことがら・ねらい。
- 目標:目的を達成するために経営資源を投入する具体的な的・目当て。
- 手段:作戦を実行するための具体的なアクションプラン。
分かりやすく言うと、「目的」は「なぜそれをやるのか(why)」、「目標」は「なにをやるのか(What)」、「手段」は「どのようにやるのか(How)」を表します。
なお、「目的」はミッションともいい、抽象的で漠然としたものを設定する傾向があります。一方で「目標」や「手段」は、具体的な数値や数量を細かく決めていくのが基本です。
「営業目標」や「売上目標」といった使い方をすることからもわかりますね。
「目的」と「意義」の違いは?
「目的」と似た意味の言葉に「意義」があります。
「意義」とは「その事柄にふさわしい価値。値うち」という意味です。つまり、目指すべきゴールではなく、その事柄によってもたらされる価値を指します。
「目的」は、最終的に実現・完遂・到達しようとして目指すものでしたね。
両者にはどのような違いがあるのでしょうか。「運動すること」を例に挙げて、「目的」と「意義」の違いをご説明します。
まず「運動する目的」は、その人が運動することを通じて最終的に実現したいことを指します。
たとえば「ダイエットで10キロ痩せる」や「引き締まった体を手に入れる」「プロで通用するくらいの筋力をつける」など、その人の意思によって成し遂げたいことがあげられます。
一方で「運動する意義」は、運動という行為の持つ価値を指して用いられます。
たとえば、運動するメリットは「健康の維持」や「ストレス発散」「筋力増加」「血流がよくなる」といったこと。
つまり、「目的」は本人の意思の持ち方によって変わるものですが、「意義」はその行為を通じて得られる価値そのものを表す言葉なのです。
覚えておきましょう。
「目的」と「動機」の違いは?
「目的」と「動機」も似た言葉として挙げられます。
「動機」とは「人が意志を決めたり、行動を起こしたりする直接の原因」という意味です。
簡単に言えば、「動機」は「きっかけ」のことです。なにをきっかけに「目的」を達成したいと思うようになったのか、ということを表すときに使う言葉ですね。
テレビニュースで事件について報道するとき、「犯行の動機は」という使い方をしますが、この意味をかみ砕くと「犯罪行為に手を染めるようになったきっかけ」になります。
また、「犯行の目的」は「犯罪行為に手を染めてまで実現したいこと」を意味します。
なお、「目的」も「動機」も、人によって様々です。
たとえば、Aさんの禁煙する「動機(きっかけ)」は「タバコの値上げ」であり、「目的」は「健康維持」である一方、Bさんの「動機」は「子供が産まれたこと」であり、「目的」は「貯金するため」という可能性があります。
さいごに
ここでは「目的」「目標」「手段」の違いについて解説しましたが、いかがでしょうか。
また、目的達成の過程で、本人の意図に関わらず、得られる価値のことを「意義」、行動を起こすきっかけのことを「動機」ということも理解できましたか。
今回ご説明した言葉は、どれも日常会話で何気なく使っているものばかりですが、正確に言葉の意味や関係性を理解するのは困難です。
だからこそ、適切に使い分けられると周りの人と一歩差がつきますよ。
この機会に覚えておいてくださいね。