「可能でしょうか」が目上の人に使える表現かどうか気になっていませんか?
ビジネスシーンで相手に何かをお願いするとき、「してください」という言い回しは命令口調のような印象を与えてしまうので、柔らかい伝え方に言い換えることがあります。
そんなときに「していただくことは可能でしょうか」という言い回しを耳にすることがあります。
末尾で「でしょうか」という丁寧な言い方をしているので、相手に敬意を示して依頼をしているように思えますが、実は目上の方に使うのは相応しくない場合もあります。
ここでは、目上の人に使っても失礼にならない「可能でしょうか」の正しい使い方や、より丁寧な言い回し・言い換え表現についてご説明するので参考にしてくださいね。
目次
「可能でしょうか」は上から目線!目上に使うべき敬語ではない
先に結論をお伝えすると「可能でしょうか」は目上の人やビジネスメールで使うのはふさわしくありません。
その理由は、「可能でしょうか」が上から目線のニュアンスを含むからです。
言葉の成り立ちを見ると「可能」に推定の「だろうか」を丁寧語にした「でしょうか」をつけた表現なので、敬語としては正しいです。
そのため、気心の知れた相手に「できるか・できないか」を尋ねたいときに「可能」という言葉を使うこと自体は誤りではありません。
ところが、お客様や目上の人に対して「可能」という言葉を使うと、上から目線で強引な印象を与えてしまう可能性があるので気をつけなくてはなりません。
「可能でしょうか」の下記の例文をみてみましょう。
- この書類を来週までに提出してもらうことは可能でしょうか。
- 新規のお客様をご紹介いただくことは可能でしょうか。
- この件に関しまして、明日お返事をいただくことは可能でしょうか。
上記したどの例文も敬語を使った表現ではありますが、なんとなくぶっきらぼうで強引な印象を受けますね。そのため、ビジネスシーンで使うときは別の表現に言い換えましょう。
「可能でしょうか」の話し言葉の言い換え表現
次は、目上の方に使っても失礼にならない「可能でしょうか」の言い換え表現をお伝えします。まずは、会話で使える話し言葉を見てみましょう。
- ~いただけますか。
- ~いただけますでしょうか。
- ~いただいてもよろしいでしょうか。
- ~でよろしいでしょうか。
- ~でいかがでしょうか。
これらを使った例文は下記の通りです。
【例文】
- 打ち合わせの開始時間を変更していただけますか。
- 明日の打ち合わせは本社会議室でよろしいでしょうか。
- 貴社のこれまでの実績をまとめた資料をお送りいただけますでしょうか。
- 賀詞交換会のスケジュール表をご確認いただいてもよろしいでしょうか。
「可能でしょうか」のビジネスメールの言い換え表現
次は、ビジネスメールで「可能でしょうか」と尋ねたいときに使える言い換え表現を紹介します。相手の顔が見えないメールだからこそ、良い印象を与えられるよう表現には注意したいですね。
- ~いただければと存じます。
- ~いただきたく存じます。
- ~いただければ幸いです。
- ~いただきますようお願い申し上げます。
- ~のほど、お願い申し上げます。
- ~くださいますようお願いいたします。
口語表現とは違い、かしこまった表現ばかりですが、どれもビジネスメールでは頻繁に使われます。この機会に覚えておきましょう。
【例文】
- ご検討いただければと存じます。
- ご確認の上、〇日までにご返信いただきたく存じます。
- ご教示いただければ幸甚です。
- ご回答いただきますようお願い申し上げます。
- お力添えくださいますようお願い申し上げます。
なお、「存じます」は「思います・考えています」のへりくだった表現です。
クッション言葉をつけると、より丁寧な言い回しになる
「可能でしょうか」をはじめ、上記の言い換え表現を使うときは「クッション言葉」をつけると、より柔らかく丁寧に伝わります。
クッション言葉は相手に負担を強いるお願い事などをするときに「クッション言葉⇒お願い事」の順に伝えることによって、謙虚な姿勢を伝えられるので積極的に活用しましょう。
【クッション言葉】
- お手数をおかけしますが
- 恐れ入りますが
- 差し支えなければ
- 大変恐縮ですが
- 重ね重ね申し訳ありませんが
- ご多忙中とは存じますが
- 厚かましいお願いとは存じますが
- ご面倒をおかけいたしますが
【例文】
- お手数おかけして恐れ入りますが、書類を来週までに提出してもらうことは可能でしょうか。
- 不躾なお願いとなり大変恐縮ですが、お客様を紹介していただけませんでしょうか。
- お忙しいところ申し訳ございませんが、この件に関して明日お返事をいただけましたら幸いです。
クッション言葉を置くだけで印象が柔らかくなります。この機会に覚えておきましょう。
さいごに
ここでは「可能でしょうか」の言い換え表現についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。
お客様や取引先の方にお願い事をするときは、快く引き受けてもらうためにも言葉は慎重に選ばなければなりません。
「可能でしょうか」は上から目線の印象を与える恐れがあるので、ほかの言葉に言い換えた上でクッション言葉を付けると丁寧です。
この機会に覚えておいてくださいね。