「の際」の意味・使い方・類語|ビジネス文書・メール例文集つき

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「の際」の意味・使い方・類語|ビジネス文書・メール例文集つき

突然ですが、「の際」の意味や正しい使い方はご存知ですか?

ビジネスシーンに限らず日常生活の中でも、以下のような使い方で見聞きすることがありますよね。

  • その際にお返事をいただけると幸いです。
  • お手すきの際で結構ですので、ご連絡くださいますようお願いいたします。
  • ご購入の際にお使いいただけるお得なクーポンです。

でも「の際」とはどのような意味なのでしょうか。似た言葉に「の時」や「の折」がありますが、どのように使い分けるべきなのでしょうか。

ここでは「の際」の意味や使い方についてご説明します。類語である「の時」「の折」との違いやビジネス文書・メールの例文も紹介するので参考にしてくださいね。

「の際」の意味

「際」の読み方は「さい」です。

「際」の意味は「とき」「場合」「機会」であり、時や時節を表す名詞です。そのため、簡単に言うと「の際」は「の時」と同じ用法で使うことができます。

たとえば「引っ越しの際にはお世話になりました」は「引っ越しの時にはお世話になりました」と言い換えることができます。

「の際」は、上記の例文のように過去に起こった事柄を指すときに使われるほか、二つの事柄を結んで仮定形の表現として使うことができます。これを仮定条件といいます。

「の際」の仮定条件での使い方は「退席される際は足元にご注意ください」です。この文章を言い換えると「もし退席されることがあれば、足元にご注意ください」になります。

「際」の使い方

「際」の意味は「とき・場合・機会」でした。「際」にはどのような使い方があるのでしょうか。

「の際」の使い方

前述した通り、「の際」の主な使い方は以下の2つです。

  • 過去に起こった事柄を指すとき
  • 未来において仮定される事柄について説明するとき

「の際」は、「発車」や「満車」といった物理的に起こる出来事や、「お帰り」「お決まり」など「することを決めたら」「することができたら」と、相手が自分の意思で物事を決断したときに使われます。

文法だと下記の2つの種類があります。

  • 名詞+の+際:満席の際は、離陸の際は、変更の際は、退院の際は
  • 普通形+際:お戻りの際は、お伺いの際には、お決まりの際は

相手の行動に関する仮定条件を指して使うときは、尊敬語や接頭語をつけて使うのが一般的です。

以下に「の際」を使った例文をご紹介します。

【例文】

  • 発車の際は、お近くの手すりにおつかまりください。
  • 弊社駐車場が満車の際は、向かいの広場をご利用ください。
  • 登録変更の際は、身分証明書が必要です。
  • お帰りの際は、インターフォンでお知らせください。
  • 近くへお越しの際には、ぜひお立ち寄りくださいませ。
  • ご注文がお決まりの際はお申し付けください。
  • お帰りの際はお忘れ物のないようご注意ください。

「に際し・際しまして」

「際」は「に際し」「際しまして」という使い方もします。

「際する」という動詞の連用形であり、意味は「~にあたって。ある出来事や事態に出あう」です。

「非常事態に際して」「亡父の三回忌に際して」などと、ある物事に取り組むときや、何かに臨む状況を表す場合に使います。

意味は「の際」と同じですが、「際する」は漢文調の文体から生まれた言葉なので、堅い表現です。そのため、式典や公の場でのスピーチ、かしこまった文書などで使われることが多いです。

以下に「~に際し」「際しまして」の例文をご紹介します。

【例文】

  • 明日からの海外勤務に際し、初心を忘れず心機一転頑張っていく所存でございます。
  • 新店オープンに際し、今まで培ってきた技術を引き継ぎよりいっそうの努力をして参ります。
  • 私共の団体発足に際しましては、たくさんのお力添えを頂きまして誠にありがとうございます。
  • 息子の大学受験に際しましては、先生方の温かいご指導ご鞭撻を頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。
  • 父の退職記念パーティーに際しましては、たくさんのご臨席を賜り心より御礼申し上げます。

「の際」を使ったビジネス文書・メールの例文集

「ご来場の際に」

平成〇〇年〇月〇日

取引先各位

株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇

会食のご案内

拝啓 初夏の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、このたび当社では、日頃お取引いただいている皆様をお招きし、懇親の機会をもつことに致しました。業務における諸々の課題、問題点などにつき積極的な意見の交換を行なうとともに、互いの親睦を図ることを目的として実施するものであります。
 つきましては、下記の要領で開催いたしたく存じます。ご多用中のところ誠に恐れ入りますが、万障お繰り合わせのうえ、ご出席いただきたくお願い申し上げます。

敬具

   日時  平成〇〇年〇月〇日(〇)午後6時から午後8時
   会場  割烹料理見本
       東京都中央区見本町〇-〇-〇
       TEL:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
   お問い合わせ先
       総務部 課長 〇〇 TEL:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇

以上

ご来賓の皆様の交通費は、弊社にて負担致します。ご来場の際に受付までお申し付けください。

「お手すきの際にご一読いただければ幸いです」

件名:契約書データのご送付

株式会社〇〇〇〇
総務部 〇〇 〇〇 様

お世話になっております。
株式会社△△の△△と申します。

先日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

さて、ご面談でお話ししました、
契約書のデータを添付ファイルにてお送り致します。

注意点につきましては後日あらためてご連絡いたしますので
お手すきの際にご一読いただければ幸いです。

お手数をおかけしますが、
よろしくお願い申し上げます。

====================
署名
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「の際」の類語・言い換え表現

つづいては「際」の類語や言い換え表現についてご紹介します。

  • の時:お近くにお越しの時には、ぜひお立ち寄りください。
  • の場合:もしわからない場合はお電話ください。
  • の機会:皆様お集まりの機会にはお声をお掛けください。
  • の折:こちらに来られる折にはご連絡ください。
  • の期:花が咲く期にお会い致しましょう。

上記の類語は「の際」と言い換えてもほぼ同じ意味で言い換えることができます。

いずれも仮定形の表現や未来形の表現でも使えます。上記した「時」「場合」「機会」は、「もしそうなったら」という仮定形の表現に使われることが多く、「折」「期」は、「その状況や時期になったとき」を表す未来形の表現に使われることが多いです。

「の際」「の時」の違い・使い分け方

これまで「の際」と「の時」は同じ状況で使えることをお伝えしました。では両者はどのように使い分けるのでしょうか。

1つ目の違いは「の際」は「場合」を表し、「の時」は「時間や時期」を表す点です。「場合」とは、ある事が起こったときの状態や局面のことです。例文で見比べてみましょう。

  • お帰りの際はお声がけください⇒帰ることになった場合は
  • お帰りの時はお声がけください⇒帰る時間になったら

上記例文からも分かるとおり、「の際」は仮定条件を表すときによく使われます。一方で「の時」は「その時間になったら。季節が来たら」と、時間を強調して伝えるときに使われます。

2つ目の違いは、「の際」はメールや手紙・書状といった書き言葉で使われることが多く、話し言葉で使用するのはかしこまった場面という点です。

「の時」は主に話し言葉で使われますが、書き言葉で使うのも一般的です。

また、ビジネスシーンで目上の人に「の際」を使って丁寧に伝えるときは、「の際」の前に置く言葉を敬語表現するのが基本です。

例えば「聞く」は「お聞きになる」、「見る」は「ご覧になる」、「行く」は「伺う」と言い換えてから「際」に繋げます。

上記した点に注意しながら、状況に応じて「の際」「の時」を上手に使い分けましょう。

【例文】

  • 次回お目にかかる際には、弊社の資料をお持ちいたします。
  • 上京なさる際は、食事でもご一緒しましょう。
  • 明日出社した時は、総務部に立ち寄ってね。
  • 卒業式の時は、生徒代表で挨拶するそうだね。ご両親も喜ぶと思うよ。
  • パーティーの時に着ていく服が決まらず、思い悩む。

さいごに

ここでは「の際」の意味や使い方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

「際」の使い方を理解しておくと、目上の人に礼儀正しく何かを伝えるときや、お客様に丁重なビジネス文書を送るときに便利です。

この機会に覚えておいてくださいね。

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