「ひねる」「ねじる」「よじる」の違い|意味・使い方・類語・例文つき

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「ひねる」「ねじる」「よじる」の違い|意味・使い方・類語・例文つき

突然ですが、「ひねる」「ねじる」「よじる」の違いはご存知ですか?

「ひねる」「ねじる」「よじる」には、どの言葉にも物体に手を加えて変形させるという物理的・抽象的な意味合いが含まれますが、使い方に細かな違いがあります。

ここでは「ひねる」「ねじる」「よじる」の正しい意味や使い方についてご説明します。「捻る」の類語や言い換え表現についても、例文を挙げてお伝えするので参考にしてくださいね。

「ひねる」「ねじる」「よじる」の違い

「ひねる」「ねじる」「よじる」にはどのような違いがあるのでしょうか。

さきに結論をお伝えすると、

  • ひねる:一方向に回す。軽い力で回す。指先で回す。
  • ねじる:逆方向に回す。力を入れて無理に回す。
  • よじる:ねじってまげる。「ねじる」よりも複雑な回し方をする。

こうして見ると、それぞれの言葉の意味が微妙に違うことがわかります。

より理解を深めるためにも、それぞれの意味や使い方を次節で詳しくご説明します。

「ひねる」の意味・使い方

「ひねる」を辞書で調べると、下記の9つの意味が出てきます。

  • 1:指先でつまんで回す。
  • 2:からだの一部をねじって向きを変える。
  • 3:ねじって回したり、締めたりして殺す。
  • 4:つねる。
  • 5:いろいろと悩みながら考えをめぐらす。
  • 6:わざと変わった趣向や考案をする。
  • 7:苦心して俳句や歌などを作る。
  • 8:簡単に負かす。かたづける。
  • 9:金銭を紙に包む。

上記の意味からもわかるように、「ひねる」は色々な場面で使われますが、簡単に言えば「軽い力で回すとき」「一方向に回すとき」「一度だけ回すとき」に使います。

ガスのスイッチや水道の蛇口を開けるときに「ひねる」という言葉が使われますよね。

また、体操やストレッチをするときに、からだの一部を通常曲げる方向とは違う方向に曲げることも「ひねる」といいます。

「ひねる」は漢字だと「捻る」と書きます。「捻挫」やといった熟語でも使われますね。

1~4の意味で使うときは、物理的に力を加えることを表しますが、「捻る」の「捻」が「捻出」という熟語でも使われる通り、考えをめぐらせるとき、5の意味で「頭をひねる」という使い方をしたりもします。

なお「首をひねる」という言葉は「理解できずに考え込む」という意味です。

そのほか、8の「簡単に負かす」という意味から、「赤子の手をひねる」という慣用句や「ひねり潰す」という語句でも使われます。

【例文】

  • スイッチをひねる。
  • コックをひねる。
  • 腰をひねる。
  • 足首をひねって痛める。
  • ほっぺをひねる。
  • 対策に頭をひねる。
  • ひねった問題を出す。
  • 相手投手に軽くひねられる。
  • 心づけをひねって渡す。
  • ガスの元栓をひねる。
  • ストレッチで、からだを後ろ向きにひねる。
  • クロスワードパズルに頭をひねる。
  • いつもの番号で金庫が空かず、首をひねる。

【類語】

  • 捻じ曲げる
  • 折り曲げる
  • ひん曲げる
  • くねらせる
  • 歪曲する

「ねじる」の意味・使い方

「ねじる」の意味を辞書で調べると下記の2つが出てきます。

  • 細長いものの両端に力を加えて、互いに逆の方向に回す。また、一端を固定して、他の一端を無理に回す。ひねる。
  • 体の筋をちがえる。捻挫 (ねんざ) する。

上記の意味から「ねじる」の使い方を分かりやすく言えば、「逆の方向に回す」「力強く回す」「繰り返し回す」ときに使われる語です。

からだの筋を違える、捻挫する場合に「ねじる」という言葉が使われますが、より大きな力が加わったことを表します。

「ねじる」は物理的に回すことを表すだけでなく、「ねじれた関係」という比喩的な使い方をして、「複雑に絡み合った人間関係」という状態を表す意味でも使われます。

ニュースのなかで、政治がスムーズに進まないことを「ねじれ国会」と表現される時期がありましたが、これも同様の意味ですね。

【例文】

  • 針金をねじって固定する。
  • お祭りでねじり鉢巻きを作る。
  • 腕をねじる。
  • 足首を捩る。
  • 水道の栓を捩る。
  • 深く複雑にねじれた関係に苦しむ。

なお、漢字だと「捩る・捻る・拗る」の3つの書き方があります。常用漢字は「捻る」なので、「ひねる」と同じ漢字を使います。使い分けるときはかな書きにするとよいでしょう。

【類語】

  • 捻じ曲げる
  • 折り曲げる
  • ひん曲げる
  • くねらせる
  • 歪曲する

「よじる」の意味・使い方

「よじる」とは「ねじってまげる。ねじる」という意味があります。

「よじる」は「ねじる」と同義語ですが、ねじったものを更に曲げるときに使われ、「ねじる」よりもさらに複雑な回し方をするときに使われる言葉です。

代表的な表現に「身をよじる」がありますが、これは体をさまざまな方向に動かしてクネクネさせ、嫌がるからだの動きを表しています。

また「お腹がよじれる」「よじれるほど笑う」という言葉には、笑いすぎてお腹が痛くなるという意味合いがあり、「お腹をひねって笑う」という言葉よりも複雑さを表し、よりおかしく笑いが続く様子を表しています。

【例文】

  • 紙ひもをよじってこよりを作る。
  • 針金をよじる。
  • 子供を無理に抱き上げようとしたら嫌がり、からだをよじる。
  • 昨日は腹がよじれるほど笑った。
  • 身をよじって痛がる。

「身をよじって痛がる」とは、激しい苦痛に身悶えし、のたうち回る状態を表した語です。

なお、漢字では「捩る」と書きますが、表外漢字なので正式な文書などで用いるときは平仮名で書きましょう。

【類語】

  • クネクネする・させる
  • モジモジする・させる
  • 身をくねらせる
  • 波打たせる
  • すじりもじり運動をする

さいごに

ここでは「ひねる」「ねじる」「よじる」の違い、それぞれの意味や使い方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

どれも耳馴染みのある言葉ですが、使い分けを意識したことのない方も多いと思います。

「ひねる」「ねじる」「よじる」のどの言葉を使うかによって、相手に伝わる印象も変わってきますので、この機会にそれぞれの意味や使い方を覚えておいてくださいね。

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