掃除や片づけをするとき、「整理整頓」という言葉を耳にすることがあります。
オフィスのデスクを整理整頓することによって、仕事の効率が良くなったり生産性が上がったりするので、定期的に整理整頓をおこなうことが大切です。
でも、ちょっと待ってください。あなたは「整理整頓」の意味をご存知ですか?
また「整理」と「整頓」には、それぞれ違った意味や使い方があることを知っていますか?
日常会話で使っている言葉のなかには、意味が曖昧なままになっている漢字や熟語も少なくありません。
「整理」と「整頓」もそんな言葉のひとつです。
ここでは「整理」と「整頓」の違いについてご説明します。それぞれの意味や使い方・類語・対義語についてもお伝えするので参考にしてくださいね。
「整理」と「整頓」の違い
「整理」と「整頓」の違いについて、先に結論からお伝えすると、
- 整理:必要なものと不要なものに区別し、不要なものを捨てること。
- 整頓:乱れたものを正しく整えること。
となります。上記より掃除の順番は、まず「整理」をして必要なものだけの状態にしてから、「整頓」して正しく揃えるという流れでおこなうのが基本です。
「整理」と「整頓」のそれぞれの意味や使い方は下記のとおりです。
「整理」の意味・使い方
「整理」の読み方は「せいり」です。
「整理」の意味は「(1)乱れた状態のものをきちんと整えること」「(2)無駄なもの、不要なものを処分すること」です。
(1)の意味での使い方には「資料を整理する」「交通整理」「気持ちの整理がつく」などがあります。(2)の意味では「人員を整理する」ですね。
なお、片づけや掃除をするときの「整理」とは「必要なものと不要なものに区別し、不要なものを捨てる」という意味になります。
「整理」の「整」の漢字には「乱れたものを正しくそろえる。ととのえる」という意味、「理」には「きちんと整える」という意味のほか、「物事に備わった筋道。きちんと筋道を立てる」とあるのですが、漢字の成り立ちからも、要らないものを捨てる「整理」が先だと分かりますね。
【例文】
- 信号が止まったので、警察官が交通整理をしている。(混乱を正常な状態にする意)
- たまった年賀状を整理していく。(乱れた状態のものをきちんと整える意)
- ここまでの状況を整理しておく。(乱れた状態のものをきちんと整える意)
「整頓」の意味・使い方
「整頓」の読み方は「せいとん」です。
「整頓」の意味は「きちんとかたづけること。また、きちんとかたづくこと。整うこと」です。
なお、片づけや掃除をするときの「整頓」の意味は「乱れているものの位置を元にもどし、整えること」です。
「整頓」の「整」の漢字は、上でも述べた通り「乱れたものを正しくそろえる。ととのえる」という意味、「頓」には「正しい位置にとどまる。落ち着く」の意味があることから、「整頓」は「秩序立てて配置すること」という意味になります。
「整理」とは違い、不要なものを処分する・取り除くという意味はありません。
【例文】
- 夏休み中には本棚を整頓するつもりだ。(正しく揃える)
- 机の上を整頓すると作業もはかどる。(正しく揃える)
- 彼は部屋を整頓しておくのが苦手だ。(整えた状態を維持するのが苦手)
「清掃」との違いは?
前章では「整理」と「整頓」の違いについてお伝えしました。では「清掃」は、「整理」「整頓」とどのような違いがあるのでしょうか。
これらの言葉は「職場の基本3S」と呼ばれている言葉なので覚えておきましょう。
まず、「整理整頓」は前述の通り、いらないものを処分して、機能的で見た目にもきれいに整えることです。
一方で「清掃」の意味は「ゴミや汚れを取り除いてきれいな状態にすること」です。
部屋の整理・整頓・清掃をするときのイメージは、ほうきや塵取りといった用具を使って掃除することが「清掃」で、部屋にある不要なものを処分することが「整理」、ものの配置などを整え、機能的で整った状態にすることが「整頓」ですね。
なお「整理整頓」は、「整理」してから「整頓」するという順番がありますが、「清掃」は常に行うものです。こまめに掃除をしながら、定期的に「整理整頓」をするのが基本です。
「整理整頓」の類語・対義語
整理整頓の類語を紹介します。
- 片づけ
- 陳列
- 整然
「整理整頓」の対義語を紹介します。
- 乱雑
- 不正頓
- 雑然
- 紛然
さいごに
ここでは「整理」と「整頓」の違いや、それぞれの意味・使い方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。
普段何気なく使っている「整理整頓」の言葉ですが、「整理」と「整頓」の熟語の意味や使い方を知ると、言葉の奥深さを感じますね。
つぎに「整理整頓」をする機会があるときは、言葉の意味を思い出して、順序を考えてみてくださいね。