突然ですが、「秀逸」という言葉の意味や使い方をご存知ですか?
ビジネスシーンはもちろん、テレビや雑誌、小説などで「秀逸な〇〇」という表現で使われることの多い言葉ですね。
なんとなくの意味はわかっていても、曖昧なままだと、いざという場面で間違った使い方をしてしまうため気をつけなくてはなりません。
ここでは「秀逸」の正しい意味や使い方を詳しく解説します。また、「秀逸」の類語や言い換え表現についても例文を交えて紹介します。
また「逸脱」「秀悦」という言葉は「秀逸」と同じ場面で使われることがありますが、果たして正しい言葉なのか、間違い表現なのか、その意味や理由も併せてご紹介します。
漢字が似ているので間違えやすい言葉ですが、それぞれの意味をきちんと理解し正しい使い方ができるよう、覚えておいてくださいね。
「秀逸」の意味・使い方
「秀逸」の読み方は「しゅういつ」です。
「秀逸」の意味は「他のものより抜きん出てすぐれていること。また、そのさま」です。
「秀逸」の「秀」の漢字は、他より優れていることを表し、「他より抜きん出る」「ひときわすぐれる」という意味があります。
また「逸」の漢字は訓読みだと「逸れる」と書き、「抜け去る」「逃れる」という意味です。そのほかにも「逸」には「世間的な枠を抜け出て優れている」という意味をもつことから、「秀」と「逸」を並べた「秀逸」は「他のものよりも抜きん出てすぐれている」という意味になります。
ただ優れていることを表すのではなく「他のものと比べて優れている」というところが「秀逸」の言葉がもつ重要な点です。
よって「秀逸」は、「(他に比較対象があり)それよりもはるかに優れている」ことを表現したいときに使います。
【例文】
- 秀逸な人を目にして感銘を受けた。
- この工芸品は秀逸の一言だ。
- 彼のアイディアは秀逸だ。
- エイプリルフールの秀逸な嘘に騙された。
- 秀逸な記事を読み、SNSでシェアした。
- 企業の秀逸なキャッチコピーが心に残った。
- 秀悦なキャッチフレーズで目にした人の購買意欲を高めた。
「秀逸」を使うことにより、単に「優れている」「立派だ」ということを表現するだけでなく、「他とはくらべものにならないほど」という意味合いが強いことを理解しておきましょう。
逸脱・秀悦とは
「秀逸」とよく似た言葉の「逸脱」や「秀悦」は、混同してしまいがちな表現です。これらの違いについて解説します。
「逸脱」とは「本筋や決められた枠から外れること」という意味です。「逸脱」は「秀逸」のように「他のものより抜きんでて優れている」という意味は持たないため、必ずしも「優れている」という場面で使われるものではありません。
むしろ「逸脱」は、ルールを外れている物や規則を守らない人に対して使われる言葉です。
【例文】
- ルールを逸脱した行為に頭を悩ませる。
- あの人は常識を逸脱した人だ。
- あの建築物は設計図の内容を逸脱している。
なお、「秀悦」という言葉もネットで使われていることを目にすることがありますが、実は「秀悦」という言葉はありません。「秀逸」を聞き間違えたり、書き間違えたりしたことから広まった語と考えられます。うっかり使わないように気を付けてくださいね。
「秀逸」の類語・言い換え表現
「秀逸」の類語は下記のとおりです。
- 傑出
- 出色
- 屈指
- 抜群
- 卓抜
いずれも「他のものと比べて抜きん出て優れている」という意味ですので、「秀逸」という言葉とほぼ同じ意味になります。
【例文】
- あの人の発想は傑出している。
- ここは日本屈指の滝の名所である。
- 運動神経が抜群ですね。
また、「すぐれている」「並外れてとてもよい」という意味では次の言葉も類語に当たります。
- 優良
- 素晴らしい
- 目覚ましい
- 絶妙
- 立派
「よい」という意味を表す言葉はたくさんありますので、改まった場ではない場合や「他と比べて」という意味を含まずただ「優れている」ということを伝えたい場合にはこれらの言葉も使うことができます。状況に応じて使ってみてください。
【例文】
- 君の演奏は素晴らしいね。
- 体操部員の最近の上達ぶりは目覚ましい。
- 素材の味を生かした絶妙な味付けですね。
「秀逸」の対義語
「秀逸」の対義語にはどんなものがあるのでしょうか。
- 劣等
- 遜色
- 拙悪
- 低劣
- 劣悪
「劣等」とは「等級・程度などが水準より劣っていること」という意味です。「遜色」とは、「他に比べて劣っていること」という意味で、「他と比べて優れている」という意味の「秀逸」とは対義語の関係に当たります。
「拙悪」は「拙劣で粗悪なこと」、「低劣」は「程度が低く、内容などが悪いこと。人格・品性などが劣っていること」「劣悪」は「性質・状態などがひどく劣っていて悪いこと」という意味であり、「他と比べて」という意味を直接的には含みませんがこちらも「劣っている」という意味で「秀逸」と対義語に近い関係に当たります。
他と比べてというニュアンスを伝えたい場合は「劣等」「遜色」を、ただ劣っているということを伝える場合は「拙悪」「低劣」などを使うことができます。「劣悪」はひどく劣っていることを伝えたい場合に使います。そのときの状況に応じて、使い分けてみましょう。
【例文】
- 劣等な社員だと自分で思っている。
- 優勝作品と遜色のない出来栄えだ。
- 劣悪な環境から抜け出して、今は平和に暮らしている。
まとめ
いかがでしたでしょうか。「秀逸」の正しい意味や使い方、また「逸脱」の意味や「秀悦」は間違った言葉だということ、「秀逸」の類語や対義語についても例文をあげてお伝えしてきました。
「秀逸」という言葉は人や物に対して他よりも素晴らしいことを伝える、とてもいい意味の言葉です。「秀逸」を使うことによって、他とは違い優れていることに感銘した気持ちを伝えることができます。また、使うことによりビジネスシーンでの人間関係が良好になる場合もあります。
ぜひ頭に入れておいて、日常生活の適した場面で使ってみてくださいね。