「触発」と「感化」の意味・違い・類語|「触発・感化される」の例文つき

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「触発」と「感化」の意味・違い・類語|「触発・感化される」の例文つき

尊敬する人や優れた作品に影響を受けて、何かを始めてみたり、自分が変わっていったりという経験はありませんか?そういった場面で使う言葉が「触発」や「感化」です。

見聞きする言葉なので、「影響を受けること」となんとなく意味は分かる方も多いでしょう。しかし、実はこの2つの言葉には意味の違いがあるのをご存知ですか?

ここでは「触発」と「感化」の意味や違い・類語について解説していきます。「触発される」「感化される」の使い方について、例文つきで紹介するので参考にしてくださいね。

「触発」の意味・使い方

「触発」の読み方は「しょくはつ」です。

「触発」の意味は「物に触れて爆発・発動すること」「何らかの刺激を与えて、ある意欲・衝動・行動などを誘い起こすこと」の2つです。

本記事で取り扱っている「感化」と似た意味で使われるのは後者です。ポジティブな場面で使うことがほとんどで、優れた作品や人物が他の人に影響を与え、モチベーションを高めたり何かをやる気にさせたりするときに使います。

【例文】

  • 私はピカソの作品に触発され、絵を描き始めた。
  • 彼はビートルズの音楽に触発され、音楽の道を志した。
  • 彼の熱意に触発され、幽霊部員も練習に参加するようになった。

「感化」の意味・使い方

「感化」の読み方は「かんか」です。

「感化」の意味は「影響を与えて考えや行動を変えさせること」です。

物や人が他人に影響を与えるという意味では触発と非常によく似ていますね。

違いについては詳しくは後述しますが、感化は劇的な変化というよりは「自然で緩やかな変化」という意味合いがあります。

【例文】

  • 彼女に感化され花の名前に詳しくなった。
  • 私の弟は悪友に感化され、非行に走っていった
  • 彼は兄に感化されタバコを吸うようになった。

「触発」と「感化」の違い・使い分け方

では、「触発」と「感化」の意味の違いを見ていきましょう。

  • 触発:何らかの刺激を与えて、ある意欲・衝動・行動などを誘い起こすこと。
  • 感化:影響を与えて考えや行動を変えさせること。

他人に影響を与えるという意味ではどちらの言葉も同じです。では、違いはどこにあるのでしょうか。

まず、変化の速さに違いがあります。「触発」は優れた作品や人物が他人に衝撃を与え、急激に衝動や感情を揺り動かすことを指します。一方で、「感化」は一緒に過ごすうちに自然に、緩やかに感情や考え方を変化させることを意味します。

また、もう一点大きな違いとしては、「感化」はネガティブな変化にも使用します。例えば、「不良の友達に感化され非行に走る」など悪い方向の変化にも「感化」を使います。それに対し「触発」はポジティブな変化に使うことがほとんどです。

以上を踏まえて例文を見てみましょう。

【例文】

  • 息子はイチローのスーパープレイに触発され、野球を始めた。
  • あの映画監督はその類まれなる作風で多くの若者を触発し、映画界へと導いた。
  • 彼女に感化され、私もベジタリアンになった。
  • 彼は悪友に感化され、ヘルメットをかぶらずにバイクに乗るようになってしまった。

「触発される」「感化される」の意味・例文

「触発」と「感化」は「触発される」「感化される」といったように受け身の形で使用されることが多い言葉です。

そこで、自分が影響を受けるという場面に置き換えて考えると、二つの違いがよりはっきりわかります。

「触発される」は優れた作品や人物に衝撃を受け、急激に何らかの意欲を持つことです。優れた音楽、映画、スポーツなどに衝撃を受けた経験があるのではないでしょうか。「触発される」のはそういった優れたもの人に衝撃を受けた時です。

それに対して「感化される」は身近な人から刺激を受ける場合がほとんどです。その人と一緒に過ごすうちに、良い・悪いを問わずに影響を受け、自分の考え方や行動がゆっくりと変化していってしまうのが「感化される」ということです。

【例文】

  • 世界陸上に触発され、ランニングシューズを買ってきた。
  • 「君に読む物語」に触発され、私も日記をつけ始めた。
  • 彼氏に感化され、私も晩酌をするようになった。
  • 妻に感化され、食品を買うときに原材料をしっかり確認するようになった。

さいごに

よく似た意味の言葉、「触発」と「感化」の意味や使い方の違いについて、例文付きで解説してきました。

「触発」は衝撃を受けて劇的に影響を受けることであるのに対し、「感化」は緩やかに、自然に行動や考えが変化していくことでしたね。また、「感化」は悪い影響を受けるときにも使います。

二つの言葉の違いおわかりいただけたでしょうか?よく似た意味の言葉ですから、混合して使っている人も多いと思います。しかし、しっかりとニュアンスの違いを理解して使い分けることで、より自分の意図が伝わりやすい文章を作ることができます。

今回の記事を通して「触発」と「感化」のニュアンスの違いが理解していただければ幸いです。

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