「凡庸」と「汎用」の2つの言葉の意味や違いをご存知でしょうか?
読み方や文字の形が似ているからか、混同して使っている方をしばしば見かけますが、実は意味が全然違います。
ここでは、間違われやすい「凡庸」「汎用」の意味や使い方を詳しく解説していきます。例文もお伝えするので、この機会に「凡庸」「汎用」の違いを理解し、きちんと使い分けられるようにしていきましょう。
「凡庸」の意味・使い方
「凡庸」の読み方は「ぼんよう」です。
「凡庸」の意味は「平凡で、優れたところがないこと。また、そのような人」です。
「凡」の漢字は「並、普通」「およそ」という意味があり、「庸」には「平凡」「人を雇う」という意味があります。
「凡庸な作品」や「凡庸な人」など、人や物を評価するときに「取り立てていいところもなく普通である」という意味で使います。
「目立った魅力や能力がない」という、ややネガティブな意味合いで使うことが多い言葉です。
【例文】
- 彼の俳句は凡庸で面白みに欠ける。
- 私のような凡庸な人間が歌手になろうなど、無理に決まっている。
- 私の彼は凡庸な人間だが私にはとても優しい。
- 私にはこの凡庸な映画をどうやって楽しめばいいのかわからない。
「汎用」の意味・使い方
「汎用」の読み方は「はんよう」です。
「汎用」の意味は「一つの物を広くいろいろな方面に用いる」です。
「汎」の漢字は「広く行き渡る」という意味であり、「用」は「用いる」と使われますよね。
よく目にする使い方は「汎用性」という言葉であり、「お疲れ様という言葉は、汎用性の高い挨拶です」というように使います。この場合、「お疲れ様」の言葉は、様々な場面で使える挨拶であるという意味です。
【例文】
- 英語は様々な国で使える汎用性の高い言語なので、習得すべきである。
- 当社の密閉容器は汎用性が高く、様々な食品にお使いいただけます。
- こちらのネックレスは、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でもお使いいただける汎用性の高いアクセサリーです。
- 純正は高いので、汎用品の充電ケーブルを購入した。
- これからのビジネスシーンでは汎用的な能力を有する人材が求められています。
「凡庸」「汎用」の違い・使い分け方
では、「凡庸」「汎用」の2つの意味を比べてみましょう。
- 凡庸:平凡で、優れたところがないこと。また、そのような人。
- 汎用:一つの物を広くいろいろな方面に用いること。
比べてみれば一目瞭然で、全く違う意味の言葉ですね。しかし、言葉の響きが似ていることから、混同して使う人が多いのも事実です。
「凡庸性」という言葉をたまに見かけることがありますが、これは間違いです。そのページの前後の文章を見ても筆者は「汎用性」と書きたかったことが読み取れます。
「凡」と「汎」、「庸」と「用」の字面が似ているので間違えやすいのでしょうが、明らかな誤用です。「凡庸」と「汎用」は似ているようにも見えますが、全く別の言葉のため、しっかり使い分けましょう。
「凡庸」の類義語・対義語
「凡庸」の類義語を紹介します。
【類語】
- 芸が無い(ありきたりで面白みがない)
- 可もなく不可もない
- 類型(性質や特徴の似ているものを集め、その共通点を取り出してまとめあげた型)
- 平凡(ごく普通で、特に優れたところ、変わったところがないこと。)
- 月並み(きわめてありふれていること。)
- 普通
続いて「凡庸」の対義語を紹介します。
【対義語】
- 非凡(普通より特に優れていること)
- 指折り(多くの物の中で、指を折って数えあげられるほど優れていること)
- 屈指(多くの中でも、指を折って数え上げられるほど優れていること)
- 卓越(他をはるかに超えて、優れていること)
- 秀抜(他の物より抜きんでて優れていること)
- 抜群(多くの物の中で特に優れていること)
- 随一(多くの物の中で最も優れていること)
- 無二(同じものが二つとないこと。かけがえのないこと)
- 変哲(普通と違っていること、変わっていること)
「汎用」の類義語・対義語
「汎用」の類義語紹介します。
【類語】
- 兼用(けんよう。一つの物を二つ以上の用途に使うこと)
- 通用(つうよう。二つ以上の物に共通して使われること)
- 万能(すべてに効力があること。何事にも役立つこと)
- 応用がきく
- 両用(一つの物が二通りに使えること)
続いて「汎用」の対義語を紹介します。
【対義語】
- 専用(せんよう。ある特定の目的・対象だけに使用すること)
また、「汎用性」の対義語は「専用性」です。
さいごに
混同されがちな言葉、「凡庸」と「汎用」の意味の違いや使い方を例文付きで解説してきました。
「凡庸」は平凡で面白みに欠けるという意味で、「汎用」は一つの物をいろいろな用途に用いるという意味でしたね。
全然意味が違う2つの言葉ですが、「凡庸性」といった誤用がしばしば見られます。素晴らしい情報を盛り込んだ文章でも、言葉の使い方を間違えていては信頼性に欠けてしまいます。社会人として、正しい言葉の使い方を心掛けましょう。
今回の記事を通して「凡庸」と「汎用」の意味や使い方を身につけていただければ幸いです。