「辞任・辞職・退任・退職」の違い・意味・類語・対義語まとめ

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「辞任・辞職・退任・退職」の違い・意味・類語・対義語まとめ

ビジネスシーンでは、職場の同僚が退職したり、上司や先輩が転職したりするということは珍しいことではありません。また、テレビや新聞でも「〇〇氏が辞任する」などとニュースで報道されることもあります。

しかし、「辞任」や「辞職」など、仕事を退くという意味を持つ言葉は似た言葉が多く、どのタイミングでどの言葉を選ぶのが適切なのか、区別がしづらいですよね。

今回は、「辞任・辞職・退任・退職」の意味の違いと使い方を説明します。間違えやすい類語をまとめましたので、違いを理解して仕事に役立てましょう。

「辞任・辞職・退任・退職」の意味

まずはそれぞれの言葉の意味や使い方について解説します。

「辞任」の意味・使い方

「辞任(じにん)」とは「就いていた任務・職務を、自分から申し出て辞めること」という意味です。

仕事(勤務先)を辞めるという意味は含まず、自身が就いていた役職やポストを自らの意思で辞める際に使われます。

「〇〇氏、辞任」という報道の場合、「その人が自ら進んで、就いていた役職を辞める。しかし、仕事を辞めるわけではない」という意味があります。

【例文】

  • この度の不祥事の責任を取り、社長を辞任いたします。
  • 大臣の辞任をもって、この問題に終止符が打たれた。
  • 今回のプロジェクトのリーダーを辞任することに決めた。

「辞職」の意味・使い方

「辞職(じしょく)」とは、「今まで就いていた職を自分から辞めること」という意味です。

辞任とは違い、会社などの勤務先を辞めるという意味を持ちます。つまり、就いていた職業自体を辞めるということです。報道で「議員辞職」という言葉を目にしますが、それは「議員という仕事そのものを辞めた」という意味があります。

【例文】

  • 地元選挙区の国会議員が辞職した。
  • 父の会社を継ぐために辞職することにした。
  • 仕事が辛いと嘆く同期が、辞職を考えているようだ。

「退任」の意味・使い方

「退任(たいにん)」とは、「任務をやめること。役目をしりぞくこと」という意味です。

自身が就いていた役職やポストを辞めるという意味では「辞任」と同様の意味を持ちます。しかし、「自らの意思」という意味は含まないため、自発的に任を退く場合や任期満了で任を退く場合でも使うことができます。

しかし一般的に、役職を退くときは自らの意思か否かが重要であるため、自発的に辞める「辞任」か、そうでない「退任」かについて、明確に区別する傾向があります。

【例文】

  • 任期満了で議長を退任する。
  • 部長職の退任が決まった。
  • 社長が退任し、あらたに会長に就任された。

「退職」の意味・使い方

「退職(たいしょく)」とは、「勤めている職をやめること。現職をしりぞくこと」という意味です。

会社などの勤務先を辞めるという意味を持ちます。「自らの意思」という限定的な定義ではないので、定年退職や自らの意思で勤務先を辞める場合のどちらでも使うことができます。

しかし、一般的には、役員以上が会社を辞める場合に「辞職」、一般従業員が会社を辞める場合に「退職」を使うという慣例もありますので、注意が必要です。

【例文】

  • 部長は今年度で定年なので3月に退職される。
  • 今年中に退職して、海外留学する予定だ。
  • 前任者は先月で退職いたしました。

「辞任・辞職・退任・退職」の違い・使い分け方

それでは「辞任・辞職・退任・退職」の言葉の意味をおさらいしましょう。

  • 辞任:就いていた任務・職務を、自分から申し出てやめること。
  • 辞職:今までついていた職を自分からやめること。
  • 退任:任務をやめること。役目をしりぞくこと。
  • 退職:勤めている職をやめること。現職をしりぞくこと。

注意が必要なのは「辞職」と「退職」の使い分けです。この二つの類語のうち「辞職」には自ら進んで仕事を辞めるという意味を持ちますが、企業の役員以上が自発的ではない定年制などで仕事をやめる際も、「辞職」という言葉を使うことがあります。

「今回の株主総会で、今期限りで社長が辞職することが決まった」という文章の場合、社長が自発的に会社を辞めるという意味ではありません。

株式会社において、役員以上の進退は社内のみで完結しない場合も多く、様々な要因が混濁して決定されます。そのため、一様に「辞職」という言葉を使って、役職のない社員との区別をつけているのです。

「辞任・辞職・退任・退職」の類語・対義語

「辞任」の類義語には以下のような言葉があります。

  • 退陣
  • 退身

【例文】

  • 今季限りで社長職を退陣し、悠々自適に暮らそうと考えている。
  • 父が取締役を退身する。
  • あの国会議員は満期で退身するそうだ。
  • 退陣のタイミングを見計らうのもトップの勤めだ。

「辞職」「退職」の類義語には以下のような言葉があります。

  • 退社

【例文】

  • 転職のために来月で退社する。
  • あの人は結婚して寿退社をするらしい。
  • 新入社員が2週間で退社してしまった。
  • 退社して家業を継ぐ。

「退任」の類義語には以下のような言葉があります。

  • 隠居
  • 引退

【例文】

  • 定年で隠居して趣味に没頭する。
  • 隠居して数年が経つが、暇を持て余している。
  • 定年で仕事を引退して、喫茶店を営んでいる。
  • 体調を崩して仕事を引退した。

「辞任・辞職・退任・退職」の対義語

辞任の対義語には「就任(しゅうにん)」という言葉があります。意味は「役職や任務に就くこと」です。

また、「辞職」「退職」の対義語には「就職(しゅうしょく)」という言葉が挙げられます。意味は「職業につくこと。新しく職を得て勤めること」です。

まとめ

ここで紹介した「辞任・辞職・退任・退職」は、それぞれが持つ意味の違いが明確なため、意味さえ理解すれば使いわけは比較的簡単です。

ビジネスシーンでは、必ずこれらの言葉を耳にします。社内で人事異動があったとき、「どういう意味だろうか」と人に聞くよりも、まずこれらの言葉の意味を知っておくことが重要です。言葉の意味を知ることは、組織の動向や仕組みを理解するための一助となるでしょう。

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