「携わる」という言葉について意味や正しい使い方をご存知でしょうか?
社会人の方であれば、例えば「長年、金融業界に携わっていると…」などと意見を述べる際に使ったりと、ビジネスシーンで見聞きする機会の多い言葉だと思います。学生の方も就職活動で志望動機を伝えるときに「鉄鋼業界に携わりたい」と使ったりします。
ここでは「携わる」の意味や使い方、類義語である「関わる」との違いについて例文つきで解説しています。
また、就職活動中の学生の方が参考にできる、「携わる」を使った志望動機の書き方も紹介します。志望動機のなかでの「携わる」の使い方をお伝えするので参考にしてくださいね。
「携わる」の意味・使い方
「携わる」の読み方は「たずさわる」で、意味は「ある物事に関係する。従事する」です。
「携帯電話」の「携」として馴染みのある漢字ですが、「携」には「手と手をつなぐ」という意味があります。
「携わる」は、ある物事に関係することを指す言葉ですが、ビジネスで使うときは「仕事として関係する」「勤める」ということを表します。
【例文】
- 都市開発プロジェクトにエンジニアとして携わることになった。
- 前職では営業職に携わっていました。
- 英語教育に携わっている専門家の方々の懇親会に参加する。
- あなたがこれまで研究に携わってきた製品について教えてください。
- 高校を卒業したら農業に携わり人々の食を支えていきたいと考えております。
「携わる」の類語・言い換え表現
「携わる」の類語表現は下記のとおりです。
- 関わる
- 身を置く
- 身を投じる
- 関係する
- 関与する
- 貢献する(こうけん)
- 受け持つ
- 参与(さんよ)
- 千与(かんよ)
- 参加
- 働く
- 勤める
上記のなかでも馴染み深い「関わる」との違いや使い分け方に悩む方も少なくありません。違いについては次節をご覧ください。
「携わる」「関わる」の違い・使い分け方
「携わる」と混同されがちな「関わる」との違いや使い分け方について解説していきます。まずは2つの言葉の意味を比べてみましょう。
- 携わる:ある物事に関係する。従事する。
- 関わる:関係をもつ。こだわる。
どちらも「関係がある」という似た意味を持ちますが、「携わる」を使ったときのほうが、関わり方が深いことを示します。
上述したとおり「携」には「手と手をつなぐ」という意味があり、「提携」「連携」などの漢字でも使われる言葉です。自分の力を加えたり、知恵を貸したりするというニュアンスが強いことから、「事件に関わる」や「信頼に関わる」といった使い方はしますが、「事件に携わる」「信頼に携わる」とは言いません。
【例文】
- 今回のプロジェクトは企画から携わってきた。
- 保育士として幼児教育に携わっています。
- 現代社会の問題点は、近隣住民と関わる機会が少なくなってきていることである。
- 犯罪被害者に関わる問題の解決に向けて対策を講ずべきだ。
- 社員の不正による不祥事は、取引先との信用問題に関わる。
志望動機の書き方・例文つき
「携わる」を用いた志望動機を書くパターンは大きく分けて2つあります。
内定後の配属先の希望を伝えるときは「御社に入社できたら〇〇の仕事に携わりたい」と伝える方法です。もうひとつは「(これまでの〇〇の経験やキッカケ)を生かして、〇〇の仕事に携わりたいと考え、御社を志望しました」と志望動機を述べるときに理由を添えた伝え方をするときです。
また、転職活動の際は「5年間、経理の仕事に携わってきました」というように、自身のこれまでの経歴を紹介するときに活用できます。
「携わる」は、社会に出る前の学生の方にとって、馴染みの薄い言葉かもしれません。しかし、言葉の選び方一つで面接官に与える印象は違ってきます。志望動機を答えるときの言い回しに「〇〇に携わっていきたいと考えています」と伝えてみてはいかがでしょうか。
【例文】
- 御社に入社した際には自然エネルギーの開発・運用の仕事に携わっていきたいと考えております。
- 宇宙の開発・利用促進に関わる仕事に携わりたい。
- 前職では営業に携わっていましたので、その経験を御社でも役立てていきたいです。
- 中学生のころに参加した保育園のボランティアをきっかけに、幼児教育に携わっていきたいと考えるようになりました。
- イベント企画の経験を生かし、スポーツの祭典であるオリンピックの運営に携わりたい。
- 大学院で学んだことを生かして会社の経営に携わる仕事に挑戦したい。
まとめ
今回は「携わる」の意味や使い方、「関わる」との違いについて、例文つきで解説してきました。また、「携わる」を使った志望動機の書き方についても紹介しましたが、理解を深めることはできたでしょうか。
慣れないうちは「〇〇の仕事がやりたいです/やってきました」と言ってしまいがちですが、そこを「携わりたいと考えております/携わってきました」と変えると、フォーマルな印象になります。
ビジネスでは目上の方と話すとき、曖昧な表現やカジュアルな言い回しは避けた方が無難です。自身の印象を少しでも良くするためにも、使ってみてくださいね。