「乖離」という言葉をご存知ですか?日常ではあまり使う機会がなく、耳慣れない言葉のため、意味や使い方がわからずお困りではないでしょうか。
「乖離」は「乖」という字が常用漢字ではないので、雑誌や新聞でも「かい離」と表記されている場合が多いですね。
今回はそんな「乖離」の意味や使い方を例文つきで、わかりやすく解説していきます。また、同じ読みで間違われやすい「解離」の意味や使い方、「乖離」と「解離」2つの言葉の違いについてもお伝えするので参考にしてくださいね。
「乖離」の意味・読み方・使い方
「乖離」の読み方は「かいり」であり、意味は「そむきはなれること、離反」です。
「乖」という字があまり見慣れない方も多いと思いますが、それもそのはず、この漢字は常用漢字ではないので、新聞や雑誌にもあまり登場しません。
「乖」は「そむく、わかれる、はなれる」の意味を持つ漢字であり、「乖離」の意味もそのまま「離れる」ことです。
ただし、使い方には注意が必要です。乖離は、本来密接に結びついているべきものが離れていたり、人の心に隔たりがあったりする状態のときに用いられる言葉で、ネガティブな意味で使われることが一般的です。
【例文】
- 校則と生徒の実態に乖離が生じている。
- 首相の掲げる理想と民意には大きな乖離がある。
- イメージしていたものと、実際の留学生活の乖離の大きさに戸惑う。
- 表示値と実際の製品の栄養成分の含有量との間には多少の乖離があり得る。
「解離」の意味・読み方・使い方
「解離」は「乖離」と同様に「かいり」と読み、その意味は「(1)解けて離れること・解き離すこと」、「(2)一つの分子が分解すること」です。
「解離」は一般的に使われる言葉ではなく、主に科学の分野で「分子が原子やイオンに分解するとき」や心理学の分野で「記憶や意識など心の機能の統合性が失われた状態を指すとき」など、専門用語に用いられることの多い言葉です。
【例文】
- 強いストレスから解離性障害を発症する。
- 解離熱とは、乖離を起こさせるのに必要な熱量のことである。
- 分子からイオンに乖離することを電離という。
「乖離」と「解離」の違い・使い分け方
読み方は同じですが、「乖離」と「乖離」は意味が異なります。
- 乖離:一つであるべきものが反対の方向に離れていってしまうこと
- 解離:バラバラになること・分解すること
上記を比べてみるとわかるように、「乖離」は反対の方向に離れていくという意味があり、「解離」は単純にバラバラになることを表しています。
また、「解離」は病名や科学の分野といった専門用語でしか使いません。そのため、人の心や数値に隔たりがあったときなど、ほとんどの場合は「乖離」を用いればいいのですね。
【例文】
- 学生時代に思い描いた保育士の理想像と、現実の仕事内容の乖離に離職する若者が多い。
- 母は解離性障害にかかり、通院している。
「乖離」の類語・対義語
「乖離」の類義語には次のような言葉があります。
- 食い違う
- 大きく離れる
- 差が開く
- 大きなズレがある
- ギャップがある
- 離隔(離れ隔たること)
- 離反(従っていたものや属していたものから離れそむくこと)
- 背離(背き離れること)
- 掛け離れる
- 分離(分け離すこと)
- 隔たりが生じる
また、対義語には次のような言葉があります。
- 一様
- 一致している
- 同調
- 歩み寄る
まとめ
「乖離」と「解離」の意味や使い方、2つの言葉の違いを例文つきで解説しました。
どちらも難しい言葉ですが、おさらいすると「解離」は病名や科学の分野で主に使う言葉ですから、日常で使うのはほとんど「乖離」と覚えておけば間違いないですね。
この記事を通して「乖離」「解離」の意味がご理解いただければ幸いです。あまり多く使う言葉ではありませんが、機会があれば使ってみてくださいね。