「留意」や「注意」といった言葉は日常の中で何気なく使っている言葉です。どちらも意味としては「気を付けるべきこと」だなと理解されている方も多いでしょう。
しかし、この「留意」「注意」の2つの言葉をしっかり使い分けることができていますか?なんとなく混合してしまってはいないでしょうか。「留意」「注意」は確かに似た意味の言葉ですが、ニュアンスが違います。
今回はそんな身近な言葉「留意」「注意」の意味の違いを例文付きで詳しく解説していきます。また、合わせてよく見かける言葉「留意事項」についても、改めてしっかり解説していきます。
「留意」の意味・使い方
「留意」の読み方は「りゅうい」です。「留意」の意味は「ある物事を心にとどめて常に気を付けること」です。つまり、留意とは、ある一定の期間その物事を心に留めて、気を配っておくことを意味します。
使う場面としては、とても危険なわけではないけれど心に留めておいてほしいときに使います。以下例文のような使い方です。
【例文】
- 健康に留意する。
- 式典はフォーマルな場なので服装マナーに留意する必要がある。
- 作業を行うにあたって留意点を確認しておく。
- 失礼のないよう、言葉遣いに留意して会談に臨んだ。
「注意」の意味・使い方
読める方がほとんどだとは思いますが、念のため、読み方は「ちゅうい」です。「注意」の意味は以下3つです。
- 気持ちを集中させること。気を配ること。
- 悪い事態にならないように用心すること。
- 言い聞かせること。忠告。
このうち3は今回の記事の内容とは関係ないので省略します。1と2のように、相手に危険が及んだり、気を付けなければ悪い事態に陥るときなどに警戒を促すために「注意」を使います。また、長期的にではなく、短期間、心をある物事に集中しておくときに「注意」を使います。使い慣れた言葉ですが、以下が例文です。
【例文】
- 横断歩道を渡る際は、車に注意する。
- 皿を落とさないように注意して運ぶ。
ここまで積み上げてきた相手との関係を崩さないように、言動に細心の注意を払う。
「留意・注意」の違い・使い分け方
では、「留意」と「注意」の意味の違いはどこでしょうか。「留意」の意味は「ある物事を心にとどめて気を配ること」、「注意」の意味は「悪い事態にならないように、気持ちを集中させて用心すること」ですが、2つの大きな違いは危険度と心を配る時間です。
「留意」は心に留めておく程度であるのに対し、「注意」は気を付けていなければ悪い事態が起きる場合に使用します。つまり、「注意」の方がより危険度が高いのです。
また、「留意」はある程度、長い時間心に留めておくのに対し、注意は短期間集中して気を付けておくといった意味があります。以上の点を踏まえて例文を見てみましょう。
- 健康に留意する
- 健康に注意する
上記の2つの文は一見同じ意味にも見えますが、「健康に留意する」は「特に病気の疑いはないが、体調を崩さないように気を配る」ことであるのに対して「健康に注意する」は「何らかの病気の疑いがあるので気を付ける」といった意味になります。
こうして比べてみると「留意」と「注意」は使い方にかなり違いがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。また、ビジネスシーンでは相手に失礼にならないよう、よりやわらかい意味である「留意」を使うことが多いです。
「留意事項」の使い方・例文
ビジネスシーンでよく見かける「留意事項」についても解説していきます。読み方はお分かりになると思いますが、「りゅういじこう」です。
まず「留意事項」の意味はそのまま「心に留めて気を配ってほしい事柄」です。似た言葉で「注意事項」もありますが、ビジネスシーンではよほど警戒してほしいことがない限りは、やわらかい表現である「留意事項」を使います。以下例文です。
- システムご利用上の留意事項をご確認ください。
- 下記留意事項をご一読いただいた上で、お申込みいただきますようお願いいたします。
- 今回のイベントを運営していく上での留意事項をお配りします。
まとめ
「留意」と「注意」の意味や違い・留意事項について例文付きで解説してきました。「留意」も「注意」も身近な言葉ですが、意外と混合して使っていたという方も多いのではないでしょうか。
似た意味の言葉でも、場面によっては選ぶ言葉一つで相手に与える印象やニュアンスがかなり違ってきてしまうものです。場面に合わせた正しい言葉を選んでいけると良いですね。
今回の記事を通して「留意」と「注意」を区別して、しっかり使い分けていただければ幸いです。