「仕事」に関する意味を持つ言葉はたくさんあります。たとえば「執務」という言葉の意味をご存知ですか?
あまり聞きなれない言葉ですが、これのみが持つ意味がちゃんとあります。このように類義語の多い言葉ほど、きちんと意味を理解して使い分けていくことが、ビジネスの場では重要です。
ここでは、「執務・業務・事務・勤務」の意味と使い分け方を解説します。言葉の意味を理解し、正しい使い分け方をマスターして、ワンランク上のビジネスパーソンを目指しましょう!
「執務」の意味・使い方
「執務(しつむ)」の意味は「事務を執ること。仕事をすること」です。事務とは「主に机の上でする仕事」を指します。(「事務」についてはあとの項目でも詳しく解説します。)つまり、「執務」=「デスクで事務仕事をすること」となります。
正しく使い分けるポイントとしては、「デスクで会議資料を作成する」は「執務する」ですが、「得意先での打ち合わせ」はこれに該当しません。「執務」は「仕事をすること」という意味も持ちますが、「デスクワーク」の意味合いが強いため、仕事全般を指したい場合は使わないようにしましょう。
【例文】
- 九時から五時まで執務をしている。
- 部長は執務をしている。
- 残業をして執務をする。
「業務」の意味・使い方
「業務(ぎょうむ)」の意味は「日常継続して行われる職業上の仕事」です。ここでは「日常」「継続」という言葉が出てきました。このことから、「業務」とは「日々の生活の中で、自身が行なっている仕事の全般」を指すと言えます。
「業務」は「社会生活において」の仕事を指します。「社会生活」とは主に集団や組織での活動を指すため、自身の家庭内における家事や育児などはこれに該当しません。また、「娯楽のための個人的な行為」も「業務」の意味に含まれますが、常用の言葉としては聞きなれないため使用しない方が良いでしょう。
【例文】
- 日々の業務に励む
- 今日の業務は全て終わった
- 業務の一部を外部に委託する
「事務」の意味・使い方
「事務(じむ)」の意味は「書類の作成など、主として机の上で取り扱う仕事」です。
「執務」の項目でも解説した通り、「事務」という言葉には「机の上で取り扱う仕事」そのものを指す意味があります。
使い分け方は比較的簡単で、「デスクに座って一人で完結する仕事」はすべて「事務」であると言えます。作業中に他者とのやりとりが必要な「会議」や「商談」「電話応対」などはこれに該当しません。
※「事務」とは仕事内容を指す言葉です。これを専門におこなう職業を指す場合は「事務員」や「事務職」という言葉を使いましょう。
【例文】
- 会社で事務を執る
- 事務を引き継ぐ
- オフィスに戻って事務を処理する
「勤務」の意味・使い方
「勤務(きんむ)」の意味は「会社などにつとめて仕事をすること。また、その仕事」です。「雇用されている会社などの仕事を行うこと」またはその状態を表す言葉として使用することができます。
「雇用状態」を表す意味合いを持つため、「〇〇(会社名など)に勤務している」といった使い方をすることもできます。※「勤める」という言葉には、「雇われている」という状態が含まれます。そのため、自営業やフリーランスで働かれている方は「勤務」という言葉を使わないようにしましょう。
【例文】
- 市役所に勤務する
- 海外支社での勤務が決まった
- 勤務中は電話に出れない
「執務・業務・事務・勤務」の違い・使い分け方
ここまで「執務・業務・事務・勤務」の意味について、それぞれ解説しました。以下のように分類して、言葉の違いについて改めておさらいしてみましょう。
【仕事をおこなう言葉】
- 執務:事務をすること
- 勤務:雇用されている会社の仕事を行うこと
「事務」は机の上で取り扱う仕事を表す言葉ですので、一人で完結するデスクワーク全般を指します。「執務」は、その「事務をすること」を指します。
【仕事内容を表す言葉】
- 業務:日々の生活の中で、自身が行なっている仕事
- 事務:デスクに座って一人で完結する仕事
「業務」は「雇用先でおこなう仕事全般」を指します。「事務」は、そのなかでも「デスクワーク」を指します。そのため、「事務は業務のうちのひとつ」ということがわかります。
まとめ
今回は「執務・業務・事務・勤務」の四つのよく似た言葉を取り上げて解説しましたが、他にも「務」のつく言葉や「仕事」を表す言葉はたくさんあります。
その一つひとつに意味があり、正しく理解していないと使い分けることが難しい類義語ばかりです。
普段からよく使う言葉ということは、受け取る相手も多い言葉ともいえます。正しい言葉を選択すると、相手にも好印象を与えることができるため、しっかりと意味を理解してきちんと使い分けていきましょう。