「世知辛い」の意味・使い方・類語・語源|世知辛い世の中とは(例文つき)

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「世知辛い」の意味・使い方・類語・語源|世知辛い世の中とは(例文つき)

「世知辛い世の中」という言葉の意味や使い方はご存知ですか?

映画やドラマのワンシーンに登場することがあるフレーズですよね。「世知辛い」の言葉の印象から、愚痴や世の中に対する不満をもっていることは何となく伝わりますが、「世知辛い世の中」とは一体、どのような世の中なのでしょうか。

ここでは「世知辛い」の正しい意味や読み方、使い方について詳しく解説します。また「世知辛い世の中」の使い方や、言い換え表現、類語についてもお伝えするので参考にしてくださいね。

「世知辛い」の意味・使い方

「世知辛い」の読み方は「せちがらい」です。「辛」という漢字が含まれることから「せちづらい」や「せちがない」と読み間違ってしまう方もいますが、正しくは「せちがらい」です。

「世知辛い」とは「世渡りが難しい。暮らしにくい。打算的でせこせこしている。心にゆとりがない。けちだ」という意味があります。

そもそも「世知辛い」は、「世知」と「辛い」に分けることができます。「世知」には下記の3つの意味があります。

  • 1:世俗に生きる凡夫の知恵。仏教用語。
  • 2:世渡りの知恵。
  • 3:抜け目のないこと。けちなこと。また、そのさま。

「世知辛い」と使うときの「世知」の意味は3の「抜け目のないこと。けちなこと」になります。

「辛い」には、味覚を表現する「辛い(からい)」の他に、「つらい」とも読みます。「つらい」の意味は、苦しさで耐え難かったり、困難であったりすることです。「世知辛い」はこの「つらい」という意味で使われる表現です。

つまり、この「世知」と「辛い」の意味が合わさった「世知辛い」は、「世渡りが難しい。暮らしにくい。打算的でせこせこしている。抜け目がない。けちだ」という意味になるのです。

「世知辛い」は主に形容詞として使います。「世知辛い〇〇」や「〇〇は世知辛い」と名詞を説明するのに使うほか、名詞として「世知辛さ」のような形でも使います。

【例文】

  • 世知辛い時代に生まれてきてしまった。
  • 飲み会でもきっちり割り勘なんて、あの上司は世知辛い。
  • ノルマ第一主義の世知辛い職場だが、今は我慢するほかない。

「世知辛い」の語源

「世知辛い」の「世知」は本来、仏教用語であり「世俗の知恵」という意味もありました。世情に詳しく、世渡りが上手なことを表し、「勘定高い」「せこい」といった意味でも使われた言葉です。

そのため「世知辛い」の「暮らしにくい。世渡りが難しい」という意味は「勘定高い人が多い世の中は暮らしにくい」という意味から派生した用法なのです。

「世知辛い世の中」の使い方

「世知辛い」は「世知辛い世の中」と使われることが多いです。「世知辛い世の中」とは、どのような世の中を表す言葉なのでしょうか。

「世知辛い世の中」は、簡単に言えば「暮らしにくい世の中」「世渡りが難しい世の中」という意味です。

つまりは、周囲がけちで抜け目がないため、自分がうまくやっていくには難しい世の中のことを表しています。具体的には、下に挙げるような状態を表現しています。

  • 周囲が皆、自分が得をすることばかり考えている。
  • 皆が打算的に立ち回っている。
  • 心にゆとりがなくけちけちしている。
  • お互いに思いやりを持っていない。

そうしたギスギスした周囲の状況に対して、暮らしにくさや居心地の悪さ、世渡りの難しさを感じているときに「世知辛い世の中」を使います。

「世知辛い」「世知辛い世の中」の類語・言い換え表現

「世知辛い」には以下のような類語があります。

【類義語】

  • 生きにくい
  • 暮らしづらい
  • ケチな
  • シビアな
  • 住みにくい

「シビアな」は、英語の「severe」が日本語でも日常的に使われるようになったものです。意味は「非常に厳しいさま。過酷なさま」です。

どれも「世知辛い」に比べると直接的な表現なので、よりストレートに意味を伝えることができます。

「世知辛い」という言葉は、読み方を「せちづらい」と間違えていたり、「せちがない」と使い方を勘違いしている人も多いです。

人によっては馴染みの薄い言葉ですので、上に挙げたような類語に言い換えると、一層自分の意図が伝わりやすく、コミュニケーションがスムーズになります。是非、相手や場面に合わせて使い分けてください。

【例文】

  • 同僚の多くが優位に立つことばかり考えていて、非常に生きにくい。
  • 暮らしづらい世の中だ。
  • あんなに頑張ったのに、ボーナスがこれだけとはケチな会社だ。
  • シビアな考え方を求められる環境に、嫌気がさす。
  • 住民同士の交流が少なく、住みにくい街だ。

なお、「世知辛い世の中」の類語には「生きづらい世の中」「暮らしにくい世の中」「世知辛い社会」などがあげられます。

さいごに

ここでは「世知辛い」や「世知辛い世の中」の意味や使い方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

「世知辛い」は「世渡りがむずかしい。暮らしにくい。打算的で心にゆとりがない」という意味です。

使う場面や相手に合わせて「世知辛い」を「生きにくい」「シビアな」といった類語に言い換えられることも覚えておくとよいでしょう。

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