「知識・知恵・見識・教養」の違い・意味|「知識を深める」「広げる」とは?

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「知識・知恵・見識・教養」の違い・意味|「知識を深める」「広げる」とは?

突然ですが、「知識・知恵・見識・教養」の違いをご存知ですか?

どれも馴染みのある言葉だと思いますが、それぞれの意味や使い方が明確になっている方はそれほど多くありません。

ここでは「知識」「知恵」「見識」「教養」の違いについてご説明します。それぞれの意味や使い方、「知識を深める」「知識を広める」といった言い回しの使い分けもお伝えするので参考にしてくださいね。

「知識・知恵・見識・教養」の違い

「知識」「知恵」「見識」「教養」にはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの意味や使い方からご説明しますね。

「知識」の意味・使い方

「知識」を辞書で調べると下記の2つの意味が出てきます。

  • 知ること。認識・理解すること。またある事柄などについて知っている内容。
  • 考える働き。知恵。

「知識」の意味を一言でいうと、「ある物事について知っていること」です。誰もが事実として共有できるデータや情報のことをいいます。

たとえば、「江戸時代は徳川将軍家が日本を統治していた」というのは歴史上の事実であり、人によって答えが違う、というものではありませんよね。

なお、学習したり情報収集したりすることにより、知識量を増やすことを「知識を得る」「知識を深める」「知識を蓄える」「知識が身につく」などといいます。

また、知識量を表す使い方には「知識が豊富」「知識が乏しい」「知識が浅い」といった使い方をします。「知識が高い・低い」とは言いません。

【例文】

  • 今日の学校教育が知識教育にとどまっていることが、問題視されている。
  • 本をたくさん読めば知識は増えるが、活用できないと知識の持ち腐れになる。
  • 鉄道のことなら、知識が豊富な山田さんに確認してみるといいですよ。

「知恵」の意味・使い方

「知恵」を辞書で調べると「物事の道理を判断し処理していく心の動き。物事の道筋を立て、計画し、正しく処理していく能力」という意味が出てきます。

なんだか難しく感じますが、「知恵」の意味を簡単に言えば「知識や経験を必要な場面に応じて活用できる力」のことです。

たとえば、料理本に書いてあるとおりに食材を調理してカレーを作ったとしましょう。これは「知識」ですね。ところが、味見をしてみると、何かが足りないように感じたため、牛乳やハチミツを入れて自分の好きな味に仕上げたとします。これが「知恵」です。

牛乳やハチミツを入れると「味がまろやかになる・濃厚になる」といった知識を活かして、適切に処理したことを表していますね。

もう一例挙げてみましょう。

買い物に出かけようと外に出たら、大きな雲が遠くの空に見えたとします。「今は晴れているけれど、午後からは傘が必要になるかも」と思い、雨に備えて傘を持って出かけたとします。経験を生かしているのでこれも「知恵」ですね。

上記の例から、「知恵」は「知識」の上に成り立つものといえます。使い方によっては「悪知恵」や「知恵袋」「猿知恵」といいます。

なお、「知恵」は「知恵を絞る」「知恵を借りる」という表現で使われます。

【例文】

  • 新商品の宣伝方法について、チーム全員で知恵を絞っている。
  • 先人の知恵により、干物や漬物といった保存食が生まれた。
  • 日々の生活に知恵を取り入れることで、生活費を3万円減らすことができた。

「見識」の意味・使い方

「見識」の意味は下記の3点です。

  • 物事を深く見通して本質をとらえる、優れた判断力。
  • ある物事に対する確かな考えや意見。識見。
  • 気位。みえ。

「知識」や「知恵」との違いは、「見識」には「物事の本質を深く見通す力」という意味で使われる点です。ある問題についてしっかりと情報収集した上で正しく判断し、確かな考えを持つことですね。

見識を高めるということは、ただ学習するだけでなく、得た知識から本質を見抜き、自分なりの確かな意見を持つ必要があるため、容易なことではありません。

【例文】

  • コメンテーターには、もっと見識の高い人物を起用したい。
  • リーダーには、マーケティングに関して確かな見識を持つ彼を推薦します。
  • 彼女は、環境問題に関する知識は豊富だが、高い見識の有無については疑問が残る。

「教養」の意味・使い方

辞書に書いてある「教養」の意味は下記の2点です。

  • 学問、幅広い知識、精神の修養などを通して得られる創造的活力や心の豊かさ、物事に対する理解力。
  • 社会生活を営む上で必要な文化に関する広い知識。

難しい言葉が並んでいますが、「教養」は「得た知識を深く理解し、日常生活に応用できるように自分なりの言葉で言い換えたり、自分の思考として昇華させたりすること」です。

「良識」や「常識」「品位」などと言い換えることもできますね。

ニュースを見ていると、高学歴のエリート社員が犯罪に手を染め、捕まったという報道を目にすることがあります。

知識が豊富でも、それを正しく理解できていない人を「無教養」といったりします。

【例文】

  • 今は無駄に思える知識も、教養を身につけるためには必要である。
  • 少し話をしただけで、私の教養のなさがバレてしまった。
  • 教養がある人は、豊富な知識を持っているだけでなく、様々な意見について理解する姿勢があるため、多くの人から好感を持たれる。

「知識を深める」「知識を広げる」の違いは?

「知識を深める」と「知識を広げる」という2つの表現には違いがあります。それぞれの意味は下記のとおりです。

  • 知識を深める:一つの事柄について掘り下げること
  • 知識を広める:一つの事柄に関連し、様々なことを知ること

違いはわかりましたでしょうか。例をあげて説明しますね。

たとえば、ワインの美味しさに目覚めて「いろいろなワインの味を知りたい!」と考えたとします。

「知識を深める」は、醸造方法や原材料となるブドウの品種など、ワインの味について掘り下げた知識を得ることを表した言葉です。

「知識を広める」は、ワインの歴史やコルクの種類、ラベルデザインなどワインの味とは直接関わりはないけれど、ワインに関連する様々な知識を増やしていくときに使う言葉なのです。

どちらの言い回しも、一つの物事に対する知識を増やしていくことに変わりはありませんが、その方向に違いがあるということが分かりますね。

さいごに

ここでは「知識」「知恵」「見識」「教養」の違いについてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

混同してしまいやすい言葉ですが、意味や使い方に明確な違いがあるので、この機会に使い分けができるように覚えてくださいね。

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