「知見」の意味・使い方・類語|知識との違い・「知見を広める」とは(例文つき)

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「知見」の意味・使い方・類語|知識との違い・「知見を広める」とは(例文つき)

「知見」の意味や正しい使い方を知っていますか?

「知見を広める」という言葉は、テレビニュースや新聞などで見聞きしたことがあるフレーズだと思いますが、普段使う機会の少ない言葉のため、曖昧なまま、何となく使用している方も多いと思います。

ここでは「知見」の意味や正しい使い方、類語について詳しく解説しています。「知見」と似た意味を持つ「知識」という言葉がありますが、両者の違いについても例文をあげてお伝えするので参考にしてくださいね。

「知見」の意味・使い方

「知見」の読み方は「ちけん」です。「実際に見て知ること、知識、見識」という意味があり、実際に見たり、経験する中で得る知識のことを指します。※見識とは「物事の本質を捉える優れた判断力、それに基づくしっかりした考え」という意味。

「知見」は名詞であり、一般的な使い方は「知見を広める」「知見を得る」ですが、「知見を共有する」「知見を蓄積する」といった使い方もします。

【知見の主な使い方】

  • 知見を広める:世の中の事柄を見聞きして広い知識を得ること
  • 知見を得る:体験を通して知識や見識を得ること
  • 知見を共有する:体験を通して得た知識を組織やメンバー間で伝達すること
  • 知見を蓄積する:体験や経験を蓄えること

【例文】

  • 留学により、アメリカの文化や生活習慣についての知見を広める。
  • 今回の実習で、実際の医療現場における看護についての知見を得ることができた。
  • 火星の内部調査で得た新しい知見を発表する。
  • これまでの事故経験から得た知見を活かして、今後の事故防止策を練っていく。
  • 被災地を実際に訪れて得た知見を共有して、震災の恐ろしさを風化させないようにしていきたい。

「知見」「知識」の違い・使い分け方

「知見」と似た意味合いの言葉に「知識」がありますが、違いはどこにあるのでしょうか。まずは2つの言葉の意味を見ていきましょう。

  • 知見:実際に見て知識を得ること、また、その知識、見識
  • 知識:ある事柄などについて知ること。知っている内容

意味からも分かるように「知見」と「知識」の違いは、「実際に見て」という箇所です。つまり、「知識」は知っていることや知ることそのものを表していますが、「知見」は実際に自分で体験したことや、見聞きして得た知識のことを表しているのです。

分かりやすい例をあげると、「植物図鑑を読んで植物の特徴や育て方についての知見を広める」といった使い方は間違いです。本で読んだりネットから調べたりしたことはあくまで「知識」であって「知見」ではないのです。上記を踏まえて下記例文を見ていきましょう。

比較例文(1)

  • 私は蘭の花に興味があり、独学で勉強して知識を身につけている。
  • 今年からは実際に蘭の花を育て、知見を広げていくつもりだ。

比較例文(2)

  • 彼は大学でフランス文化を専攻していたので知識が豊富だ。
  • 彼はフランスに3年間留学していたので、フランス文化における知見が広い。

比較例文(3)

  • 彼女はBBCやNHKの番組で海洋生物のドキュメンタリーを見ることが好きだ。そのため海洋生物について幅広い知識を蓄えている。
  • 彼女の夢は海洋生物学者になって、海で海洋生物の生態系を調査し、知見を広めていくことだ。

違いや使い分け方をおわかりいただけたでしょうか?勉強して得たものは「知識」、実際に体験したことは「知見」となるのです。

「知見」の類義語

つづいては「知見」の類義語を紹介します。

  • 見識:物事の本質を見通す、優れた判断力)
  • 見聞:見たり聞いたりすること。また、そうして得た知識・経験)
  • 識見:物事を正しく判断・評価する力)
  • 了見:考え、思案)
  • 学識:学問から得た知識と見識)

この中でも「実際に見聞きして得た知識」という意味をもつ「見識」は、知見と近い意味を持つといえます。

まとめ

「知見」の意味や使い方、類語である「知識」との違いについて例文つきで解説してきましたがいかがでしょうか。

上述した通り、「知見」とは実際に体験したことから得る知識です。「昨日、参考資料を読んで知見を広めてきました」という使い方は間違いなので注意してください。

インターネットが発達した昨今、知識は簡単にたくさん身につけることができますが、反対に知見を得ることは難しくなっているようにも感じます。今回の記事を通して「知見」の意味をしっかり理解して、実際に使っていただけると幸いです。

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