「精査」の意味・使い方|調査・検討・検査・査収・照査・整理との違い(例文つき)

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「精査」の意味・使い方|調査・検討・検査・査収・照査・整理との違い(例文つき)

突然ですが、「精査」「調査」「検査」の違いをご存知ですか?

「精査」は、ビジネスシーンで何かを調べるとき、「精査します」「精査してください」といった表現で使われる言葉ですね。

日常生活のなかではあまり馴染みのない言葉のため、ニュアンスが似ている「調査」や「検査」と同じように使っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、厳密には「精査」と「調査」の意味とは細かな点で違いがあり、使う場面も異なります。

ここでは「精査」の意味や正しい使い方を例文つきでご説明します。似た言葉の「調査」「検討」「検査」「査収」「照査」「整理」との違いや、「精査」の類義語・対義語についてもお伝えするので参考にしてくださいね。

「精査」の意味

「精査」の読み方は「せいさ」、意味は「詳しく調べること」です。

「精査」の漢字の成り立ちは、「精密」の「精」と「調査」の「査」ですね。

「精」の漢字には「細かく詳しいこと」「雑念がなくひたすら励むこと」という意味があり、「精を尽くす」という使い方をします。

また「査」には「調べる」という意味があることから、調べることを意味する「監査」「考査」「検査」「審査」といった漢字でも使われます。

それぞれの漢字の意味からも「精」と「査」をあわせた「精査」は「詳しく調べる」という意味になることがわかりますね。

なお、「精査」には「よく調べてから考えること」「完成したものが正しいかどうかを確認すること」という意味も含まれます。

「精査」の使い方

「精査」は「詳しく調べる」という意味なので、ビジネスシーンでよく使われます。

特に、報告書やレポートの内容を確認するときに使用することが多いです。

たとえば「精査したあとに導入するかどうかの検討をします」と言ったときは、「詳しく調べたあとに引き入れるか考えます」という意味になります。

また「この資料を精査しておいて」と言われたときは「資料の内容が正しいかどうかを確認して」という意味となります。

それでは「精査」の使い方を例文で紹介します。

【例文】

  • お問い合わせの件につきましては、精査した上で回答いたします。
  • 企画書の内容をもう一度精査する必要がある。
  • お送りした資料につきまして、よろしくご精査のほどお願い申し上げます。
  • その問題については、時間をかけて精査する必要がある。
  • 精査した結果、今回のご提案は残念ながら見送らせていただくこととなりました。

「精査」の類義語

「精査」の類義語には次のようなものが挙げられます。例文も合わせて紹介しますね。

  • 検査(けんさ):ある基準に照らして異常や悪いことがないかを調べること。
  • 探査(たんさ):未知の物事や離れた場所について探って調べること。
  • 審査(しんさ):詳しく調べて採否・優劣を決めること。
  • 点検(てんけん):異常や悪いところがないか、ひとつひとつ調べること。
  • 検分(けんぶん):実際に立ち会って調べ見届けること。
  • チェック:比べ合わせたり、検査や確認を行うこと。

【例文】

  • 製品を検査する。
  • 月面を探査する。
  • 作品の審査を行い、最優秀作品を決める。
  • 建物内の設備を点検する。
  • 現地に足を運んで、検分を行う。
  • 明日の会議で配布する資料のチェックが済みました。

「精査」と「調査」の違い

「精査」と「調査」にはどのような違いがあるのでしょうか。

「精査」の意味は「詳しく調べる」でしたね。

「調査」の意味は「物事の実態や動向などを明確にするために調べること」です。

「精査」と「調査」は「調べる」という意味では同じですが、「精査」は「物事を詳しく調べる」というニュアンスが強い表現であるのに対し、「調査」は「物事を明らかにする」という意味合いが含まれる表現といえます。

そのため、「調査結果を精査する」という例文だと、意味は「原因を明らかにした状態や結末を詳しく調べる」となります。

「精査」と「検討」の違い

「検討」は「検討を重ねる」「問題点を検討する」「検討の余地がある」といった使い方をする言葉です。

「検討」の意味は「よく調べ考えること。種々の面から調べて、良いか悪いかを考えること」。

「精査」と「検討」の違いをお伝えすると、「検討」は「調べたあとに大丈夫かどうかを見極めるために考えて答えを出すこと」を表した語であるのに対し、「精査」は「詳しく調べること」を言います。

「精査」には「考えて答えを出す」という意味は含まれません。

そのため「精査した上で検討いたします」という使い方はしますが、「検討した上で精査いたします」とは言いません。

覚えておいてくださいね。

「精査」と「検査」の違い

「検査」の辞書的な意味は「ある基準をもとに、異状の有無、適不適などを調べること」です。

「検査」は「所持品を検査する」「適性検査」といった使い方をしますよね。

「精査」との違いを分かりやすく言うと、「検査」は「あらかじめ決められた範囲に入っているかどうかを、決められた方法で調べること」を意味するのに対し、「精査」は「詳しく調べること」を表した語です。

「検査入院」や「検査結果」という言葉からもイメージできると思います。

「精査」と「査収」の違い

「査収」の意味は「金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ること」です。

ビジネスシーンでメールに資料を添付したり、ビジネス文書を郵送で送ったりするときに送付状に「ご査収ください」と書いた文章を目にすることがありますね。

簡単に言えば、「査収」は「内容の確認」と「受け取ること」をお願いする言葉です。

「精査」は「詳しく調べる」という意味なので、使う場面が異なることがわかりますね。

「精査」と「照査」の違い

「照査」の読み方は「しょうさ」です。

「照査」は「照らし合わせて調べること」という意味です。

「精査」との違いは、「照査」は「何かと比較したり見比べたりするものがあって、それと照らし合わせて調べること」を表すのに対し、「精査」は特に比較するものはなく、詳しく調べることを表しています。

「前回の企画と今回の企画を照査する」といった使い方をします。

「精査」と「整理」の違い

「整理」には下記の2つの意味があります。

  • 1:乱れた状態にあるものを整えて、きちんとすること。
  • 2:無駄なもの、不要なものを処分すること。

1の意味で使うときは「資料を整理する」「気持ちの整理がつく」、2の意味では「人員を整理する」という使い方をします。

「精査」との違いは、「整理」は「整える」という意味である一方、「精査」は「詳しく調べる」のため、使う場面は大きく異なることがわかりますね。

たとえば「資料を整理する」だと「乱れた状態の資料を整える」という意味、「資料を精査する」だと「資料の内容を詳しく調べる」という意味になります。

「精査」の対義語

次に、「精査」の対義語を紹介します。「精査」が「詳しく調べる」という意味を持つので、その逆の「詳しく調べない」「見過ごす」「簡単に済ます」という意味を持つ言葉を対義語とします。

  • 瞥見(べっけん):ちらりと見ること・短い時間でザッと見ること。
  • 看過(かんか):見逃したり見過ごしたりすること。
  • 通覧(つうらん):全体に一通り目を通すこと。
  • 略儀(りゃくぎ):踏むべき手続きを簡略化したもの・略式。
  • 省略(しょうりゃく):手続きや文章などを簡単にするために一部を省くこと。

それぞれの対義語の例文は下記のとおりです。

【例文】

  • 新幹線での移動中に、資料を瞥見した。
  • 不正と知っていながら看過した。
  • 会議の前に、過去の資料を通覧しておくように。
  • 略儀ではございますが、まずは書面にてお詫び申し上げます。
  • 時間の都合により、詳しい説明は省略します。

さいごに

ここでは「精査」の意味や使い方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

似た言葉の「調査」「検討」「検査」「査収」「照査」「整理」との違いについても理解できましたか?

ビジネスシーンでは言葉を適切に使い分けることが大切です。

この機会に覚えておいてくださいね。

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