「おざなり」「なおざり」の違い・語源・意味・使い方

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「おざなり」「なおざり」の違い・語源・意味・使い方

「おざなり」と「なおざり」の意味や使い方を正しく理解できていますか?

「うろ覚え」と「うる覚え」のように、日本語には誤って覚えやすい言葉があります。実はこの「おざなり」と「なおざり」の言葉には、意味に大きな違いがあるのです。

2文字を入れ替えた紛らわしい言葉ですが、ここでは「おざなり」「なおざり」のそれぞれの言葉の意味や使い方はもちろん、違いについても詳しく解説します。また語源や覚え方についてもお伝えするのでこの機会に覚えておいてくださいね。

「おざなり」「なおざり」の意味・違い

それでは、それぞれの言葉の意味を簡単に紹介します。

  • おざなり:その場限りの間に合わせ
  • なおざり:いい加減にしておくさま

どちらもあまりいい意味ではありませんね。違いや言葉の意味について次節で詳しく解説していきます。

「おざなり」の意味・使い方

「おざなり」には、「その場限りの間に合わせ」「いい加減に物事を済ませること」といった意味があります。

ある物事に対応をしてはいるものの、いい加減に済ませていることを表します。ビジネスの場面で「おざなり」なことをしてしまうと、信用問題に関わりそうですね。

【例文】

  • 君のおざなりな接客態度に、クレームが出た。
  • 忙しいのは分かるが、そんなおざなりな対応では困る。
  • 窓口に相談に行っても、おざなりなことばかり言われて根本的な解決にはいたらなかった。

どの例文も、一応対応はしているもののその内容がいい加減である様子を表しています。

「なおざり」の意味・使い方

「なおざり」には「いい加減にしておく」「おろそかにしておく」という意味があります。「おざなり」と同じように粗雑な印象を受けますが、「なおざり」は「対応せずにそのまま放置しておく」という意味合いになります。「おざなり」よりも「なおざり」の方がより悪い印象を与えますね。

【例文】

  • お客様からの問い合わせをなおざりにした。
  • 先日依頼した件を、なおざりにしないでください。
  • 窓口に相談に行ったのに、何の対応もされずなおざりにされたままだ。

両者の違いは、「おざなり」は対応はしてくれるもののその場限りでいい加減な様子を表し、「なおざり」は、対応すらされずに放置された様子を表しています。

「おざなり」「なおざり」の覚え方

ニュアンスは似ていますが、「おざなり」と「なおざり」には「物事に対応している・していない」という大きな違いがあることが分かりました。

ビジネスの場でうっかり伝え間違えると大きな誤解を生んでしまう可能性もあります。そこで、意味の違いをしっかり覚えておくために、それぞれの言葉の語源を紹介します。

  • おざなりの語源:19世紀初めから使われていた言葉で、漢字で「御座なり」と表記されていました。元々は「宴会(お座敷)の席で形ばかりを取り繕う言動をするさま」を表す語でしたが、「その場限りの間に合わせ」「いい加減な対応をすること」という意味として使われるようになったといわれています。
  • なおざりの語源:現在は「等閑(なおざり)」という漢字が当てられていますが、等閑は10世紀頃から使われている言葉で、漢語に由来する当て字です。本来は「そのままにする」という意味の「猶(なお)」と「去(さ)り」を組み合わせた言葉で、「何もしないで遠ざかる」「距離を置いておく」という意味が転じて「何もしないで放置する」「おろそかにしておく」という意味になったといわれています。

それぞれの語源や漢字を意識しておくことで、使い方を間違えることもありませんね。

「おざなり」「なおざり」の類義語(例文)

次に、「おざなり」と「なおざり」の類義語と例文を紹介します。どちらの言葉を使うべきか迷ったら、違う言葉に置き換えてみては?

「おざなり」の類義語

  • 適当(てきとう)
  • 形(かたち)だけの
  • ぞんざい

「なおざり」の類義語

  • おろそか
  • ないがしろ
  • 忽せ(ゆるがせ)

それでは、シチュエーション別に例文を紹介します。

「物事にいい加減に対応している場合」

  • お客様からの問い合わせに、形だけの対応をした。
  • お客様からの問い合わせを、ぞんざいに扱った。
  • お客様からの問い合わせを、雑に扱った。

「ぞんざい」は、物事の扱いがいい加減なさまを表します。

「物事をいい加減に放置している場合」

  • お客様からの問い合わせを、おろそかにした。
  • お客様からの問い合わせを、ないがしろにした。
  • お客様からの問い合わせを、忽せにしたままだ。

「ないがしろ」には、「侮り軽んじる」という意味があります。また、「忽せ」には、「物事をいい加減にしておく」という意味の他にも「ゆったりとしている・寛大」という意味もあります。

さいごに

意味も発音もよく似た2つの言葉「おざなり」と「なおざり」ですが、「ある物事に対して対応しているか・していないか」という大きな違いがあることが分かりましたね。どちらも「いい加減」であることには違いありませんが、与える印象としては「おざなり」の方が対応しているだけまだマシではないでしょうか?

「おざなり」と言うべき場面でうっかり「なおざり」を使ってしまうと「え?まだあの件に対応していないの?」と誤解を与えてしまう可能性もあります。使い方を間違えそうな時には、今回紹介したそれぞれの言葉の語源を思い出してくださいね。

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