「感慨深い」の意味・使い方・類語(例文つき)|「考え深い」との違い

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「感慨・感慨深い」の意味・使い方|例文つき

テレビのワイドショーや記者会見などでコメンテーターや芸能人が「感慨深いです」と言っている場面を目にすることがあります。普通の「感動する」や「心に響く」という言葉よりもなんだか含みのある意味深な表現ですよね。

ここでは「感慨」という言葉の意味や「感慨深い」の正しい使い方をご紹介します。また、例文をあげてどんなときに「感慨深い」という言葉を使うのがふさわしいかをお伝えしていきます。

「感慨深い」とは日本語としてとても奥深い表現です。覚えておけば日常のいろいろな場面で使うことができますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「感慨」の意味・使い方

「感慨」は「かんがい」と読みます。「感慨」の意味を辞書で調べると「心に深く感じて、しみじみとした気持ちになること。また、その気持ち」とあります。起こった物事に対し、心を動かされたり、じっくり感動にひたった気持ちを表現するときに用いられます。

漢字の成り立ちからも意味を読み取ることができます。「感慨」の「慨」という漢字には「心を揺さぶる思いでいっぱいになること、心を激する」という意味があり、「感」と合わさることによって「心に深く感じて、しみじみとした気持ちになること」を表す言葉だということがわかります。

また、「感慨」という言葉は「感動」「感激」という外部から与えられた刺激によって引き起こされる感情とは違い、過去の出来事に対して、自身の内面から沸き起こる深い心の動きを表すときに用いる言葉です。ある出来事に対し、思いを巡らせてしみじみと感じている、という場面で使うことができます。

【例文】

  • 学生時代の写真を偶然目にし、感慨を抱いていた。
  • 「失敗しても諦めなかったから成功に繋げることができた」と感慨を込めた。
  • 成長した子供の姿を見て感慨にふける。
  • 閉店の感慨に浸る間もなく、新店舗の開店に明け暮れる毎日だ。

「感慨深い」の意味・使い方

では「感慨深い」とはどういう意味なのでしょうか。先に述べた通り「感慨」は「心に深く感じて、しみじみとした気持ちになること。また、その気持ち」という意味です。

「感慨深い」は「感慨」の後に「深い」という言葉が続くため、「感慨」よりもさらに「心に深く感じて、しみじみとした気持ち」が深いことを表しています。

「感慨深い」は、感動や感激といった賞賛や喜びの感情を表現するときよりも、結婚式のスピーチや式典の挨拶であったりプロジェクトの任務が完了したりと、過去を振り返ってしみじみと深く心が動くさまを表現したいときに使います。

【例文】

  • 成長した息子の姿を見ると、幼き日を思い出して感慨深いものがあります。
  • 長年取り組んできた大型プロジェクトを無事完了することができ、とても感慨深い。
  • 厳しい環境下で貧苦に耐える苦労もありましたが、一表現者として今こうして皆様の前に立てることに感慨深いものを感じます。
  • 仕事もおぼつかない新入社員だった〇〇君が、会社を引っ張っていく立場にまで成長した姿を見ると、感慨深いものがある。

「感慨深い」は二重敬語?

「感慨」の意味には「心に深く感じて」と、「深く」が含まれていることから、「感慨深い」が二重敬語にあたるのでは?と考える方もいます。

確かに「深い」の表現は重なるものの、二重敬語ではありません。「心に深く感じる」という意味の「感慨」が、さらに「深い」という意味になるため、「感慨深い」を使うことによって、相手により深く心からしみじみと感じているさまを伝えることができます。

【例文】

  • 今までの功績には感慨があります。
  • 今までの功績には感慨深いものがあります。

「感慨」よりも「感慨深い」という表現を使った方が、相手により深いしみじみとした感情を伝えやすくなります。

「感慨深い」の類義語・言い換え表現

「感慨深い」の類義語にはどんなものがあるのでしょうか。

  • 心に染み入る
  • 感無量
  • 余韻のある
  • よき思い出になる

「心に染み入る、余韻のある、よき思い出になる」はどれも時間をかけてゆっくりと広がる感情を表す表現のため、時の流れを振り返って湧きおこる感情を表す「感慨深い」と似た意味で使うことができます。

「感無量」は、「感慨無量」の略です。「無量」は「はかりしれないほど数が多いこと」を表し、「心を深く動かされる感情がはかりしれないほど多い」という意味になります。深く心にしみじみと感じる「感慨深い」という言葉よりは「感激」に近いニュアンスで使われます。

【例文】

  • 子供たちからもらった感謝の手紙の言葉が、深く心に染み入る。
  • 試合が終わった後、しばらくの間、彼は勝利の余韻に浸っていた。
  • 葛藤したことも泣いたことも、今となってはよき思い出になる。
  • 素晴らしい賞をいただくことができて、感無量です。

また、発音が似た「考え深い」という言葉があります。「考え深い」は「深く考えをめぐらすさま。思慮深い」という意味のため、「感慨深い」とは違う使い方をします。混同しないよう注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。「感慨」「感慨深い」の正しい意味や使い方・類義語について、例文を交えてお伝えしてきました。

「感慨深い」は日本語らしい含みを持たせた表現であり、今までの長い年月をかけて感じる心の奥深くからのしみじみとした感情を適切に表す言葉です。

これから歳を重ねるにつれて使う場面が多くなっていく言葉でもありますので、その場に合ったふさわしい使い方をしっかりと頭に入れておいてくださいね。

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