「遵守・順守」の違い・意味・使い方・類語

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「遵守・順守」の違い・意味・使い方・類語

「会」と「會」のように、意味も読み方も同じなのに文字の形が違う言葉があります。

これらは異体字と呼ばれ、一般的な使い分けを定義されていないものが多く、文章作成時の悩みの種のひとつでもあります。

これに似たもので「順守」と「遵守」という言葉があります。両方とも「じゅんしゅ」と読みますが、今回は「順守」と「遵守」の意味や違い、明確な使い分け方があるのかなどを説明していきます。

「順守」の意味・使い方

「順守(じゅんしゅ)」とは「規則や法律などにしたがい,それをまもること」という意味です。

「規則や法律」とありますので、仲間内の取り決めであるとかスポーツのルールなどを守ることにおいては、あまり使われない言葉です。

「法令順守」という言葉を耳にしたことがあると思います。

「法令」は「法律と命令」という意味を持ちますので、「法令順守」とは「日本国憲法をはじめ日本の法律や地域の条例などに従い、守ること」という意味になります。

【例文】

  • 日本国憲法第9条を順守するべきだ。
  • 交通規則を順守する。
  • 全国地方環境条例に定められているため、これを順守する。

「遵守」の意味・使い方

「遵守」とは、上記で説明した「順守」と全く同じ意味を持ち、使う漢字だけが違う異体字となります。

このような漢字表記の違いや矛盾が生じる要因として、戦後に定められた「当用漢字表」があります。1946年の告示から1981年の廃止まで改定や補正などがあり、その流れのなかで「遵」という漢字が削除されたため、新聞を含め多くの活字表記には「順守」が使われるようになりました。

いまでは「遵」は「常用漢字」に含められるため、「遵守」と表記されることもあります。

「遵守・順守」の違い・使い分け方

上記で説明したとおり、言葉の意味という点において「順守」と「遵守」に違いはありません。どちらを使っても正解ですし、状況に応じて使い分ける必要もありません。

それぞれを構成する漢字のイメージとして、「遵」という漢字には「規則に従う」という意味があることから、契約書や公文書・公用文に相応しいのは「遵守」と思うかもしれません。しかし、説明したとおり意味としては「全く違いがない」ため、どちらを使っても問題ありません。

また、あまり見慣れませんが「循守(じゅんしゅ)」という言葉も同様に、漢字だけが違うだけで、意味も使い方も変わりありませんので上記に加えて覚えておきましょう。

【例文】

  • 法令を遵守する=法令を順守する
  • コンプライアンスを遵守する=コンプライアンスを順守する
  • 納期を遵守する=納期を順守する

新聞や放送業界では統一して「順守」が使われています。社内で「順守」「遵守」のどちらを使っているかを確認しておくとよいでしょう。

「順守」の類語

「順守」の類義語を以下に紹介します。

  • 厳守(げんしゅ):命令や約束などを、きびしく守ること。
  • 遵行(じゅんこう):きまり・命令などに従って行うこと。

「厳守」はよく使う言葉ですよね。「順守」とは違い、規則や約束など、より生活に身近な取り決めを守るという意味で使われます。

【例文】

  • サッカーのルールを厳守する。
  • 監督の命令を厳守した結果だ。
  • 経験ある上司の命令は厳守するべきだ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「順守」も「遵守」も目にする機会が多いため、今回の解説でスッキリしていただけたのではないでしょうか。

同音異義語とは違い、その意味の違いや使い分けに悩まされることはないですが、とてもややこしいですよね。辞書で調べてみればすぐに解決できることが多いため、普段から言葉の意味を調べる癖をつけておくと良いでしょう。

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